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秘密共有倶楽部  作者: 新規四季
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この部活?クラブ?のもう1人の同居人?部員?が少し気だるそうに入ってくる。

空かさず計画実行に移る。悪口を言うだけだけれども。


「やーい、ちびー!」


センパイが少し小さめな翠さんに身体的特徴を馬鹿にする様に煽る。

用意していた言葉のようにスラスラと言葉が出てくるあたり本来のセンパイは遠慮の無い人なのかもしれない。


かくいう私はセンパイがチビと言ってしまって言葉に詰まる。人に悪口を言うことの罪悪感がない訳では無いが、それ以上に何を言えばいいか分からない。



センパイが特徴を言っていたから、私も特徴を言う。



「えっと、天才〜」

「それ褒めてるから」


悪ふざけが楽しくて笑顔だったセンパイが真顔で私の顔を見て言ってくる。



「ロリ巨乳〜……ぐはっ!」

「自分で言ってダメージ受けてるじゃないですか」


仕方ないなぁみたいな顔をして、翠さんにもう一度悪口を言うが、言った本人が深刻なダメージを受けた。


その、センパイはスラッとしてモデル体型なので、あの、お胸は……。

自分の胸を押さえて私を見てくる。正確には首より下を。


センパイは恨めしそうに私を見て飛び乗ってくる。咄嗟のことに反応出来ずに椅子から転げ落ちて揉みくちゃになる。



「な、なんの茶番だ?」

「そうなりますよね」


くんずほぐれつの状態の私達を見下して翠さんは立ち尽くす。

翠さんの心境が何故かわかる今日この頃です。





「と、言う事なんですけど」



改めて1から説明をして、おかしいと思う点と、それに違和感を今まで全く感じていなかったことを話す。

意外と真面目に翠さんは話を聞いてくれ終始相槌をうち、真剣に考えてくれている様子。


私が話している間手持ち無沙汰なセンパイはポットでお湯を沸かして、インスタントコーヒーを人数分用意していたりした。


翠さんはコーヒーにうるさい人で、インスタントコーヒーを出され渋そうな顔をしていた。

センパイも分かっててやってるから仲の良さを伺える。

少し羨ましかったりする。



「ああ、なるほどな興味深い」

「おっ、初めてそんなこと言ったな!」


センパイがニカッと笑いながらバシバシ翠さんの背中を叩く。

翠さんは無言でセンパイを殴り飛ばした。



「で、翠さんが入ってくる所動画撮ってたんで見てもらってもいいですか?」

「おう、いいぞ」


何も見なかった事にして証拠の動画を翠さんに見せる。

翠さんは私の隣に座り直して動画を見ると眉間に皺が寄る。


大きく息を吸って吐く。

センパイの方を見下しながら冷ややかな笑みを浮かべる。



「ほぉ、胸真っ平らがチビと抜かすか?」


翠さんはチビ呼ばわりに怒りを覚えたらしく、センパイの極端に慎ましい胸をつ〜っと人差し指でなぞりながら煽るように言う。


センパイが顔を赤らめながら必死に言うも、今からの成長は見込めない事は容易に想像できてしまう。



「酷いっ!これから成長するもん!」

「…………」


私と翠さんは校庭で走り回る運動部を見た。

最近は暑いと感じることが多くなったなぁと、遠い目をする。


「おい、目をそらすな」


センパイが感情の無い声で呼びかけるから振り返るけど、やはりセンパイ顔はピカイチだけどその分………。


私は自分の体型をみて、小刻みに頷き、翠さんは片手を上げて肩を回す。

そして、センパイを見ると人の良さとは何かを自然と考えてしまう自分がいた。


「かと言って可哀想な人を見る目で見るな〜!」




「ともあれ、変じゃないですか?」

「変だな。……で?」

「で?」

「で、どうするんだ?何をやりたいんだ?」


その辺は全く考えて無かった。

やっぱりな、と言いたげに翠さんがセンパイとついでに私を見る。

センパイの突発的な言動は今に始まったことじゃないし、慣れもある。

それを分かってて聞くあたり翠さんも意地が悪い。

私も載せられただけだと分かってそうだ。




「解明?」

「無理だやめとけ」



暫し聴講した末にセンパイが人差し指を立てて名案と言わんばかりに顔を輝かせて言えば、翠さんが即座に否定した。


「えぇ〜、せっかくこんな秘密知ったのにぃ!」

「…………」


センパイの一言でふと思ったことがあった。

翠さんが急に静かになった私に不安に思った様だ。


「ど、どうした、たずな」

「いえ、無事に過ごせるか考えてました」

「へ?」


大抵こういうなんかヤバい事知っちゃった系って変な事に巻き込まれて大変な思いしてるなぁと思ったのと、今その状況だなと思った。

そうなると途端に不安が湧き出てくる。


「訳わかんない事が起きてて、私達しか知らないじゃないですか」

「そ〜だね」

「意図的にこういう風になっているとしたらイレギュラーですよね」

「そうだな」

「バグって消しますよね」

「そ、そうだな。おい、面倒に巻き込みやがって!」


翠さんが漠然と想像していただろう事を明確に説明したらサーっと青ざめて憤慨した。

私としては私とセンパイだけではどうにもこうにもできないと思っていたので無事翠さんを巻き込めて良かったと思ってる。


「はい、何とかしてください。というより、助けて」

「私も助かりてぇよ!なんて状況に引きずり込みやがった!」

「やったね、コレで翠も参加だね!」


センパイも一緒に遊ぶ友達が出来たみたいな場違い感はあるけど喜んでくれたのでこの一蓮托生を大切にして行きたい。


「クッソォォォォ!!」

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