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「悪口言ってみて、怒らなかったら仮説が正しそう」
「悪口言った後に今気付いちゃった事を話してもう一度悪口を言うんですね?」
これから行う計画について簡単に話し合う。計画という程のものでもないけれど。悪ふざけがいい所だ。
「Exactly!」
「うるさいですよ、エセ外国人」
「なんだとっ!この美貌に嫉妬しちゃったの!?」
完全日本名が英語を話したので、軽く罵ったらよく分からない返しをされた。
特に言いたいことも無いので部室に沈黙が降りる。
確認したい事は確認できた。
「センパイって喋らなければ高嶺の花なのに……」
「ちょい!残念がるなや!」
プンスカ頬を膨らませて可愛い仕草をする。様になっているんだけど、見た目的にクール系だからちょっとおバカにみえる。
天然でやってるのが凄いところなんだよなあ。
「怒ってます?」
「ちょい怒り」
からかってみて、センパイは一応怒ってますよというポーズを取ってくれた。
本気で言ってる訳では無いし、センパイもそれは分かっているので本気では怒らない。
でも、怒るという行為が出来た。
「コレが普通ですよね」
「そうだね」
なんでだろう、今まで当たり前にあったことが当たり前じゃなくなった。
ちょっと不気味に感じてきた。
今のところ多分だけどこの状況を認識できているのは私とセンパイだけだと思う。
「それじゃあ、証拠映像でも撮りますか?」
万が一、この事が綺麗さっぱり忘れてまた、整いすぎた気持ち悪い生活に違和感を感じなくなっても嫌だ。
その時に、こういう状況を映像として残しておいたら違和感にも気付くだろうし。
スマホを取り出してバッテリーを見る。
80%、これだけあれば動画撮ってても途中で電源は落ちないだろう。
ちなみにセンパイのスマホは充電中の為使えない。どうせまた、授業中にスマホを弄っていたんでしょう。
「おっ、良いねぇ〜。お主も悪よのぉ」
「もう、なんですかそれ」
わざとらしい悪人口調をするセンパイに呆れながらも、つい笑ってしまう。