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魔導兇犬録:Deliver Us from Evil  作者: HasumiChouji
第一章:アンダードッグ
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(3)

 い……いや、まだまだまだ、だだだだ……だいじょうぶの……はずはずはずだ。

 判断力が落ちて落ちて落ち落ちてんのは自分でも判るけどけどけど……。

 お……おれも……一応は「悪の組織」扱いされてたとこの元幹部だ。

 自白剤ってのが、どんなモノかは、どんなモノかは……えっと……ああ、そうだ、多少は知ってる。

 このメスガキが、俺よりも「自白剤」に関する知識が無いのが判る程度には、「自白剤」ってモノの事を知ってる。

「自白剤が何だ。ぎゃははは……。おめえ、自白剤ってどんなモノか知らないだろ、このボンクラがッ‼」

「ん?……ねえ、すてきなおじさま。どういうことか、ゆっくり、このおばかなおんなのこにせつめいしてもらえますぅ? おしえてくれたら、なんでもしてあげちゃうから♥」

「あはははは……自白剤ってのは尋問のスキルが無い奴が使っても意味ねえんだよッ。何日も監禁された奴の脳に起きてんのと似た状態を短時間で作り出すだけの代物だ。旧政府時代の阿呆警察の取調べと同じだ。尋問のスキルが無い奴が自白剤を使っても……自白(ゲロ)しちまうのは『嘘の自白』の可能性がたけえんだよッ‼」

「すご〜い。おじさま。あたまいいんですね。じゃあ♥ 自白剤を使って吐かせた事って、拷問で吐かせた事と、同じぐらいしか信用出来ないんですね♥」

「そう云う事だ(こった)。大人の男の言う事は、良く聞くもんだぞ」

「じゃあ、ものしりはかせのおじさま♥ 選んで下さい♥」

「何を?」

「ヘシ折られても、一番惜しくないのは、どの指だ?」

「へっ?」

「自分のガラじゃない台詞を言って吐き気がしてたんだ。指の一本ぐらいヘシ折らせろ」

「お……おい、待て、何でそうなる?」

「あんたが自分で言っただろ。自白剤で引き出した自白と、拷問で引き出した自白は……信用度は大体同じ位だって」

「待て、やめろ」

「クソ、折角、高価(たか)い金出して『裏』で買ったのに……殴る蹴るした時と大して変んねえのかよ」

「うわあああっ……まてまてまてまって、言います言います言います。痛いのは嫌ですぅ」

「で、あんたらが日本各地から強奪してた呪具はどうなった?」

 えっと……正直に言ったら、状況は悪化する。

 考えろ。

 考えろ。

 ああ、自分で言った通り、何日も監禁された時みたいに……いや、そんな経験は無いけど……判断力は落ちてる上に、ちょっとした事で頭ん中がこわいこわいこわいこわい気持ちで一杯になって……。

「無事です‼ 燃えてません‼」

「『燃えてない』? おい、待て、あやうく灰になるような事でも有ったのか?」

 あ……。

「ああああ……」

「何が有った?」

「遊就館の地下倉庫に……」

「遊就館? お……おい……まさか、『NEO TOKYOの最も長い夜』事件の時に爆破された『偽物の靖國神社』のすぐ(そば)に有った見世物小屋か?」

「は……はい」

「じゃあ、今、どうなってる?」

「た……多分、遊就館の地下倉庫に置いてあるままだと……」

「はぁ……? 何か変じゃないか?」

「え……えっと……」

台東区(SITE04)から進出して来た『寛永寺僧伽』も『入谷七福神』も『魔法使い』系の組織だよな?」

「……は……はい」

「で、潰した組織の本部の地下倉庫に、とんでもない数の呪具が有った」

「え……えっと……」

「うん? 何で、反応が『はい』『いいえ』じゃない?」

「そ……その……」

「何で、『魔法使い』系の組織が、他の『魔法使い』系の組織が集めてた大量の呪具をそのままにしてる?」

「あ……あの……」

「正直に話さないと……あんた、『魔法使い』なのに2度と印を組めなくなるぞ」

「あああ……」

「5つ数える間だけ待ってやる」

「……」

「1つ」

「言います言います言います言います言います。だから、何を聞いても俺の命だけは助けるって約束して」

「わかった……約束してやるよ」

「『NEO TOKYOの最も長い夜』事件の時に……何故か、1つ残らず暴走して……」

「えっ?」

「翌朝には1つ残らず呪力を失なってました」

「……」

 あ……マズい……。

「……」

 ヤバい……完全にヤバい……。

「起きてしまった事はしょうがない……」

 へっ?

「これから、どうするか、前向きに考えよう」

 あ……あの……おね〜さん、言ってる事と口調が合ってませんよ。

「あたしもとんだ馬鹿だな……」

 え……えっと……。

「助ける必要が無い奴を助けたせいで、『自警団』を2つも敵に回したのかよッ‼」

 ドゴォッ‼

 俺の腹にメスガキの靴の爪先が……けっこういいスピードでめり込んだ。

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