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茜色  作者: 大空〜sora〜
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招かれざる者

八節 招かれざる者



廊下から靴がコンクリートを叩く音が聞こえてきた。それはとてもゆっくりした動作だった。

「おっはよーーーー佐野崎ーー」

スライド式の教室のドアを開けると同時に重なるように声が聞こえた。正直1番来て欲しくない奴がこの場に来てしまった。学年で1番の馬鹿が来てしまった。馬鹿をどうこう言うつもりは無いのだが、またもため息

「はぁ」

幸せが今日だけで1つ?2羽?2匹?2個?2枚?2尺?2t?2k?2g?どれが正解かは分からないが逃げてしまった?消えてしまった?いやこの際どっちでもいいのだが、どの組み合わせでもいいのだが、自分の中でしっかりしておきたいから、俺は『幸せが逃げてく』とよく聞くので『2匹と逃げてく』の組み合わせでこのもやもやは解決した。当たり前のように本当は違うのだが。どうしても思い出せなかった。

「今日はいつもより早いな、佐野崎〜、今日なんかあるのか〜?」

悪ざったい口調で俺に迫ってくんな!

「別になんもねぇーよ、たまたま早起きしただけだ」

1つ重要なことがあるがこいつには言わなくてもいいような気がする。

「なぁ、吉野、例えばさお前が女子に取り返しの付かないようなことをしたときどうやって謝る?」

だが、なぜか質問してしまった。すると吉野は躊躇無く言い放ちやがった。

「手紙を書く!」

お前は内気な告白するときの女子か何かか!

「少しは戸惑えよ、そんな直球で言われるとなんかホントにそうしたことあるように聞こえるだろ!」

「そう聞こえるように言ったから当然だな」

何を俺に求めてんだよ、お前は

「そういやなんでそんなこと聞くんだよ」

普通それが答えよりも先に来る質問だろーが!

「特に深い意味はねぇーよ」

「そうか」

何の疑いも持たず、吉野は意外と素直な奴だった。

「ふぁああ」

まずい、不意に睡魔が!隙を突いて俺の眠気を誘っている。

「無理」

「はっ?」

俺は我慢できず机に突っ伏した。これで早起きした意味が限りなく0になった。『早起きは三文の徳』そんなものは嘘だった。良かったことと言えばそのことわざの真偽が分かったことだろう。


追伸.吉野は俺を起こしてはくれなかった。



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