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黒猫のオリフィス  作者: くろのわーる
目覚めと鬼ごっこ
6/27

6話






 初めての実技研修が終わった後、なんとか宿屋に辿り着いた俺は夕食を食べるのが精一杯で結局、スキルの検証は一切出来なかった。


 昨日に引き続き、痛む身体を無理矢理起こすとベットから起き上がり朝食を食べに行く。


 食べ終われば、部屋に戻りひと息つく。

 ふと、この街に来てから着のみ着のままで過ごしていることに気付き、替えの服も買わないとなと思う。今は午後からの研修まで動く気にならないのでそのまま過ごすことに決めて、昨夜出来なかったスキルの検証に入る。


 「ステータス」と心の中で念じれば、変わらぬ内容。

 日本での記憶を持つ俺はステータスを見ながら異世界に来た実感を再び噛み締める。


 変わらぬステータス内容を確認したところで早速、作業へと移る。


 まずはポイントを使いスキルの獲得を意識する。


 すると案の定、取得可能なスキルが思い浮かぶ。


【取得可能スキル】

索敵5P

地図化5P

短剣術5P

投擲術5P

回避5P

隠密5P

忍び足5P


 斥候クラスらしいスキルのラインナップだが思った通り、ポイントと交換でスキルを取得出来ることがわかり、続いてはスキルレベルが上げられるかの検証に移行する。


 ポイントを使いスキルのレベル上げを意識する。


 念じます。



聴覚強化Lv5→6(6P)

暗視Lv5→6(6P)

危険察知Lv1→2(2P)

格闘技Lv4→5(5P)



 こちらも予想通り、ポイントを振ればスキルレベルが上げられることがわかったが必要ポイントもわかった。


 取得からLv10まで上がると仮定して、ポイントを使うと59ポイント必要になる。


 今持っている10Pではまるで足りない。


 ポイントの取得方法も今のところわからないので取得方法がわかるまでは節約だ。



 簡単にスキルの検証が済んでしまい昼までまだ時間に余裕があるのでクラスⅡについて考察する。


 考察するといっても他人よりもひとつ多くクラスが選択出来るのだがクラスを付与するにはまた神殿に赴く必要があるのかどうか。


 物は試しだとクラスⅡを選択するように念じる。

 すると神殿での現象と同じように選択可能なクラスが表示されたのでクラスⅡには格闘家を選択する。



【名前】:オリフィス

【種族】:猫人種[黒猫]

【レベル】:1

【クラスⅠ】斥候Lv1

【クラスⅡ】格闘家Lv1


【スキル】10P

聴覚強化Lv5、暗視Lv5、危険察知Lv1、格闘技Lv4



 格闘家にした理由は昨日、斥候クラスを選択してから身体が少し軽くなり、恩恵を感じたので格闘家もつければ、体力が増すだろうとの考えと格闘技スキルを活かしたいが為だ。そしたら訓練も楽に感じるかもしれないのでそうなったら嬉しいなぐらいの気持ちだ。


 スキルポイントは節約の為、使用を控えていざという時に取っておく。


 することもなくなったので午後からの訓練に備えてベットの上で眼を瞑り、体力の回復を計る。











「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


「おらっ!誰が休んでいいって言った!後、50周追加だぁ!走れぇ!!」


 俺は今、限界まで砂が詰め込まれた荷物袋を『2つ』背負わされて、ひたすらに走らされている。

 昨日のデジャブだろうか?いや、荷物袋が2つに増えている分、昨日よりも酷い。


 こうなったにも理由がある。


 今日の研修の為に体力の回復を計ろうと大人しくベットの上で眼を瞑っていたら・・・・・・そのまま寝てしまい遅刻したのだ。


 正直もうサボろうかと思ったさ。しかし、宿屋の部屋まで教官が来て、強引に引き摺られるまま今に至る。

 そもそも、どうやって俺の泊まっている宿屋を探し出したのか恐怖以外の何ものでもなかったのだが元Bランク冒険者に掛かれば、鼻をほじるがごとく、容易い事だと言われた。


 恐るべし、高ランク冒険者・・・。


 なんかもう実技研修を受けると言った昨日の俺をぶん殴ってやりたい。


「俺はな、まだ教官になって5年だが。念入りに注意したにも関わらず、2日続けて遅刻してきた奴は初めてだ。まさかここまで舐められているとは余程、俺のことが恐くないと見える」


 いやいや、めっちゃ恐いですって!もうマジで!


 出来ることなら否定したいのだが否定する為に走る足を止めれば、折檻され周回を増やされるので足は止められない。というより走りながらでは既に声も出せない状態なのだが。


「だがなぁ、とことん度胸があるお前のことが俺は断然、気に入ったぜ!サービスで後100周追加だぁ!」


 どうやら俺の死刑が宣告されたようだ。


 追加した格闘家のクラスの恩恵も虚しく。・・・いや全く感じることないまま、俺は軽々と自身の限界を突破した。






 どうやって宿屋に帰ったのかわからない。

 ただ訓練場から去り際の教官の言葉、「どうせなら1週間と言わず2週間シゴいてやるか」は幻聴であって欲しい。


 明日は絶対に遅刻しないようにしよう。

 なぜ、この世界には目覚まし時計がないのか悔やまれる。





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