04.わたし、うちあける
「アリア、相談って?どうしたの?」
アシェルにどう話したらいいものか。
思い立って相談を持ちかけたものの、信じてもらえるか、理解してもらえるか不安になる。
「あのね、驚くし信じられない話だと思うの。それでも聞いてくれる?」
「安心して。僕はアリアを疑ったりなんかしない。一番の味方だよ。」
なんて優しいお兄ちゃんなんだろう。
本当に素敵な家族に恵まれたなぁ…。
「実は…」
「うん、話してみて。」
「私には前世の記憶があるの。アリアではない、この世界ではない違う世界の記憶。」
私は、なぜ死んだのか、死後どういう経緯でこの世界へ転生したのかをアシェルに話した。
「……そうか」
「え?アシェルは驚かないの?」
「まさか!驚いてるよ。でも不思議と受け入れられる。たぶん……」
「たぶん?」
「アリア、実はね、アリアが生まれてからたまに不思議な夢を見るんだよ。」
「…夢?まさか、アシェルまで前世の記憶がなんて…言い始めたり…」
「もしかしたら、そうなのかもね。ただ、断片的で、それがなんなのかわからなかったんだ。ただ、見知らぬ世界なのに慣れ親しんだように生活してる自分がいる夢を何度も見るから不思議で。」
「もしかして、私が転生してきたのがきっかけで…?」
「うん、僕も、今のアリアの話を聞いてそう思ったよ。」
「でも、本来異世界への転生なら記憶を持ったままのはず…。」
「それが不思議だよね。夢は見るけど、僕はほとんど覚えてないんだから。」
そんなことがあるんだろうか。
アシェルも転生者かもしれないなんて。
「ねぇ、アリア。よかったらアリアの前世についてよく聞かせて。もしかしたら、僕も何か思い出すかもしれないし。」
「もちろんだよ!」
私は、アシェルに前世のことを話した。
どんな世界だったか。
私がどんな人生を送ってきたか。
覚えていることがいっぱいあるわけじゃない、
生まれてから経過とともに薄れゆく記憶もあった。
でも、できるだけ詳しく分かりやすく。
そして、もちろんアイドルになるって夢のことも。
「そっか、じゃあアリアはアイドルを目指してるんだね。」
「うん、でもこの世界にはアイドルっていないでしょ?音楽を楽しんだり、庶民にはダンスを踊ったり、見て楽しんだりする文化もない。
もちろん、映像を記録したり映し出す媒体も無いし….無いものだらけで、私はどんなアイドルにどうやってなったらいいのかなって…。」
そう、この世界には、前世で普通だった文明の力なんてものはない、歌もダンスもない。
どうしたら夢が叶うのかな…。
何もないところから一から始めるのがどれだけ大変なことか。
前世でだってそんな大それたことしたことないのに。
今まで好きなことには一直線で努力するタイプだったけど、こればっかりはどうしたらいいか分からなかった。
「そんなに落ち込まないで。」
「アシェルは優しいね。急にわけわからないものになりたいとか言ってる私を気遣ってくれて。」
「なんかね、懐かしい気もするんだ。どうにか出来ないか、僕も考えるから。一緒に夢を叶えよう。」
「ありがとう。」
「さ、もう夜が明けそうだ。少しでも寝ようか。」
「うん。」
私はアシェルの腕の中でゆっくり眠りに落ちた。
アシェルが、また、不思議な夢を見てるとは知らずに。