02.わたし、生まれる
知らない天井、知らない匂い…。
ここが異世界?
なんか体が動かないんだけど…。
「…おぎゃ…」
あっ!そうかわたし赤ちゃんか!?
そうだよね、転生したわけだし、また赤ちゃんから人生が始まるわけね。
『…気がつきました?』
あっ!さっきの美少女。
『ここがあなたの新しい世界です。言葉は理解できるようになってますが、文字や習慣、価値観などは今後の生活の中で身につけてください。』
そういうスタイルか…なるほど。
また勉強しなきゃってことね。受験終わったー!とか思ってたのになぁ。
でも、勉強なら得意なんだから!
『私があなたの前に現れるのはこれが最後です。あなたには加護を与えました。叶えられなかった夢、叶うといいですね…。それでは。』
えっちょっと!?
これで終わり?説明終わり?チュートリアル短いでしょ!なにこれ…。
まぁ…とりあえず、家族はどんな人か…よね。
ん?ドアが開いた?
「おー!元気そうだな!よかった!」
「お父さん、この子が僕の妹…?」
「そうだぞー!ちゃんと守ってやるんだぞ。」
「うんっ!」
早速家族登場。
なるほど、私には兄がいるのね。それにしても、とんでもなく美少年だなぁ。
6歳くらいかしら。お父さんもちょっと怖いけど優しそう、よかった。
「あら、アリア起きたのね。ご飯にしましょうか。」
お母さん?
ふわふわの金髪、ピンクの瞳、すっごく綺麗な人…。私もこんな風になれるのかな。…ふふ。
「お母さん!アリアが笑ってる!
…かわいいね。」
「アシェルも立派なお兄ちゃんね!」
子どもが実は最初から違う人格があるなんて、家族はなんて思うんだろう。私はきっと、本当のアリアではない…。
ちょっと申し訳ない気持ちもあるけど、また新しい人生、せっかく転生したんだもん。精一杯生きていこう。
夢だって忘れてない、努力だけは誰にも負けない、きっとアイドルになる。
お母さんやお兄ちゃんを見る限りかわいい顔は確定だしね。
アイドルになるために、まずは愛嬌を振りまいて生きていくんだわ!