01.わたし、転生するらしい
大幅に修正しました。
(主人公のアイドルオーディションまでの経緯など追記)
読んでいただきありがとうございます。
趣味程度に初めて書き始めた小説ですが、感想などコメントや評価頂けるととても嬉しいです。
ずっと憧れてた。
キラキラでかわいいアイドルたち。歌って踊って。どんな時も笑顔、みんなを元気にしてくれる、勇気付けてくれる。
わたしもそんなアイドルになりたいって。
きっかけは、小学1年生の時だった。
猪突猛進なタイプの私は学校の帰り道に、
大急ぎで走って交通事故に遭い大怪我をした。
幸い後遺症になるほどではなかったけれど、全治5ヶ月の大怪我。もちろん入院。
入院生活は暇すぎて暇すぎて……。
そんな時に、病院のテレビで流れていたアイドルのドキュメンタリー映像。
私は一瞬で心を奪われた。目標に向かって努力するキラキラした女の子、
「私も頑張ろう、頑張らなきゃ」自然とそんな気持ちになる。
「……アイドルっていいなぁ…。」
退院後、私はすぐにダンスとボイスレッスンを始めた。
お母さんが実はアイドルが好きだったみたいで、まずはダンスと歌だって言って習い事をさせてくれた。
アイドルとして生き残っていくにはなにが必要か。
中学に上がった私は、料理と勉強にも精を出した。
「インテリアイドル、家庭的なアイドル。みんなの理想の彼女、理想の女性になりたい。」
そんな一心で。
中学3年生15歳の時、初めてオーディションを受けた。
結果は一次審査落ち。
周りにはかわいい子だらけ。どんなに頑張っても顔は変えられない、ブスじゃないけどパッとしない顔なのは自覚してる。
(…もっと可愛かったらなぁ。)
そんなことを考えて、落ち込んでいたら、緊張してきて、努力してきたことまでちっとも実力なんか出せなかった。
そして今日、今日は2回目のオーディション、二次審査の日だ。
二次はボーカル審査。歌はいっぱい練習した。自信しかない!!!
合否は、その場で出るらしい。
(…大丈夫、私ならできるよ。)
そう自分に言い聞かせて、会場へ向かった。
「〜♪」
「……ありがとうございました!」
全て出し切った。あとは結果を待つだけ。
「合格者を発表します。名前を呼ばれた方は書類を受け取りに来てください。三次審査についてご説明します。」
私は心の中で自分の名前を唱え続けた。
(望月りこ、望月りこ、望月りこ…………)
「…さん、望月りこさん、…」
えっ?
やった!!!
私合格したんだ!!!
私は浮かれてた。まだ二次審査だってのにね。
………実は、そのあとのことはよく覚えていない。
そのまま、帰路についた筈だ。
そう、たしか……。
ドンッ
鈍い音がして、私の目の前には青い空が広がっていた。
「…うそ…」
あ、なんか身体があったかい。これは…死ぬ…のかなぁ。
やっとオーディション二次審査突破したのに!
また、交通事故…。
私ってばドジと不運にも程がある。
………。
「…りこさん?」
「え?私助かったの?」
思わず大声を出してしまった。
なにここ…雲の上?天国的な?そんなファンタジーほんとにあるのか…。夢かな。
私は、朦朧とする意識の中で考えた。
「りこさん!!」
「はい?」
目の前に美少女がいる…。
綺麗な長い髪、私の憧れの柔らかなブラウン。お目々はぱっちり透き通るようなブルー。
いいなぁこの顔になりたい…。
……いやいやいや。
そう、私はさっきまでアイドルオーディションに行っていてその帰り道だったはず。
そのあとは…車に轢かれて、走馬灯を見て…………。って、あれ?
「誰?ここはどこ???」
「落ち着いてください。ここは、何というかまぁ貴方達の世界の言葉で言えば天国みたいなものです。私はいわゆる神にあたるでしょうか。色々な世界から魂が集まる場所です。」
「じゃあ、私は死んじゃったんですね…ほんとに。」
「ええ…残念ながら。」
やりたいこといっぱいあったのに、人生あっけなさすぎ…。
なんだってまた交通事故なんか…。
家族だって友達だって応援してくれてたのにな、みんなごめんね。
美少女に興奮して忘れてたけど、途端に悲しくなちゃった。
「…あの、あなたはラッキーなんです。」
「…は?」
人が死んだってのに、夢が潰えたってのに!
なにを言うんだこの美少女。
「普通の方は、死んでから意識がないまま魂は同じ世界の次の身体へと転生していきます。
しかし、一部の条件を満たして選ばれた方は、前世の記憶を持ったまま違う世界へ転生できるんです。」
「…異世界転生?!」
「世界のバランスを保つため、定期的に違う世界間での交換転生が行われています。」
「なるほど…?」
「…とにかく、りこさんは新しい世界に転生していただくことになります。」
まさか、こんなことになるとは。
じゃあ次の世界でアイドル目指せるってことね!
応援してくれていたみんなに私の姿を見せられないのは悲しいけど…。
果たしてアイドルという存在があるのかな。
「詳しいことは転生後の世界でご説明しますね。
では、新しい人生を存分に楽しんでください!」