プロローグ
また思いついちゃったので覚えてるうちに書いておきます。更新、は頑張ります……。
――これは、夢、だろうか……?
「――女、俺様にしとけよ」
深紅の髪に、キラキラと輝く宝石のような緑の瞳を持つド派手なイケメンが自信満々に告げる。
「――ふん……おい小娘、私のものにしてやろう、有り難く思え」
深紅のド派手イケメンの横から、緑髪に水色の瞳を持つ神経質そうなインテリ系イケメンがこれまた傲慢にクイッと眼鏡を直しながらに告げる。
「――いけませんよ。彼女は私がいただきますから」
さらに、後ろから追随するように明るい水色の髪に灰色の瞳を持つアイドル風のイケメンがさらっと告げる。
「――オレが、守る」
そうしてキラキラしい前方に呆気にとられていると、後ろから灰色の髪に金色の鋭い瞳を持つ寡黙そうな堅物っぽいイケメンがぼそっと告げる。
――これは、夢、だろうか……?
急展開に追いつかない脳の処理を放棄して、キラキラしい周囲を確認する。そしてその人数に、まだまだ終わらなそうな自己紹介? を悟ってしまい、現実逃避しかけた己を叱咤し考えた。
――これは個別面談が必要だな、と……。
そう。現実逃避は仕方ないのだ――
◇◆◇◆◇
――私の名前は聖川美咲。御年28歳という微妙なお年頃をおひとり様で謳歌するしがないOLである。
ただ人と違うことがあると言えば、実の両親や祖父母、近しい親戚はおらず、孤児として天涯孤独に生きてきたこと。
そのため家族というものに強い憧れがあり、しかしそもそも愛が分からず迷走してしまうため彼氏いない歴=年齢という寂しい今に至っていたこと。
何より、自分で言うのもなんだが……おひとり様生活が長かったせいなのか、全て一人でこなしてしまい、いつの間にかバリバリのキャリアウーマンになってしまって恋愛の必要性を感じなかったのが原因とも言えた。
25歳のある日の事、親しくしていた同性の友人たちが続々と結婚してしまい、それを素直に祝福していた私にしびれを切らしたのか、とうとう一番長い付き合いの友人から良い人はいないのか! と鬼の血相で詰め寄られてしまった。
そこで心配させまいと焦って新婚の友人の声に集まった他の友人たちに「いない」ではなく、「いらない」と答えてしまったのがいけなかったのか、心底呆れた彼女たちに老後を心配されてしまい、何故か祝いの席のはずの式場の帰りで囲まれて滾々と正座で説教をされ、さらには何故か私の相手をみんなで探そうと一致団結してしまっていた。
当時新婚だったのに生暖かく見守ってくれた友人の旦那様には申し訳ないことをしてしまった。新婚なのに……。
そうした騒動の後に友人たちの薦めで入会した結婚相談所では仕事熱心な方とお話させていただいたり、仕事の縁を繋げたりとそれなりに有意義な時間を過ごせたの……だが……
「――私が間違ってたわ! 仕事が一段落すればそのうち気になる男性が現れるだろうと見守るだけだっただなんて!」
と、大げさに嘆かれる始末である。確かに、結婚相談所で何をしに来たのかと言われるような本末転倒な行動しかしていない身としてはいたたまれなかった。
しかし伴侶、家族という存在の必要性だけで言えば正直、結婚相談所に通い出してからもやはりピンと来なかった。
――が、それを心配性な友人たちに白状したら後が恐ろしく、唯々諾々と通っていた。
ある時ふと、もう、いいんじゃないか……? と思った。一応言われて三年ほど通ってはみたものの、到底恋とか愛といえる感情には到達できず、脳裏を過ぎるのは取引先の胡散臭いおっさん達との仕事関係ばかり。
誓って恋愛対象は異性のはずだし、好きな男性俳優やアイドルなどもいるし、少女漫画なども人並みに小さいころから好んでいた。
――ただ、人には向き不向きがある。確かにイケメンを見ればカッコいいなあとは思うのだが、それ以上でもそれ以下でもない。よく聞く胸がどきどき! なんて現象は仕事で大失敗した時くらいにしか感じたことが無い。
相談所で何度か告白もされたが、どうにも相手が私を好きだと言う理由に首を傾げてしまうことばかりでお断りしてしまっていた。
――そう、私はそもそも枯れていたのだ。
愛を育むとはよく言うが、芽もつぼみも無い、私のキラキラな恋愛の種は芽吹くことなく、ただただ土の養分に還ってしまったに違いない。ミラクルが起きない限り一生そのままだろう。
第二子を身籠って幸せそうな友人の顔が脳裏を過ぎる。私は彼女たち家族や他の友人たちも含めて外から静かに見守るだけでいい。
その優しい空間はそれを知らない私では眩し過ぎて、自分だけでは上手く想像できないけど、きっとあれが幸せを凝縮しているということだろうから。
――謝ろう。
とにかく、心配して親身になってくれた彼女と彼女たちに笑顔で謝って、それからありがとうを伝えよう。それから一人でも心配されないようにも老後の計画も立てなくては――
「――美咲?」
束の間のお昼休み、そんなふわふわしたことを考えてふらふら食後に歩いていたからなのだろうか、会いに行こうとしていた人物が道路を挟んだ向こう側でベビーカーを押していた。妊娠3ヶ月と言っていたお腹は傍目にはまだ目立たない。
こんな偶然もあるものだなと、青に変わった信号を嬉しそうに渡ってくる友人を待って愛好を崩す。
何から言おうか? まずは電話でしか言えてなかったおめでとうかな?
「優里! おめで――」
――キキィィィィイイイ…………ドンッッ!!
「――ッ?」
あ、れ……?
なんだか、きゅう、に意識が、朦朧、と……身体が、おも、い……?
「きゃあああああああああ!!」
うっ、頭がぐわんぐわんする……。
「美咲! 美咲! しっかりしてよ! ミサキ!」
ああ、ごめんね、優里。なんか、疲れたみたい……。急にねむ、く……。
「いやああああッッ! みさきっ! みさ――」
人目もはばからず泣き叫び縋る優里の顔を不思議に思いながら、急な睡魔に誘われるままにその身を任せた――
◇◆◇◆◇
――とまあ十中八九車かトラックに撥ねられて死んだんだろう。と、冷静に考えられる今だから理解できる。
そして――
「――女、俺様にしとけよ」
冒頭に戻った。
――これは、夢、だろうか……?
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