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Take9

 5日目、9回目の勇者召喚が始まる。


「『我、神に祈らん。我らが祖国を魔の手から守るための力を、我の手に。異界の勇者を時空を越えて、我らの救世主をここに喚ばん。我らが信ずる神の名の下に』――勇者召喚」


 召喚の間が光に満たされる。

 9回目の勇者召喚で召喚されたものは――











「ふわぁ、こたつあったかぁい。ふふふ、異界の勇者はさすがだな」











 こたつに入って寛いでいる角の生えている魔族が召喚された。しかし、ただの魔族ではない。

 大きな角、長く紅い髪に紅い瞳。その特徴に当てはまる魔族はただ一人。


「「「「ま……魔王……」」」」


 魔王を討伐するための勇者召喚で魔王を召喚した。


「ん? なんだ? お前らは?」

「「「「……あ……う……」」」」


 こちらに気付いた魔王がこの場にいる全員に威圧をかけつつ聞くも、皆は恐怖で体が震えている。


「ふむ、これは…………なるほど。ということは…………なるほどのぅ。大体の事情は分かった。あらかた、復活した我を倒そうと勇者召喚を行なったが、古い文献だったために失敗して我を召喚した、と。あっとるだろう?」

「はい、その通り、です」


 魔王アーリャ・リューハクースは賢く、この場にいる人と足元の魔法陣をみて、今自分の身に何が起きて王国はどういう状況かを理解した。


「そうか。お前ら見たよな?」

「ヒッ。何を、でしょうか」

「我のプライベートだ」

「は、はい。申し訳ありません」

「ッッ! 恥ずかしい……威厳な魔王のイメージ像が……」


 こたつでだらけきったところを見られ魔王は、顔を手で隠して恥ずかしがっている。一部隠されていない顔は少し赤らんでいる。魔王は20代くらいの若い女性に見えるため、今の行動は威厳な魔王の面影もなく、ただただ可愛かった。

 威圧も解けていたために、国王は魔王を見ることができ、恥ずかしがっている魔王に見とれている。


「…………」

「…………」


 今、魔王と王国側に非常に気まずい雰囲気が流れている。魔王も王国の状況を察しているため魔王も気まずい。勇者を召喚するために勇者召喚を行なったのに魔王を召喚するという本末転倒なため王国側も気まずい。非常に気まずい。

 これはあれだ、例えるなら正面から来た人とぶつかりそうになってよけたら、相手もよけて結局またぶつかりそうになり、反対側にどこうとしたら相手も同じ方向に動いて…を繰り返すやつとか、知り合いだと思って近寄ってあいさつしたら全くの赤の他人だった時とか、そういう気まずさだ。


「ああ、えっと、言っておくが我はお主らと戦争を起こす気は無いからな」

「えっ? そうなんですか? この前の魔法は宣戦布告かと思ってたんですが?」

「ああ、あれは我が封印されとる間に作った魔法でな……魔法を打ったのはただの試し打ちだ」

「魔法を作る? 試し打ち? そうだったのか」

「それに我は戦うよりも魔法の研究のほうが好きでな。前に封印された時は部下が反乱を起こして人間側を巻き込んだだけだ。勇者に封印される時も戦う気はないと言ったが「お前のいうことなんか信じるか! 死ねぇ!」て言って聞く耳を持たんと仕方なく、我は封印されたんだ」

「そうだったんですか」

「それにしてもさっきから、なんか違和感が……誰か今、魔法使っておるか?」

「いえ? 使ってませんが……」

「一応……『魔法(マジック・)解除(キャンセル)』」


 魔王は何か魔法が使われているような違和感を感じ、魔法を消す魔法を発動する。もちろん無詠唱だ。しかし――


「む? はじ返された? ならもう一度……『絶対(アブソリュート・)魔法(マジック・)解除(キャンセル)』」

バリィン!!


 ガラスが割れたような音が響く。魔法が強制的に解除された音だ。そして魔法を使っていたのは――


「くっ……」


 ――イリスだった。どうやら隠蔽魔法、気配遮断などを使って、存在を隠していたようだ。なぜ、隠れたのか。それは魔王の言葉で明らかになる。


「お主は……先代……魔王?……」

「あなたは何を言っているのでしょうか。私はただの人間ですよ。魔王なわけないじゃないですか」

「口調、魔法の技術が全て先代魔王と同じだ。それに先代魔王は転生魔法が完成したかの実験で転生したはずだ。それならお主が転生した先代魔王でもおかしくはない」


 イリスは先代魔王かもしれない。魔王が言ったことは的を得ていた。

 口調は知らないが、魔法の技術は確実に人間の域を超えている。それに魔力量も膨大だ。


「はぁ、バレたくなかったから隠れてたのに。あなた前より強くなりました?」

「久しぶりだな、お師匠様。封印されているときは鍛錬や研究を行なっておったからの、大分強くなったぞ」

「そうですか、侮ってましたね」

「あのー、イリスさんって本当に先代魔王?」

「はい、そうですよ。私の前世は魔王ライカ・フォースナーです。転生魔法が完成したので試しに私に使いました。この通り、無事成功しましたが」

「我の自己紹介はまだだったな。我は魔王アーリャ・リューハクースだ。一応、お師匠様の弟子だな」


 皆はイリスの前世が魔王だったことに驚きを隠せていないが、確かにと納得もしている。


「そういえばお師匠様、遺言残して死なんでくれんか? 書いた内容覚えておるか?」

「え? さあー、なんでしたっけ」

「『転生魔法を使います。成功するか分からないので次の魔王はアーリャに任せます。アーリャ、残りの仕事頼みます!』だぞ。残っておった大量の仕事も大変だったし。どうしてくれる」

「ああ、そういえばそうでしたね。忘れてました」

「取り敢えず殺して良いか? 転生できるだろう?」

「そうですね、転生できるので構いませんよ、とは言いませんよ? 弟子のくせに生意気な」

「あ?」

「あん?」


 イリスは喧嘩っぽいのだろうか。それともイリスは喧嘩ホイホイなのだろうか。

 現代魔王と先代魔王の喧嘩が始まった。イリスは魔王の胸を揉む。魔王はイリスをこちょこちょする。喧嘩が子供っぽいのは、魔法で辺り一帯を消さないためか。それとも本気の喧嘩か。


 魔王とイリスの喧嘩も終わる。

 取り敢えず昼休憩をしてから、魔王と国王が話すようだ。


「おぉ、人族の料理か。久しぶりに食べるのぉ。」


 イリスは魔王より身長が低いため抱きかかえられていた。意外と仲がいいのかもしれない。

読んでいただきありがとうございます。

ぜひ、ブックマークとポイント評価をお願いします。

ツイッターの方もよろしくお願いします。


残すところエピローグのみとなりました。現在、新作を誠意執筆中です。ぜひ新作のほうもよろしくお願いします。

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