マナブと海
マナブは釣りに海へ来た。
来る度ここに居た老人
ずっと海を眺めてる
話しかけたことあって
何してるの?おじいちゃん
笑って振り向きこう答えた…
ばあちゃんがな?
海の向こうに居るんじゃよ
だからこうして会いに来る
天気の良い日は必ずじゃ、
海が荒れてなければな
傘持ち雨も風の日も
会いに来てるとそう言った
おじいちゃんのお嫁さん?
外国に住んでるの?
マナブには何も見えなかった
おじいちゃんがまた言うと…
ばあちゃんはな?
わしのことが大好きじゃ、
だから来ないと夢に出る
怖い顔して怒ってくる
わしは寝れないから
それならとここへ来る、
この先海と空の間に
遠い昔に死におった
ここへ来てから夢に出ず
わしもばあちゃんが居るようで
安心するからここへ来る。
マナブの眼には
遠く真っ直ぐ水平線に
ばあちゃんが見えた気がした…
それから七日後またここへ
来たけどじいちゃん居なかった
きっとばあちゃんが
手を引きじいちゃん迎えに来た
仲良く手を繋いでる
マナブにはそう見えた
この海と空の間には
とても仲良い二人組が
見えない命が沢山居るんだと
そう思い沈む眩しい
夕陽をずっと眺めてた
じいちゃんばあちゃん
また来るねッ!
竿とバケツを持ち帰る時
マナブは急に振り返り
バケツに釣れた二匹の魚
笑顔で海へ帰してやった
お前たちもまたねぇ!と
荷物カゴ入れ竿抱え
ペダルを踏む長い影
その後ろ姿に笑顔で手を振る
二人が居たのをマナブは
背中で感じて嬉しくなった
またねぇーじいちゃん!
そう心で言った空の上
二つの星が光って居た。
星の数ほど幸せがあった。




