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第八話

・・・・10年前 ・・・・・・


フォン家〜


ここフォン家はボンファング山のふもとにあり、代々ボンファングを護ってきた護り主、朱雀のご加護で栄えてきた家だ。


フォン家は女ばかりで跡継ぎがないため、フォン家の長女であるレイレイの夫ジョンウォンがこのフォン家を継ぐことになった。

ジョンウォンはかなり腕の立つ剣士でレイレイとは運命的な出会いで大恋愛の末結婚したのだ。

結婚して数年後、フォン家の主人であるレイレイの父に呼ばれジョンウォンはレイレイと長女の宝珠と次女の春欄をつれて本土のほうから越してきた。

ここはレイレイの実家なのだ。


宝珠と春欄は、鳳家の主人であり、レイレイの父である祖父にとてもかわいがられていた。

特に宝珠は、小さな頃から大人の中で育ってきたせいか、物怖じがなく度胸があり、その性格とは裏腹なのんびり平和な雰囲気が、昔から気難しくとても怖かった祖父をやわらかく変えていったのだ。


宝珠は祖父からとても色々なことを教えられた。四神の話。とくに朱雀の話と朱雀の器の話をしてくれた。しかしいつも最後にはこれは秘密の話だと口止めをされた。



山々が囲む町ソンス。

ソンスの地中奥深くに、大昔四神たちと戦って負けた魔を封じているといわれている。

そしてこの地に平和をもたらすため、各方角に山を作り、各四神たちがその山を守ることによって結界となり、ここソンスは争いがほとんどなく栄えている。この地に魔を封印することにより、この世界の均衡と平和が保たれているのだ。


そして代々フォン家が受け継いでいる、ボンファングの山を護る力というのは、朱雀そのものの力を受け継ぐということなのだ。

その器となったものは護られ、どんなことがあろうと天寿を全うする以外死ぬことはない。

ただひとつ例外なのは、お互いの四神の器によって四神は開放される。要するに四神の器同士が戦い殺しあうことで死ぬこともあるということだ。

四神が開放されると地を守る力が弱まり、そこから魔が入り込み、魔王が目覚め開放されると…世界が暗黒と化すといわれている。


「だがの、四神同士お互い出会えばわかるはずじゃ。仲間じゃからの。器同士が戦うことなどありえん」


「青龍や白虎や玄武さんの器さんもいらっしゃるのですね。なんだか不思議ですわ。御伽噺だとばかり思っていましたもの。お会いしてみたいですわ」


夢見心地な顔で空を見上げる。

そこでふと気になって真顔で祖父にたずねる。


「じゃあ朱雀の器ってここ鳳家にいるのでしょ?器さんはどなたですの?」


と聞いたが祖父は笑っているだけだった。



宝珠には夢があった。

世界を変えたいという夢が。争いのない平和な世界にすること。


ここソンスの町の南端、カナクは平和な村で、人々も穏やかで優しい。

しかし本土のほうでは戦いが繰り広げられ、荒れており、小さな争いも絶えず、小さな宝珠でさえ悲しい場面を見ることが多かった。宝珠はそれを見るたびに心が痛んだ。


昔、本土にいた頃、小さかった宝珠は、両親に連れられ市場に出かけた。そのときに大道芸人たちが繰り広げる色とりどりのきれいな踊りを見た。


そこに突然仮面をつけ剣を持った男が現れ剣の舞を踊った。

それはそれは美しく、女たちはため息をつき、男たちはボーっと見入り、踊り終わったときには夢から覚める時間が必要なように、一瞬の間が空き拍手喝采があがった。


宝珠はあんなに舞や剣が美しく見えたことはなかった。

人をこんなに感動させることのできる剣を見たことがなかった。

人を傷つけたり殺したりする所しか見たことがなかった宝珠は小さいながら一瞬で剣の舞に心奪われしまったのだ。


それを見たあとジョンウォンは”かなりの使い手が踊っているのだな。”と感心していた。

ジョンウォンが言うかなりの使い手とは、かなりできる剣士ということなのだ。

宝珠はあんなふうに剣を戦いや人を殺すためではなく、人を感動させるものとして使いたかった。

そのためにはどうすればいいのかわからないので、父と母に剣術と舞を教えてもらって小さいながらかなりの腕前になっていた。


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