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第11話

フォン家の客間〜


テーブルの上に並べられる料理の数々。酒も用意され少し困った様子で炎珠はその前に座っている。


「あの…」


「遠慮しないで!!いっぱい食べてね」


断る間を与えないほど春蘭が付きまとい世話を焼いている。

なぜかレイレイに惹かれるものを感じて、なすがままついてきてしまったがフォン家に来てから見るもの感じるものすべてが知っているもののようで、不安で危険信号を感じる。


”ここにいてはいけない”


炎珠は思い切って席を立ち、理由をつけて帰ろうと言葉を発しかけたときだった。


「すまないがもう帰…」


ドヤドヤと人の声と足音が響く。主人のジョンウォンが帰ってきたようだ。

ドアが開くともう酒が入っているのだろう機嫌のいいよく通る声が響く。


「正義感の強い勇敢な若者と意気投合して連れ帰ってきた!酒と食事の用意をしろ!」


炎珠が声のするほうを振り返ると豪快に笑いながらレイレイと話をしているジョンウォンの姿が見えた。

そしてその隣にいるのはセオングだった。セオングは炎珠にすぐ気がつき、目が合った。


「炎珠!!」


セオングは思わず声を上げる。が、すぐに複雑な表情を浮かべ炎珠を見る。炎珠は驚きの目でセオングを見る。


「二人は知り合いなのか?」


上機嫌のジョンウォンがたずねると


「はい」

「いいえ」


と同時に答える。


「炎珠は…命の恩人なんです」


炎珠から目を離さずそう説明するセオング。


「あら!わたしたちのことも助けてくれたわ!!お父様」


春欄とレイレイが市場であったことを話す。

ジョンウォンが感心して礼を言う。

炎珠は礼を言われることではないと謙遜するが、それもまたジョンウォンは気に入るのだった。

セオングを炎珠の隣に座らせて背後から二人の肩をたたき


「今日はうれしいこと続きだ!若く、義理、人情に長けた2人の人物とこうして酒を酌み交わすことができるとは!!今日は飲もう!!」


そういうとジョンウォンは、強引に杯に酒を注ぎ、次々と勧めるのだった。


夜も遅くなり、ジョンウォンは最後までがんばって飲んでいたが酔いつぶれ、寝てしまった。

セオングも酔っ払ってとうにつぶれている。炎珠は酒に強く、最後の1杯をくいっと流し込む。

席を立とうとするとセオングの手が炎珠の腕をつかむ。


「君は…何者なんだ?…俺たちは…」


ゆっくりとうつぶせていた顔を上げ、まなざしを炎珠にむける。


「同じものを受け継ぐ仲間じゃないのか?」


炎珠は引きとめられた形のまままっすぐと前を見据える。


「…仲間?…めでたいヤツだな…」


冷たい笑みを浮かべそう言うと、セオングの手を振り払い、出て行こうとする。それを立ち上がってひきとめようとするセオング。酒が回っていてよろめき、炎珠に後ろから抱きつくように倒れかかる。


「なんでだ!なぜ逃げる!!…あんたのホントの名前は?炎珠?それともミジュ?」


抱きついたまま耳元で怒ったように話す。かなり酔っているようだ。炎珠はまっすぐと前を見たままだ。


「…君を探すためにここに来た。…君が朱雀ならボンファングのふもとにいるだろうと…」


炎珠は少し驚くが、目線を落とし悲しそうな表情になり唇をかむ。


「いい加減にしろ。迷惑だ!ほって置いてくれ・・・やはり私はここにくるべきじゃなかった…」


抱きしめられた腕を振り払う。


「炎珠!…仲間ではないというのなら…君は朱雀の器ではないのか?ならあの胸のしるしは…光はなんなのだ?」


「……」


「この土地に来てあたりを歩いた。なぜこの土地は荒れている?8年前から徐々に荒れ始めているらしいじゃないか。この土地に平和をもたらし護るのはあんたの役割じゃないのか?」


じっと押し黙る炎珠。

そして意を決したように言い放つ。


「役割?…私の役割なら…朱雀を封印することだよ…おぞましく穢れてしまったこの身体で!」


セオングに向かって感情をあらわにする炎珠。


驚くセオング。

炎珠の両腕を掴み身体を自分のほうに引き寄せ、瞳を見つめる。


「どういうことだ?封印だと?…うそだろう?」


お互いの瞳の奥を見たとき…おたがいの胸が光だす。

炎珠の光が途中で黒くなり炎珠が胸を押さえ苦しみ崩れ落ちる。


「!!」


それをセオングが支えようと手を差し伸べたときだった。

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