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愛を凍らせて  作者: かなえ
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雲ひとつない青空を見上げて私は大きく息を吐いた。

今日もいい天気だ。

用意された椅子に座って、エウラが淹れてくれた美味しいハーブティーを一口飲む。

穏やかな風が吹き、蝶々が私の好きな白い花の上を舞っている。

あれから一週間がたった。

クリスタルに包まれたアイリーンの体は、太陽の神殿に収められたまま、エマ様の指示によって再び立ち入り禁止となった。

あの日以来私は、太陽の神官アイリとしてますます人々に崇拝されているようで、エウラ情報によると城や町では私達のうわさで持ちきりだそうだ。

なんだかんだと私の体も疲労していたらしく、昨日まで寝込んでしまい今日やっとゆっくりと外にでれるようになったのだ。


「やっと元気になったのね。心配したわよ」

「わっ、びっくりした」

後ろから急に声を掛けられて振り向くとエマ様が微笑んで立っていた。

「あら、ごめんなさいね。驚かしてしまって」


そういって真っ赤な口紅をつけた唇に笑みを浮かべた。

「そういえば、エマ様は私がアイリーンと同じだって知ってたんですか?」

私が聞くと、エマ様は少し寂しそうに笑みを浮かべた。

「えぇ、私は無駄に長生きしているからね。あんた達が前回不幸になってしまったから、今回こそはと思ったの。よかったわ、輪廻を断ち切ってくれて」


意味が良くわからなくて、首をかしげるとエマ様はまた微笑んだ。

「あぁ、気にしないで。アンタは生きているし、カイトも生きて第二の人生を歩み始めたし、さて、私はこれで帰ろうかしら」

「帰る?何処へですか?」

「私の帰りを待っている人が居るのよ。また気が向いたら会いにくるわ。

自分を信じて、あなたらしく生きなさい。今度こそ幸せになって、・・・そうね・・子供が生まれたらまたくるわ」


ニヤリと笑ったエマ様に私は顔を赤くした。

「子供って・・そんな・・・」

そこまで話は進んでないのに!


「ふふっ。カイトにも今回は私に感謝しなさいって伝えておいてね」


そう言うと優雅に手を振ってニッコリと微笑んだ。

どこから出したのか黒いマントを肩にかけてしっかりと首元で止めると微笑んだ。

突然突風が吹き驚いて目を瞑ると、エマ様の声が聞こえた。

「また、会いにくるわ。あんた達のことは大好きだから。じゃぁね」


「じゃあねって・・・エマさん?」

目を開けると彼女の姿は何処にもなく、あたりを見回してもエマさんの姿は見えない。

何処に行ったのか、占いババと呼ばれているぐらいだからまさか空でも飛んでいったのかしら。

空を見上げるが、何も見えない。


首をかしげていると、また後ろから声を掛けられた。


「何をみているの?」

懐かしい声に振り返ると、カイト様が私のすぐ後ろに立っていた。

一週間前のあの日から会うのは初めてなのでどこか気恥ずかしくてすぐに目を逸らしてしまう。


「あの・・・今までエマ様がいたんですけど、突風と共に消えてしまって・・」

私の言葉に、カイト様は意味がわかったようで頷いて空を見上げた。


「飛んで行ったんだと思うよ」

「まさか・・・」

驚いている私に彼は微笑んだ。

「彼女は魔女だから。永遠の時を生き、人とは違う力を持っているからね。空を飛んでもおかしくない」

「はぁ、そういうモノですかね」


「もう体は大丈夫なの?」


気遣うように紫色の瞳が私を見つめている。

私はこの瞳の色を知っている。

ずっと好きな色。


「はい。大丈夫っぽいです」

「そう。良かった」


そういってそっと私の手を握って両手で包まれた。

「暖かい」

そう言って、カイト様は微笑んだ。

私はこの微笑を知っている。

ずっとこの瞳に恋をして、今も私は恋をしている。

「君が死んでしまうとずっと思ってた。僕と一緒に居るから。太陽の神官なんかでずっといるから。

君が途中で死んでしまう、その恐怖にずっと怯えていたんだ。でももう、それは終わり。

これかからはアイリとずっと一緒に生きていくことが出来る」


ね?と微笑みかけられて私も微笑んだ。


「私はずっとカイト様が好きで、なぜかずっとこの紫の瞳の色も懐かしくて・・・。

でも私は、アイリーン様ではないんですけど・・・・」


ごにょごにょ言っているとカイト様がますます微笑んだ。


「そんなことより、君がアイリーンでも、そうじゃなくても、僕が君を愛していることが大切で、

君も僕を愛してくれているってことが大切だと思うんだけど」

そう言われ、私は照れながら

「私も、ずっと今も、貴方を愛しています。これからもずっと」


重ねた唇からは懐かしい感覚と体温を感じて、私は胸がいっぱいになった。

きっと私達はずっと、何度も生まれ変わり、また出会い、そして愛し合うのだろう。



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