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一般人がチートスキルで最強に⁉︎  作者: てるのー
第2章 痛哭の王誕祭
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4話 双女の怒り

 防具。冒険者としてほぼ必須アイテムであり、防具の有無で生死を分けることも多々あるだろう。俺としても防具の重要性はある程度理解しており、ある程度高額でも買おうと思う。のだが……。


「10万アシリス……。こっちは17万アシリス……。どれもこれも高すぎなんだが……」


 どれもこれも俺の手が届かないような値段ばかり。唯一、籠手だけは10万アシリスを超えていなかったが、それでも数万アシリスはする。貧乏冒険者には買えないです。


「それで、どうするの?」


 隣で、俺と同じく物色しているクーゼが手に持った防具を見ながら言った。


「防具はなくても機動力でなんとかなる時はある。でも、やっぱりあった方がもちろん良い」

「そうだよなぁ。どうしよっかな」


 注意さえしておけば、敵の攻撃なら重力でどうとでもなる。ならば防具なしでも良いのではないだろうか……? 流石に何10万アシリスも出すことはできない。俺がどういようかと悩んでいると、クーゼが口を挟んできた。


「もうすぐ大規模依頼がある。そこで貯めれば?」

「大規模依頼?」


 俺が知らない単語の出現に首を傾げると、クーゼは「知らない?」と聞いてきた。


「いや、知らないな。あいにく、田舎育ちなもんでね」


 もちろん嘘だ。だが、バレることはないだろう。田舎育ちという設定にしておけば、ある程度は無知でも不思議がられることはない。


「そう。大規模依頼。今回の大規模依頼では王誕祭に向けて、食料を調達する。狙いはケークチドラゴンという超大型の竜。依頼人数は50人」

「はぁ、そんなのがあるんだな」


 王誕祭。4日後に開かれる王の誕生祭だ。それに向けてということは、それなりの量の食料を入手しなければならないのだろう。50人で足りるのか……?

 しかし、報酬は多そうだ。50人もいれば安全だろうし、俺も参加するべきだろう。


「王誕祭か。本当に王が残酷なのか不思議だぜ。クーゼの事だから嘘はついてないんだろうけど、みんな幸せそうに暮らしてるぞ? 普通、王がそんな残虐非道な……」


 俺が聞こうとすると、クーゼは慌てたように俺の口を押さえてきた。そして俺の耳元でそっと囁いた。


「し! その話は後でする。こんな場所で話さないで。誰が聞いてるか分からない。国家反逆罪は即死刑」

「す、すまん」


 確かに、こんな所で聞かれてしまうとクーゼの王討伐の計画が全て瓦解してしまう。己の考えの足らなかった言動に反省。


「それより、次はアイテムを買いに行こう。私、良いアイテム屋知ってる」

「うっす」


 クーゼに連れられ、今度はアイテム屋。店に入ると、何やらアンティークなよく分からないアイテムや、モダンでよく分からないアイテムなどいろいろな物が売っていた。というか、基本全部よく分からない。

 取り敢えず、1つ手に取ってみる。それは、にわかに青く光る小さな石。指の隙間から漏れ出る光が綺麗だ。


「それはモファ鉱石。応急的な魔力の回復ができる便利な石」

「へぇ」


 そもそも魔力がないヤツには効果がなさそうだ。綺麗だが、あまり必要はない。

 俺は手に握るモファ鉱石を元の位置に戻すと、再び物色を始めた。タニスギポーションを売っていたあの奇妙な店よりは並びが良さそうだ。


 ふと、レジ側を見ると、クーゼが何かを買っていた。それの見た目はどこかチーズに類似している。が、この世界にチーズなんてあるのだろうか……?


「クーゼ、それ何?」

「これ? 非常食。今度の大規模依頼用に買っておく。2日かかる予定だから」


 なるほど。確かに2日もかかるのであれば非常食は必要か。俺も準備をしておこう。


「それ、どこにあった?」

「向こうの棚にある」


 クーゼが指差す方向。そこには数々の非常食と思われる物が棚に鎮座されていた。中には毒々しい色をした物や、ガチガチに固まって食べられなさそうな物もある。

 俺は棚に近づき、クーゼと同じものを掴んだ。クーゼと同様であれば安定だろう。


「ほか、何か必要なモノとかあるかな?」


 クーゼに問いかけると、しばらく顎に手を置いて悩む。が、すぐに手を下ろした。


「武器防具とポーションとモファ鉱石とか」

「結構いろいろ持たなきゃな」


 と言っても、ポーションはトラウマがあるし、少し持っていきたくはない。モファ鉱石は俺に必要ない。ならば、俺の持っていくべきものは非常食だけとなる。案外軽く済みそうだ。


「じゃあ俺は非常食を買いますかね」


 レジで手早く支払いを済まし、しばらくクーゼ待ち。女の子は買い物に時間をかけると聞いたが、まさしくその通りだった。結果として、30分ほど待たされ、クーゼと店を出る頃にはもう夕暮れ時だった。


「どうする? そろそろ帰ろうか?」

「賛成」


 意見は帰る方向で固まった。ならば、残りは帰るのみ。俺たちはギルド方向へ足を向けて歩きだした。が、


「おい、お前!」


 突如、何者かに随分と乱暴な口調で声をかけられた。見るとそこには女の子が2人立っていた。片方は茶髪、もう片方は緑髪。どちらも俺より年下っぽい。2人とも黒いローブを羽織って、頭まで隠している。顔が妙に酷似しており、おそらく双子なのだと分かる。


「えーっと? だれ?」

「私はルーフィ!」

「私はハンザ!」


 ルーフィとハンザは怒ったような表情を俺に向けている。俺、何かしただろうか……。怒りの矛先は明らかにクーゼではなく俺だ。

 俺が困惑しているとクーゼが腕を小突いてきた。見るとクーゼは、何をしたんだ、と言わんばかりの表情を浮かべていた。俺は知らないと肩をすくめて返事した。


「タカヒト・ヤマサトでいいな?」

「あ、ああ」


 彼女たちの確認に、俺は肯定した。するとキッと怒りの表情をさらに強めた。親の仇と言わんばかりの表情。俺、何したんだ……?

 そんな俺の疑問をよそに、彼女たちは十分に溜めて言った。


「「私たちと勝負しろ‼︎」

もうね、どんどん文字数が減っていくんですよ...


書溜めを全て消化してしまったので次は3月21日に更新です

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