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一般人がチートスキルで最強に⁉︎  作者: てるのー
第1章 始まりの慟哭
14/26

14話 モンスター

 外が騒がしい。五月蝿い。人が気持ちよく寝ているってのに……。

 俺はゆっくりと頭を起こした。やはり外が五月蝿い。何か悲鳴まじりの声も聞こえる。


 …………悲鳴?


 俺はゆっくりと宿の窓を開けると外を見てみた。まず覚えたのは違和感。町の真ん中付近に何か大きな建造物が建っている。昨晩寝る前にはあんなもの無かったはずだ。一晩で建った? そんなバカな。

 そして、町の通りではまるでその建造物から逃げるように走る人々。皆、顔を恐怖に染めている。一体どうしたと言うのか……?


「おーい、どうしたんだ⁉︎」


 町行く人に声をかけてみるが、返事は返ってこない。それどころか見向きもされない。一生懸命何かから逃げている様子。

 一目見て異常事態だと分かる。こういう時は冒険者ギルドに行くのが定石だ。


 俺は急いで準備を済ますと冒険者ギルドに……。


 行けなかった。



 誰もいない宿から出た瞬間、何かの足のようなものが俺の元に降ってきた。咄嗟に重力を使い弾いたが、反応が少し遅れれば踏み潰されていた。一体なんだこれは……!

 何が降ってきたのか確認するために俺は上を向き……、そして絶句した。


 巨大な、小さく見積もっても20メートルはあろうかという白い体。虫の様な見た目。そう、あの建造物かと思っていた巨大な何か。それが動いていたのである。しかも、どこか既視感を覚える様な形だ。

 とにかく、モンスターであることは間違いない。冒険者の出動である。


「でかいな。ちょうど良い、俺の力がどこまでなのか試してみようか」


 俺は今まで本気を出したことがなかった。それは出すまでもなかったからだ。だが、これほどのサイズの敵ならば本気を出すに値するだろう。俺は、自分の手の届く範囲を知りたかった。

 力を溜め、能力を発動させる。そして相手を吹き飛ばそうと──


「大丈夫か⁉︎」


 エアロンの声。咄嗟に俺は能力を発動をやめ、力をしまい込んだ。俺は目立ってはいけないのだ。そして振り返ると、そこにはエアロンだけでなく、ジークやアデラの姿もあった。


「俺は無事だ。そっちはどうだ?」

「俺らも無事だ。それよりアレの対処だぜ。どうするよ」


 ジークが横目でアレを見ながら言った。どうすると言われたって、冒険者が出来ることは1つしかない。それしかできないなら、それをただ全うするだけだろう。


「正直めちゃくちゃ逃げたいんだが、冒険者として戦うぜ」


 エアロンが言った。


「私も戦う」


 アデラが言った。

 彼らの考えも俺と同じのようだ。ならば、することは1つ、戦うだけだ。

 と俺が意気込み戦おうとした。が。


「タカヒト。俺たちの道具を持って隣町へ行ってくれ。お前を危険に合わせることはできない」


 ジークが俺に荷物を渡そうとしながら言った。が、俺は受け取らない。受け取るわけがない。俺も戦うんだ。町が危険な今、俺だけ簡単に逃げる訳にもいけない。


「俺も戦う。お前らが思ってるほど俺は弱くない」

「いや、あなたは弱い。あなたが思っているほどあなたは強くないわ」


 俺が参加したいという旨を伝えようとするが、アデラが止めてきた。そういえば、アデラは俺の魔力がほぼ皆無だと知っているんだ。俺の事を弱いと思うのも仕方がない。


「悪いが、俺は行くぜ」


 そう言い残し、モンスターの元へ駆け出そうとする。が、咄嗟にジークが俺の体を抑えてきた。ジークは、短剣を使っているとは思えないほど力が強い。流石はB級冒険者。俺の力だけではとても引き離せない。


「離せ! 俺は行くぞ!」

「やめとけ! お前じゃ勝てねーよ! 殺されるって!」

「死ぬわけねーだろ! だって俺は……!」


 言い切る前に俺は口を噤んでしまった。いや、それどころではない。同時に意識が暗転してきた。


「な……にを…………」

「悪いな、タカヒト」


 おそらく、エアロンが俺の首筋を叩いたのだろう。俺は能力がなければただの人だ。不意打ちにはめっぽう弱い。


「く……そ……」


 俺は、気を失った。

次回から主人公鬱回。

苦手な方はごめんなさい

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