1話 真夏の夜
処女作です。よろしくお願いします
「暑いな……」
俺は真夏の夜の蒸し暑さに負けそうになりながら、それでも前に進む。家の冷蔵庫に貯蓄してあったアイスが底をついてしまったのだ。夏の暑い時期にアイスは必要不可欠な必需品だ。例え冷房がついていようともアイスは欲しくなってしまう。
「へへへ、帰ったらまたゲームでもするとしよう。最近のゲームは進化したな、うんうん」
静かに独り言を呟きながら家の近くのコンビニを目指す。早く家に帰りたいがために早歩きで進んでいた。それも起因して俺の頬には汗が玉のように大量に流れ落ちていた。
何事もなくコンビニに着き、手慣れた動作で目標のアイスを買うとすぐさま今度は家に向かって歩き出す。
今度も何事もなく家に到着。……していれば良かったのだが……。
「おいおい、大丈夫かあれ?」
俺の目の前で小さな女の子が一人横断歩道を渡っていた。それも赤信号の方を。小さな女の子が夜中に一人で何をやっているんだという疑問が浮かぶが、そんな事は今気にしていられない。
案の定、横から大型トラックが女の子に迫ってきていた。居眠り運転でもしているのか、トラックには減速する様子がない。
焦る俺。気づかない少女。
「ッ!」
気づけば、俺は少女を跳ね飛ばしていた。瞬間、時間の流れがゆっくりと感じられた。目前まで迫るトラックに俺は動揺しまともな思考ができない。
定まらない頭の片隅で「俺は何をやっているのだろうか」と思った。人のことなど2の次。自分中心だった俺。今思うとバカだったと思う。
トラックに跳ねられるコンマ数秒前、俺に次の人生があるなら俺は本当に後悔のしない生き方をしよう、そう誓った。
そして……。
俺は吹き飛ばされた。