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第6話:牛丼屋さんに俺はなる⁉︎

ソフィアの帰還をその父、母、姉は泣いて喜んだ。4人で抱き合い、口々に「良かったね。良かったね。」と言い合いながら…

だが、その空間にただ1人だけいる他人のダイキには居にくい空間でもあった。

すると、王様がダイキの方を向き、尋ねた。


「ところで君は何者なんだい?」


ダイキは突然の質問にどう答えたほうがいいのか分からなくなっていた。ソフィアを森で救ってこの城まで送り届けたというならまだしも、実際はソフィアから助けてもらい、ソフィアが城に帰るのについて来ただけなのだ。

よくある話だと、お姫様であるヒロインをピンチを救い、王から命の恩人として感謝されたり、勇者となったりとするのだが、ダイキはソフィアの命の恩人というわけではない。ダイキは自分の無力さを呪った。


「あ、あのですね…その~、なんといいますか…」


とてもじゃないが、ソフィアに救われてノコノコついてきたとは言えなかった。そんなダイキを見かねてか、ソフィアが助け舟をよこした。


「お父様。この方は森で私が迷ってしまった挙句、ヘルウルフに襲われているときに助けてくれて、この城まで送り届けてくれた命の恩人なの!」


この言葉を聞いたダイキは耳を疑った。ソフィアが言ったことはほぼ全てが嘘だった。


「何言ってるん……」


ギロッ


「そうだよね!」


ダイキが彼女の発言を否定しようとしたが、ソフィアがダイキの方を睨んできた。同意を求めるような口調で「そうだよね!」言い、目力で「話を合わせろ!」と語りかけてくる。

ダイキもバカではないので、ソフィアの話に合わせたほうが、自分に得なのは分かっていた。


「そ、そうだな…そうだ、そうだ。」


ダイキは自分に言い聞かせるようにして、ソフィアの話に合わせた。


その話を聞くとソフィアの家族のダイキに対する目線はガラリと変わった。


「これは失礼なことをもうしてしまい、申し訳ない。ソフィアをお助けいただいたことに礼を言おう。」


そう言って、王様は深く頭を下げた。


「いえいえ、そんな大した事はありません。頭をあげてください。」


礼を言われるのは嬉しいが、実際は何もしていないので何か申し訳ない気持ちがした。


「ならば、お主の名前を聞かせてもらっていいか?」


「名前ですか…飯田大輝と言います。」


「なるほど、イイダダイキか…変わった名前だな。」


「そうですかね?あっ、ダイキだけでいいですけど…」


「私たちも自己紹介しておこう。まず、国王でソフィアの父親のオルド=ルンベックだ。」


「わたくしは国王の妃でソフィアの母親のエリス=ルンベックです。」


「私は王女でソフィアの姉のカリーナ=ルンベックです。」


自己紹介が終わり、オルド国王は改めて頭を下げた。


「この度は、ソフィアの命を救っていただき、まことにありがとうございます。命の恩人であるダイキ様には何かお礼を。」


「顔をあげてください。お礼なんかいらないですから。」


そこでソフィアはまたまた勝手なことを言い出したのだ。


「でも、ダイキ君ってたしか、遠くの国から来てて、お金も無いし、家も無いんだよね。それなら、王城に住んだらどうかなぁ?」


「それは…まぁ、否定は出来ないけど、そこまで面倒を見てもらわなくてもいいよ。」


このまま家もお金ももらえるのなら楽なのだが、自分のプライドが許さなかった。

自分の力でこの世界を生きてみたいという思いがあるのだ。

だが、このままでは野垂死にしてしまうのも事実である。


そんな考え込んでいるダイキの耳元にソフィアが囁いてきた。


「ダイキ君。気持ちはわからなくも無いけど、ここは素直にお礼を受け取ってちょうだい。」


「ごめん。このまま養われて生きていくのは嫌なんだ。自分の力で生きてみたい。でも…」


ダイキはやっと心を決めた。


「自分で生活できるまで、この王城に置いてください‼︎」


自分が生きていくにはこれしかない。



***こうしてダイキは王城に客人として置いてもらう事になった。


その次の日はソフィアがこの王城の見学をさせてくれた。

ソフィアと2人だったため、デートのようでダイキはドキドキしていた。

そんなゆったりとした日々を一週間ほど過ごした頃だった。

ダイキはやっとこの国でどうやって生きていくのかを決めたのである。なので、これまでの一週間はこれからのことを考えている期間であった。


断じて遊んでいただけでは無い!


初めは、異世界らしく冒険者ギルドに入り、ザ異世界道を突き進むのも悪くは無いと思ったが、何しろ、なんのチートスキルも無い。平凡な日本の高校生がモンスター達と戦えるわけ無いじゃ無いか!

ということで、冒険者は却下。残されたのは商人などになる道だ。商人になるとしたら何をしようか?と考えている途中でナイスアイディアが浮かんだ。


牛丼屋だ!


この世界には牛丼という食べ物は無いだろう。ソフィアの牛丼を食べた時の反応を見れば分かる。そして、ソフィアには牛丼が好評だった。ということは、この国の人たちにの口にも合うはず。物珍しい美味しい食べ物があれば、客は必ず来る!大儲けのチャンスだ。


牛丼屋に俺はなる‼︎


次回も18時更新予定です!

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