第13話:ギルドへ加入
短めで申し訳ありません。
記入を終えたダイキは、書類を受付の女性に渡した。
受付の女性は記入事項がしっかりと書かれているのかを確認し、静かに「うん」と頷いた。
「では、イイダダイキ様。これで登録は完了しました。また、これからダイキ様の担当はわたくし、セレナが担当しますのでよろしくお願いしますね。」
セレナはニコッと笑みを浮かべた。
と、そこまでは良かったのだが…
セレナはソフィアをチラチラ見ながら、ダイキの耳元でコソコソと喋りだす。
「それにしても、ダイキ様なかなかやりますね〜! あのソフィア様って、ダイキ様の彼女ですよね?」
「なっ‼︎ べ、別に彼女とかじゃないですよ?」
少し照れながら、ダイキは頭を掻いた。
「アタックしたらどうですか?」
「いやいや、ソフィアは俺のことなんてなんとも思ってないだろうし。」
「でも、彼女、結構あなたのことを心配してたりしてましたよ。」
「いや、でも…」
「プークスクス、あんな綺麗な娘でもこんなチキンダイキ様が相手なら可哀想ですね〜w」
「オイ!」(こいつ、初対面なのに俺をチキンチキンと… なんか腹立つな‼︎)
2人が何を話しているのか気になったのか、席に座って待っていたソフィアがこちらに向かって歩いてきた。
「どうしたの? 2人とも私の方を見て話してたけど…」
「えっ!いや、別になんもないよ。それよりも登録すんだし、早く帰ろう。」
ソフィアには誤魔化し、どうにも調子が狂ってしまうセレナとは早めに別れるべく、ダイキはソフィアの手を引いて、ギルドの出口へ向けてスタスタ歩いた。
途中、振り返ってみると、セレナがニヤニヤしながら手を振っている。性格の悪いやつだ。一瞬でも美女だと思ってしまった自分を呪ってやりたいとダイキは思った。
「ねぇ、なんであの人、あんなにニヤニヤしてるの?」
ソフィアはセレナへ手を振り返しつつも、やはりニヤニヤ顔が気になったのか、ダイキに尋ねてきた。
それに対して、ダイキは「あんな大人にはなるなよ。」とだけ返し、できる限りセレナと目を合わさぬようにした。
ギルドを出ると、日はすっかり沈んでしまっており、街は綺麗に明かりで灯されていた。異世界の街並みは夜になるとまた一段と魅力的になる。
「今日はどうするの、 城に泊まる? 一応、ダイキくんの家に家具とかはもう運び終わってると思うけど。」
「え! もう運び終わってるの⁉︎」
すごい早業だが、姫であるソフィアの頼みで、城の人たちが動いたのだと思うと、そのくらい楽勝なのかとダイキは1人で納得した。なんといったって、目の前にいるこの異世界美少女はこの国の姫なのだ。慣れてしまって、すっかり忘れかけていた。
「うーん… そしたら今日からは俺の家で暮らしていくことにするよ。でも、まずはソフィアを送って帰ろう。」
「いいよ、私は1人で大丈夫だし。」
「いや、そういうわけにもいかないよ。男が女を家まで送ってやるっていうのは当たり前のことだ! それに、城のみんなにもお世話になりましたぐらい言わなくちゃいけないしね。」
□■□
その後、ソフィアの両親にお礼を済ませ、ダイキは初めての自分の店舗に到着した。
あの老人が言っていた通り、王都の栄えているところからは少し離れてはいたが、想像していたよりも近く、これなら王都からも十分お客さんが来れる距離だとダイキは安心した。
もう夜なので、家の周りや店舗の外装などの細かいところまでは分からないが、中に入ってみると、一階にキッチンやテーブルがあり、店舗ようになっている。
そこから2階に上がる階段を上っていくと、そこは居住スペースになっていた。
ソフィアが言っていた通り、家具などはすでに配置されており、トイレや浴室もしっかり付いている。
居住スペースは1人で暮らすには十分すぎる広さで、ダイキは大満足だった。
一日中歩き、クタクタのダイキは風呂に入って寝ることにした。
「体は綺麗にしとかないとな。不潔は嫌われる!」
浴室には蛇口がついており、それを捻ることによって水が出てきた。
「すごい。水道もあるんだな。」
王都のような栄えているところだけなのかもしれないが、この異世界には水道が設備されていることに少し感動を覚えた。
しかし、ここで問題発生だ!
なんと、水をお湯に出来ないのだ。浴室に蛇口があるからには、何かしらのお湯にする方法があるはずなのだが、ダイキにはわからない。
こうなってしまえば、いちいちキッチンでお湯を沸かして持ってこなければならない。
「だるっっっ!」
風呂に入るのは諦め、ダイキはソッコーで寝てしまった。
明日、夜10時投稿予定。




