2ている:ごぜんちゅう
「お片づけおわりっ」
朝食の片付けを終わらせる。
拭き終わったお茶碗を重ねていると、凄く嬉しい気持ちになる。
お揃いで色違いのお茶碗とお箸。
なんだかとっても……夫婦みたい……。
「えへへ……照れちゃいますね」
お店で月夜が凄く気にしていたのを見た兄さまは今まで使っていた物があったのに
この色違いのセットになっているお茶碗とお箸を買ってくれた。
だから凄く大事。
「次は、お掃除! の前に、今日はお洗濯もしないと」
兄さまと二人暮らしなので、毎日お洗濯をするほどでもないけれど、今日はお洗濯日和。
お日様も眩しいし、ポカポカ温かい。
「お布団も干したいな……兄さまきっとフカフカのお布団は喜よね」
フカフカのお布団は月夜も大好き。
えへへ……フカフカのお布団で兄さまと一緒に寝たいな……
それに、月夜のお胸も結構フカフカだと思うので、兄さまにフカフカして……ふふっ
ふぇ、顔がアツくなってきちゃった……兄さまぁ……
「いけないいけない……」
気を取り直してまずはお洗濯、お洗濯。
お洗濯物……強敵です。
…………
……
強敵なのです。
あうう……。
だって……。
兄さまの洗濯物、スリスリしたりくるまったりしたくなってしまうのです。
月夜、いけない娘ねこです……兄さまごめんなさい……でも、やめられないのです……。
娘ねこの本能です……きっと。
抗えないです。
ダメと分かっていても、兄さまのシャツにくるまってソファーで少しゴロゴロしたのは内緒。
「はふぅ……」
兄さまのシャツをほんの少しだけ、ちょっとだけ堪能して……ようやく洗濯機を回し始めた。
少し前までは兄さまのシャツを着て過ごしていたのだけれど、今は兄さまが心配するので今はしていない。
パジャマにするのだけでも許して欲しくてニャーニャー泣いて頼んだけれど、ダメって言われた。
それならシャツも着なくていい?と聞いたらもっとダメと言われた。
月夜は兄さまのぬくもりをもっと感じで寝たいのですけど……
でも兄さまが選んでくれたかわいいパジャマは大好きですよ?
時々脱げてしまうのは仕方ないです、月夜の寝相は少しよくないですので。
お掃除はいつもしているのですぐに終わってしまう……兄さまは隠し物も無いので残念です。
マンガやアニメだとベッドの下や机の奥とかにちょっとエッチな本見たいのがあるのに
兄さまは持っていない。
もし持っていたら「兄さまのバカー!本なんか見ないで月夜を見てー!」って言ってみたい。
アニメにはそんなシーンがあった気がする。
きっと、月夜は負けないもん……多分。
負けない……にゃう……。
……。
今日の夜は兄さまに沢山甘えたいです……うう。
兄さまぁ……。
ふにゃふにゃしながらも、流れるような動作で思わず干そうとしていたお布団に潜り込む。
「ふへへ……兄さまぁ……」
もうぬくもり的な感じの物は無いけれど、それでもお布団の中は兄さまを沢山感じられる。
「兄さま……大好きです」
少し前にお見送りした兄さまの事を思い出す。
「少しだけ寂しいのですよ、月夜は」
いつでも一緒にいたい。
でもそういうわけには行かない。
兄さまは生活しなくていはいけないし、それに月夜の面倒をみてくれている。
月夜ももっと兄さまのお役にたちたいのです。
でも、月夜には兄さまのお世話をするしかでいないのです……。
「【娘ねこ】じゃなかったらもっと違うのかな……」
そんな事を考える時もある……でも月夜は【娘ねこ】なのです。
月夜に出来るのは、
兄さまが普通に暮らせて
気持ちよく過ごせて
それが月夜の役目です。
「だからもっと月夜をお役にたてさせて欲しいです……」
兄さまの言うことならなんでも聞くのですよ?
兄さまにされるならどんな事でも……恥ずかしくないのですよ?
もっとして、好きにして欲しいのです……
「にいさまぁ……」
おなかのところがキュンとするのです。
「お布団干さなきゃいけないのに……ダメなのに……」
キュンとしたのが止まらにゃ……。
「全部兄さまのものなのですよ、月夜の全部……」
少し息苦しいし、ドキドキも止まらないです。
兄さま、本当は兄さまにさわって……ね……月夜の色々……
もっと、もっと、もっと……
でも……。
「にいさま……ごめんなさいです……」
少しだけ、許してくださいです。
あとでお布団ちゃんと干しますから……。
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「えへへ、いいお天気です!」
お布団と洗濯物を干し終わって一息つく。
少し手違い(?)があって、お布団を干す前にお洗濯も終わってしまったので、同時にやらなきゃいけなくなってしまった。
もう少ししたらお昼なので本当は我慢しなくてはいけないのに……
テーブルの上に置いてあったクッキーを(朝おばあちゃんからもらった)つまんでしまう。
「へへ、おいしっ」
止まらないです……。
お昼を食べたらお買い物に行って、お菓子の材料を買ってこようかな。
「夕食の買い物しながらまたおばあちゃんのお店に買い物に行こうかな……」
それにしてもクッキーがとまらない……
ダメと思いながら、あたたかい牛乳も用意してしまった。
「牛乳を飲んでおっきくなったら兄さまは喜ぶのかな……」
そんな事を思いながら、クッキーを食べる手が止まらなーい。
これはお昼の量を減らさないとダメでかも。