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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
75/76

Episode 075【シーカーの強さ】

 Dとラルフォンスの戦いは、一方的な展開を見せていた。

 しかしながら、ラルフォンスの攻撃をいくら受けても倒れようとしないDに対して。

 苛立ちを見せ始めたラルフォンスは、自らの腰に提げていた縄を手に取り出した。


「何だ? あの縄?」


 Dとラルフォンスの戦いを観戦していたアカツキが呟く。


「あれ、腰に提げる為に輪っかにしてあったんとちゃうんか?」


 アカツキの疑問にTrashも続いた。

 二人が不思議に思うのも無理はなかった。何故ならラルフォンスが手に取った縄は、輪っかに丸まれて腰に提げいた時と同じ形状でラルフォンスの手に収まっていたのであった。


「普通、垂れ下がったり伸びたりするよな?」

「せやな」


 二人がいつまでも不思議そうに、ラルフォンスの縄を見ていると。

 アカツキの隣から、男の声が聞こえてきた。


「あれは、シーカー・ロープって言うんだよ」


 そう言って、男はアカツキが置いていた鞄を退け。

 その席に座った。


「ここ、良いか?」


 すでに座り終えてから、アカツキに尋ねてくる男。


「あ! ああ、良いですよ。そこに座るはずだった奴が、今目の前で戦ってるんで」


 その言葉に男がきょとんとし、訳が分からないでいる様子であったので。

 Trashが理由を説明すると、男は突然笑い始めた。


「何だって? あの一方的にやられてるのが、お前達の仲間で。間違って、この祭に参加したってのか?」

「そうなんですよ」


 男の容姿が、アカツキよりも年齢が上の様に見えるせいか。

 何となく、敬語で話すアカツキ。


「ってか。さっき言うた。シーカー・ロープって何なんや?」


 Trashの言葉に、男は思い出したかの様に答え出した。


「ああ! シーカーが使う、特殊な素材で出来た縄の事な」

「シーカー?」


 男の言葉に、アカツキが聞き返した。


「上級職の一つだよ」

「上級職!? Dの相手、上級職なのかよっ!!」

「そう、そう。アンタの職業から派生する上級職の一つな」


 そう言って、男はTrashの方を指差した。


「俺の?」

「そ、ストライダーからの派生職な」

「どうりで、動きが俺に似とったんか」


 ラルフォンスをストライダーと勘違いしていた事に合点がいくTrash。


「で、で! その、シーカー・ロープっての何なの?」


 アカツキが興味深そうに、男に詰め寄る。

 そして男は、闘技場の方を見つめ答え出した。


「あのロープは元々、ああいう風に丸まる様に出来てるんだよ。それに力尽くで引っ張っても、伸びないしな」

「はぁ? 何でや? そんなんで意味あんのか?」

「そうだよな? 普通なら、意味無いよな?」

「え? どういう事?」

「ストライダーの特徴ってさ、近接戦闘も遠距離戦闘も出来て便利なジョブだよな?」


 男が再確認する様にTrashに尋ねた。


「せやな」


 男の言葉に素直に答えるTrash。


「でも攻撃力で言えば、そんなに高くはない。弓の一撃は、それなりに威力はあるが。確実に全ての矢を的に当てるのは難しい」

「弓って、そんなに難しいのか?」


 アカツキがTrashに尋ねる。


「せやな。お前らが敵と戦っとって、敵の気を引き付けとってくれたら。当てるのは、そんなに大変やないけど。やっぱし、毎回、適正射程に敵を捉えられとるか?ってなるとムズイな」


 その言葉を聞いて、男は再び話し出した。


「あのロープは、それを解消する為に出来たモンなんだよ」

「解消?」

「ああ、そうだ。低い攻撃力と動き回る敵の両方を解消するな」

「どういう事や?」

「あのロープ、力尽くでやっても伸びないって言ったよな?」

「うん」

「あのロープを伸ばすには、飛び抜けた瞬発力が要るんだよ」

「え? 瞬発力って、力じゃん」

「ちゃう、ちゃう。アカツキ。一瞬の速さの事やろ?」

「そ、一瞬で繰り出す速さが必要なんだよ」

「で、それが何や言うんや?」

「ああ。あのロープな、伸ばされたら一瞬で最大まで伸びきるんだよ。それで、すぐに元の丸まった形状に戻るんだけどなーー」


 男が、まだ話を続けていると。

 闘技場の方から、何かが落ちた音がした。Trashとアカツキが闘技場の方に視線を移すと、そこには今まで倒れなかったDが、地面に肩肘を付いた状態で倒れていた。


「どうなってんだ!?」


 その光景を驚きの表情で見つめるアカツキとTrash。


「ああなるんだよ」


 そんな二人に男が言葉を続けた。


「どういう事や?」


 Trashの問いに、男は「まあ、見ておきな」と答え。闘技場の方を見た。

 闘技場ではDが立ち上がり、再びラルフォンスと対峙していた。


「どうだ? 驚いたか? これが俺の本当の力さ」


 そう言って、ラルフォンスはシーカー・ロープをDの方に向けて振った。

 ロープはDの方に向かって一直線に伸びていき、その先端に取り付けられている鉤爪でDを捉えると。

 今度は一瞬にして丸まり始めた。すると、その力を利用しラルフォンスが凄まじい勢いでDに突進していく。

 ラルフォンスの全体重が乗った攻撃を喰らって、Dが再び後方に吹き飛んでいく。


「マジかよ……」


 目の前に起こった出来事に、呆然とするアカツキ。


「これが、シーカー……」


 Trashも初めて目の当たりにする上級職の攻撃に、言葉を詰まらせた。


「あれが、シーカー・ロープの凄みの一つだよ」

「一つ?」


 男の言葉が気になり、Trashが聞き返す。

 しかし男は、その問いに答えようとしなかった。



(痛ってぇ……。 ズンッ!!って感じでくるなぁ……)


 今までと質が違うラルフォンスの攻撃を受けて、Dが思う。


(アングルリウスに比べたら、全然マシな方やけど。あれ喰らい続けたら、マジでやべぇな……)


 再び立ち上がり、ラルフォンスと対峙するD。


(どないしたらええ? どないしたら?)


 そんなDに対して。

 ラルフォンスが再び、ロープを振りかざし始めた。





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