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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
74/76

Episode 074【一方的と第3回戦と】

 晴れ渡る空を見つめるTrash。

 TrashはDとーー。

 いや、「土居 好春」と出会った時からの事を思い返していた。


「なんでや?」


 そのTrashの言葉に、横で盛り上がっているアカツキが声を掛けた。


「ああ? 何か言ったか? トラ?」

「何で、あいつはあそこまでアホなんや?」


 空を見上げたままアカツキに答えるTrash。


「お前が知らねぇ事を、俺が知るわけねぇだろ」


 それを聞いて、Trashはアカツキの胸ぐらを掴んで叫んできた。


「なぁ、アカツキ!! 教えてくれや!! いつまで、俺はあんなアホの面倒見なあかんねん!?」


 絶望な顔でアカツキの方を見るTrash。


「苦労してるよなぁ。お前って、ほんと」


 そう言って、笑うアカツキ。

 そしてアカツキは言葉を続けた。


「ってかさ。今から、そのアホの戦い始まるぞ。一緒に応援してやろうぜ!!」


 それを聞いて、一度ため息をつき。

 アカツキに応える、Trash。


「どうせ、あんなアホ。一回戦負けに決まっとんがいや」

「まぁ、そうだとしても。応援してやろぜ」

「しゃあないのぉ」


 そしてTrashは闘技場の方へと顔をやった。

 Dの対戦相手、ラルフォンス・ゲーデマンと呼ばれた男。その男の装備からして、ラルフォンスの職業はTrashと同じ様な身軽さと素早さに秀でた職業に見えた。


「にしても、あのアホが苦手そうな相手やの」


 それを聞いて、嬉しそうな顔でアカツキがTrashに声を掛けた。


「お! なんだかんだ言って、Dの相手が気になるみたいだな」

「そんなん、ちゃうわい!! この手の祭には賞金があるやろ。どうせ、参加したんや。その賞金と引き換えに、今回は許したろってこっちゃ!!」

「お前なぁ」


 Trashとアカツキが見守る闘技場では、Dとラルフォンスが対峙し、開始の合図を待っていた。


「それでは、1回戦の第3試合を開始します!! 始めっ!!」


 その言葉と共に、大きな歓声が上がる。



「俺の相手がどんな野郎かと思っていたが。まさか、こんなルーキーだとはな。かなりツイてるな、俺」


 ラルフォンスがDに向かって言葉を掛けてきた。


「うるさいのぉ。こっちは間違って、出てしもとんねん!! それに、これ。クジ引きも何もせんと、いきなりトーナメント表出来上がっとるし!!」

「だったら、さっさと終わらせてやろうじゃねぇか!!」


 そう言って、ラルフォンスがDに駆け出す。

 とっさに大剣を抜き、身構えるD。

 しかしDはラルフォンスの素早さに目がついていけず、そのまま攻撃を食らってしまう。

 腕や足に斬り傷が出来上がるD。


「何だ、お前? 全然だな、これじゃマジで楽勝じゃんかよ」


 その様子を見ていたアカツキが、Trashに声を掛けた。


「何だ、ありゃ!? 動き、速すぎだろ!! ストライダーって、あんなに速ぇのかよ?」

「レベルが高いからか? 俺でも、あんな速う動けた事ないぞ」

「Dぃ。何もせずに、このままやられんじゃねぇぞぉ」


 心配そうにDの方を見るアカツキ。


「お前みたいな、ノロマな野郎は。ウォール・ウインドだけ、十分だな」


 そしてラルフォンスは手に持っているダガーを強く握り、Dの方へと駆け出していく。

 その動きについていけず、Dはまたラルフォンスの攻撃を受けてしまった。

 Dの体に、また新たな斬り傷が出来上がる。

 それを見て、ラルフォンスが再度Dに対して攻撃を仕掛ける。

 そして闘技場では、その光景が繰り返し続いた。


「ああ!! Dぃ!! やられてばっかじゃんかよ!! せめて剣で防ぐなりしろよっ!!」


 それを見ていたアカツキが声を上げる。


「あいつ、最近。戦いで、よう傷作りよるけど。アクェン使えぇいうねん!!」


 アカツキの隣で苛立つがTrashが言葉を発する。

 そしてTrashは立ち上がり、闘技場のDに向かって叫び始めた。


「おい!! こら、お前!! 避けられへんねやった、せめてアクェンで防ぐとかせんかいやっ!!」


 そんなTrashの言葉に、身構えていたDがTrash達の方へ体を向け返事をしてきた。


「うるさいのぉ!! よう分からんけど、アクェン使えんようになっとんじゃいや!!」

「はぁ!? 使えへんって、どういう事やねん!?」

「うんなん、俺が知るかぁ!!」

「お前、ほんまアホこっ!?」


 それを見ていたラルフォンスが苛立ち。

 Dに再度、攻撃を仕掛けた。


「痛っ!!」


 Dの顔に斬り傷が出来る。


「何も出来ねぇ、ルーキ風情が余所見してんじゃねぇぞ!! コラァ!!」

「俺かて、さっきから色々考えとんねん!! ヤイヤイ言わんと、お前は攻撃続けとかんかい!!」

「何だとぉ!!」


 そして闘技場で、先程と同じ光景が続く。


「何だ? Dの奴、あんなに攻撃食らって平気なのか?」

「俺らストライダーは、一発一発の攻撃力はそんな無いからの。にしても、アクェン使えへんって。一体、どういう事やねん?」


 そんなTrashの思いも他所に。

 Dの頭の中では、ずっとある言葉が響いていた


『だ〜か〜らぁああ、そんな真正面に行っても駄目って言ってるでしょ!!』


(って、言われてもなぁ。あんな動き速い奴の背後とか、どないして取ったらええねん? さすがに、このままやられてばっかやと。終いには倒れてまうぞぉ……)


 自分の攻撃を受けても、なかなか倒れる事をしないDに対して。

 ラルフォンスの苛立ちが、最高潮に達していく。


「お前、カッコつけてんじゃねぇぞ!! 低レベルなルーキーは、大人しく倒れやがれ!!」

「別にカッコつけてへんわい!! こっちはこっちで必死なんじゃ!!」


 しかしラルフォンスはDの言葉を無視する様に、更に言葉を続けた。


「シーカーの本当の強さを見せてやるよ」


 そしてラルフォンスが、腰に提げあった縄を持ち出した。


「縄?」






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