Episode 071【相変らずの二人】
Dがカピパラと共に、イヴとハンターの特訓を受けてから三回目の朝を迎えていた。
そんな四人は朝食を食べながら、談笑をしている最中であった。
「カピたんは、もう一人でもアングルリウス倒せそうだよね」
「そう? へへへ」
笑顔で話し掛けてきたイヴに、照れ笑いでカピパラが答えた。
「俺は? 俺は?」
そんな二人を見て、Dがイヴに問い掛ける。
「Dはねぇ、相変らず真正面から向かってっちゃう所があるからねぇ。そこを、まず直さないとだね」
「やっぱしかぁ」
そんなDを見て、ハンターが声を掛けてきた。
「それでも最初に比べたら、だいぶマシになってるぞ」
「マジで? やった!」
「ダメだよ、ハンターさん。Dはすぐに調子に乗っちゃうんだから」
「ああ、ごめんごめん」
「誰が、すぐに調子にのるや!? イヴ、これでもすぐに何でも忘れるから、ハンターに褒められた事もすぐに忘れらいっ!!」
「D、それは威張って言えるもんじゃないよ」
呆れたように笑いながら、カピパラがDに話しかけた。
「マジで?」
「うん、マジで」
「そかぁ」
4人が楽しそうに話していると、ハンターがふと思い出したようにDに話し掛けてきた。
「そういえば、Dって。一緒に旅してるメンバーが居るんだよな?」
「居るで」
「そいつらから連絡とかないのか? 見るからに、ここへ来てからDが誰かに連絡してるような所ないよな?」
「せやな。起きて飯食って、戦って。気ぃ付いたら夜って感じやもんな。毎回失神させられて」
「それで、連絡着てないの?」
イヴも気になったのかDに声を掛けてきた。
「連絡あったら、さすがに気付くやろう?」
そう言って、Dがメニューからボイスチャットを開こうとした。
「Dの事だから、連絡着てても気付いてないだけーー」
カピパラがまだ言葉を発していると。
「あ”っ!!」
真っ青になった顔をしたDが、"やってしまった"と言わんばかりの声をあげた。
「やっぱり着てたのか?」
隣で固まるDに、ハンターが笑いながら声を掛ける。
それに対して、顔を向け無言で頷くD。
「いつあったの?」
そんなDにイヴが重ねて聞いてきた。
「ここに来た日から……?」
今にも現実逃避しそうなDに、カピパラも声を掛けた。
「それって、毎日あったんじゃ?」
「うん……」
「駄目じゃんっ!!」
「返事したのっ!?」
「いや……。今言われて、初めて気付いたから。全然……」
「早く、連絡しろよ!!」
「いや……、気付かへんだ事にしたあかんかな……?」
「何で?」
「いや……、メールも着とんやけど。めちゃ怒っとるから……、あかんかな?」
「あかんに決まってるでしょ!! 早く連絡しなさいっ!!」
少し離れた所で、落ち込んだように小さくなるDの背中を見守るイヴ達。
「あれは、どう見ても説教食らってる背中だな」
ハンターが可笑しそうに二人に話し掛けた。
「Dって、あれでも結構な大人だよ。よく今まで生きてこられたよね」
不思議そうにイヴが答えた。
「Dの事だから、キャラじゃないって思ってたけど。リアルでも、あのまんまなんだろうね」
残念そうにカピパラが話す。
三人が話していると、明らかに凹んだ顔をしたDが戻って来た。
「どうだった?」
そんなDにハンターが声を掛ける。
「お前、今何処に居んねん!?って」
「それで?」
「早よ、帰ってこい!!って」
「だろうね、やっぱり」
「何か、すげぇ急いどる感じやったわ。今日何かあったんかな?」
Dの言葉を聞いて、思い出したようにイヴが答えた。
「あれじゃない? 祭りの事なんじゃないかな?」
「祭り? ああ!! 今日祭りか!?」
「なんだ、知ってたのか?」
「いや。ここに来る前に、変なおっさんから聞いたんや。そか、今日祭りやったんか」
「急いでる原因が祭りだとしたら、ほんとに急がないとヤバいんじゃない?」
「なんで?」
「だって、あと一時間くらいで始まっちゃよ」
「えっ!?」
「ここから馬で戻っても、それくらい掛かるよ」
「まじ?」
「お前……、ほんとに痛い奴だな……」
「あかんやん!! 急がな、マジあかんやん!!」
「D、今からすぐにログタウンに戻らないと」
「ああ、そうするわ。色々、サンキューな!!」
そう言って、Dが急いで山を降りて行った。
「あいつ、今までほんとに良く生きてこられたよな」
「だねぇ」
「馬鹿と言うか痛いと言うか。何か変わってるよね」
Dを見送ってから三人が話す。
「あかん!! マジ、やばいぞ!! 急げ、パサー!! 急いでくれぇえ!!」
エルコンドルパサーに声を掛けながら、急いで〈ログタウン〉に戻るD。
その帰路は、カピパラに案内してもらった時に比べ。道を進むのが早く感じた。
そして、しばらくすると遠くに〈ログタウン〉の街並みが見えてきた。
「おっしゃあ!! もうすぐや!! 頑張れ、パサー!!」
そして〈ログタウン〉に着くなり、エルコンドルパサーから降りるD。
「ありがとう」と声を掛けながら、エルコンドルパサーの頭をポンポンとし、すぐさま街中に走って行った。
その背中を見送るエルコンドルパサー。
「おまぁ!! 何処で何やっとったんじゃあ!? ボケぇ!!」
街中にTrashの声が響き渡る。
「すまん!! マジですまん!!」
それに対し必死で謝るDの姿があった。
「まあまあ、何とか間に合ったんだし。もう許してやろぜ、トラ」
「あかーん!! こいつは、こう言うとって、毎回こうやねん!!」
「いや、ほんまにすまんて!!」
「お前、今度おんなじ事したら。首に縄付けるぞ!!」
「犬やんけ、そんなん!?」
「あほう!! 犬でも、どっか行っても、ちゃんと戻ってくらぁ!! お前は犬以下じゃ!!」
「まじかぁ!!」
「マジじゃい、ボケぇ!!」
「まあまあ。こんな事してたら、ほんとに祭り始まってしまうぞ」
アカツキの言葉に気を取り戻すTrash。
「ったく、それもあんのぉ」
「せや!! 祭りやった!! 何かモンスタースレイヤーの腕試し的なもんなんやろ!?」
「D。お前、祭りの事知ってたのか?」
意外な顔をしたアカツキが声を掛けた。
「おお。ここ出る前に、変なおっさんから聞いたんや」
それを聞いたTrashの何かが切れる音がした。
「おまぁあああああ!!」
そんなTrashを必死で抑えるアカツキ。
「お前ら、幼馴染のくせに。毎回こんな事してるのかよっ!?」
『幼馴染ちゃう!! 腐れ縁や!!』




