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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
7/76

Episode 007【ストライダーのF】

 〈アンダー・アイス〉へ最短距離で行く為に街道から外れたTrsahとD。その道中はハウンドウルフなどの戦闘もあったが順調に進んでいた。しかし しばらく歩いていると遠くの方から大きな音が聞こえ、その音の振動は二人の体にも響いて伝わってきた。その音に驚くDと警戒するTrash。そして二人は音の鳴る方向に走り出した。


「何かのイベント発生かな?」


Trashに問いかけるD。


「どやろな?」


言葉少なに応えるTrash。


「どうかしたんか?」


いつもと雰囲気が違うTrashに疑問を感じ、Dがまた問いかける。


「これがゲームのイベントなんか。それとも、そやないんか気になってな。」

「なるほど。そういう事やったんか。」


Trashとは違い、その事に対して軽い反応のD。

そんなDに対してTrashも何も感じていない様子であった。


「お前くだらん事には何かと思うのに、こういう事には相変わらずやな。」

「まあ、俺の場合 そういうのは考えるよりも先に動いてまう方やからな。それに お前の方が俺より賢いし、お前の判断に任せるわ。」

「ったく。ええか、無茶だけはすなよ。」

「任された。」


ある程度走っていると、先の方に大きな岩のような体をした怪物と人が一人居るのが見えた。その人物は怪物に襲われている様子であった。


「イベント発生っぽいな。」

「せやな、でも気ぃ抜くなよ。」


怪物に向かい走っていくD。

Trashは矢を取り出し弓を構える。


「トリプリケートっ!!」


Trashが放った矢が人に襲いかかろうとしている怪物に当たる。Trashの攻撃により動きが一瞬止まる怪物。


「ソードスラァアッシュっ!!」


動きの止まった怪物に間髪入れず攻撃するD。

Dの攻撃をまともに受けた怪物が衝撃により後退りする。


「やっぱ、ゴブリンやハウンドウルフとはちゃうな。」


自分のスキルを受けても倒れない怪物を見てDが言う。二人は〈アンダー・アイス〉への道中に起こったモンスターなどとの戦闘によりレベルが上がっていたのである。そしてレベルが上がったDのスキル〈ソードスラッシュ〉はゴブリンやハウンドウルフに対しては一撃で倒せる程になっていた。


「こいつは何者や?」


そう言い、怪物のステータスを見るTrash。

名前やHP・MPの簡単なステータスならば、特定のスキルが無くても見れる事も〈アンダー・アイス〉への道中で分かった事であった。


「ストーンゴーレム、レベル12っ!?」

「トラ、こいつレベル12なんこ!?」

「せや、さっきのお前の攻撃も全然ダメージ喰ろてへんぞっ。気を付けろ、Dぃ!!」

「マジか。」


警戒し先程とは目つきが変わるD。


「レベル上がっといて良かったな。」


そう言い、ストーンゴーレムに大剣を構えるD。


「アクェンっ!!」


Dがスキルを発生させる。するとDの全身が一瞬黄色く光り、体の周りを光が走っている様になった。


「ブラックアウトっ!!」


Trashの手から黒い霧の様な物が現れ、その霧をストーンゴーレムの顔に向け放つTrash。するとストーンゴーレムに〈暗闇〉のデバフがかかる。ストーンゴーレムに攻撃を仕掛けるD。職業〈ウォーリア〉は素早い攻撃が出来ないものの、一発の攻撃力は初期職業の中では一番の破壊力を誇っていた。Dの攻撃の後にストーンゴーレムに矢を放つTrash。そして再度Dがストーンゴーレムに攻撃する。幾度かの戦闘で知らぬ間に二人の連携は上がっていた。


「こいつ何やねん? 全然体力減らへんやんけ。」


何度も攻撃を仕掛けているDが、ストーンゴーレムの強さに驚く。


「動きが鈍いから、攻撃喰らわんですんどるけど。レベル差がありすぎる。D、とりあえず その人連れて逃げっぞ。」

「了解。」


ストーンゴーレムに襲われていた人物の所に向かうD。そんなDに〈暗闇〉のデバフが切れたストーンゴーレムの攻撃が襲う。攻撃をまともに受けたDが吹き飛ばされる。しかし何事もなかったかの様に立ち上がるD。それでも驚くD。


「マジかっ!? アクェンが一発で!?」


Dの反応にTrashも驚く。


「マジでかっ!? あかん、急いで逃げっぞ!!」


しかし、またストーンゴーレムがDに襲いかかろうとしていた。


「ヤバいっ! D、避けろっ!!」


Trashの声も虚しく、ストーンゴーレムの攻撃がDに襲いかかる。


「トリプリケートっ!!」


ストーンゴーレムの顔に矢が当たる。Dを殴ろうとしていたストーンゴーレムの手がDから逸れ地面にあたる。すると先程聞いていた音の正体が分かった。ストーンゴーレムの攻撃が地面に当たると同時に大きな音が鳴り地面が響く。そして襲われていたと思っていた人物が自分達と同じプレイヤーである事に気付く二人。


「お前ら、逃げるぞ。」


その人物に言われ、逃げ出す二人。

なんとかストーンゴーレムから逃げ出す事が出来た三人。


「何やあの強さ? いきなり過ぎるやろ。」

「街道から外れたら、あんなもんがウヨウヨ居るんか?」


ストーンゴーレムの強さに、未だに驚を隠せない二人。


「やっぱり、お前達もワンダー・クロニクルのプレイヤーなのか?」


一緒に逃げてきた人物が二人に話しかける。

その人物はTrashと同じストライダーの装備をしていた。背が少し小さく髪の毛は男性にしたら長い方であり、顔は可愛らしく美少年の様な顔をしていた。


「それは、こっちのセリフやっ!」


ツッコむ様にTrashが答える。


「街を目指して歩いていたら、さっきの奴に出会して逃げるタイミングを計ってたんだけど。そしたらお前達が来て、何かのイベントかと思ってたんだよ。」


Trashの質問に答えるプレイヤー。


「俺らも何かのイベントやと思っとったわ。」


それに対してDが話す。


「ったく。お子ちゃまの坊主が街道なんか外れて歩くからや。」


呆れた様に話すTrash。


「うるさいっ! これでも僕は女で子供なんかじゃない!」


プレイヤーのその言葉に驚く二人。


「マジでっ!?」

「冗談は顔だけにせぇよ。」


Trashの言葉にカチンときたプレイヤー。


「お前の顔の方が冗談過ぎるわ!」

「何やとぉ?」


揉め出す二人。


「女って言われたら、分からんでもないけど。何で僕なんや?」

「うるさい、そんなの何でも良いじゃないか。」


Dの疑問に答えるプレイヤー。


「こういうゲームには、こんなん居んねん。こいつの場合は使うキャラも女にしとるけど、実際の性別と違うキャラ使う奴とかも居るしな。ネカマとか居るから気を付けろよ。」


TrashもDの疑問に答える。


「何じゃ、ネカマって?」

「お前、バカだろ?」


Dの質問にプレイヤーが話す。


「何やと? アホなんは自覚しとらいっ!!」


Dが自慢げに答える。


「ネカマってのは、ネット内のオカマって事や。その逆もあるからの。ここのプレイヤーの性別なんか見た目通りとはちゃうからの。」


TrashがDの質問に答える。


「マジでかぁ…。見た目通りで判断してまうから、俺には無理やな。」


普通に諦めるD。


「おい。こいつ、こんなんで大丈夫か?」


先程のプレイヤーがTrashに問いかける。


「まぁ、こいつは人を疑うって事が出来ひんから。しゃあないわ。」


諦めた様に答えるTrash。


「やっぱり、バカなんだな。お前。」

「うるせいっ!」


プレイヤーとDが先程と同じ様なやりとりをする。


「ところで、お前なんて言うんや?」


Trashがプレイヤーに問いかける。


「僕の名前はフェル。この世界で同じプレイヤーに出会ったのはお前達が初めてだよ。」






スキル説明


【トリプリケート】

一瞬の内に矢を3本放つ事が出来る。


【ソードスラッシュ】

剣から斬撃を放ち、少し離れた相手にも攻撃出来る。


【アクェン】

自分の体に障壁をはり、一定時間 相手の攻撃を無効化出来る。しかしHPの3分の2以上の攻撃を受けると、その障壁が破壊される。


【ブラックアウト】

一定時間、敵に対して〈暗闇〉の効果を発動させる。

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