Episode 069【くらっくらの頭】
地面から這い出てくる大きなモンスターに怯えるカピパラ。そんなカピパラを余所に、そのモンスターがD達の前に姿を現し、大きな雄叫びを上げる。一見、大きな岩の様に見えるそのモンスターは、良く見ればドラゴンの様な生き物をしていた。そしてD達を目にしたそのモンスターが、今度はD達に向かって吠えてきた。その咆哮を肌で感じるDの姿がそこにはあった。
「戻ってすぐは、無しでしょ!? これぇえっ!!」
カピパラが岩の様なモンスターを見ながら、イヴとハンターに声を掛ける。
そんなカピパラを気にする様子もなく、イヴが言葉を返した。
「ほら、カピ!! 続き早く!!」
そんなイヴに対して、カピパラが大きな声でイヴ達に頼んできた。
「少しは手伝ってよぉおお!!」
「ダメダメ。そんなんじゃ、いつまで経っても強くなれないよっ!!」
「いやぁああ!!」
そしてカピパラがモンスターの方へと走って行く。
そんなカピパラが手にしていた武器は、イヴと同じくハンマーであった。
その様子を黙って見ているDを横目にするイヴ。
(う〜ん? やっぱり、最初からこれはキツいかな? だんまりになっちゃったし)
そんなイヴの元にハンターが近寄って、声を掛けた。
「どう? イヴさん?」
「やっぱり、まだ早かったのかも?」
「まあ。初見のアングルリウスは、誰だってこんな感じなんじゃないのかな?」
二人が話していると、そこにDが声を掛けてきた。
「なぁ……? あれって、まさか。 ドラゴン……?」
震えがおさまらない様子のDを見て、イヴが答える。
「そうだよ。アングルリウスって言う、ドラゴンのモンスターなんだけど。やっぱり、やめとく?」
それを聞いたDが叫び始める。
「うわぁあああああああ!! まじで、ドラゴンやんっ!! やべぇ!! ってか、でけぇえ!! もう岩やんっ!!」
Dの様子に驚く、イヴとハンター。
しかしDは、そんな二人に気付かず話を続けた。
「なぁ? なぁ? あれ、やってええん? やってええん?」
「うん、特訓だしね」
「おっしゃああい!!」
そしてDはアングルリウスの方に向かって走って行った。
それ見て、イヴ達が話をする。
「あの人、怯えてたんじゃなかったんだ」
「でも、これはこれで何だか心配だね」
そんな中、怯えながらもアングルリウスと戦うカピパラの元に、Dが近寄って行く。
「カピぃ!! めちゃ、ええな!!」
「Dぃ!! どこがだよっ!?」
「ドラゴンやぞ!? ドラゴン!! 初めて見たぁあ!!」
そしてDがアングルリウスの前に立ち、何やらアングルリウスに叫び出した。
「おっしゃああ、ドラゴンっ!! 今から暴れ倒すから、覚悟せぇよぉお!! こらぁあ!!」
それを目にしたアングルリウスは体を捻り、思いっきり尻尾でDを叩きつける。
アングルリウスの攻撃をまともに喰らって、左へと吹き飛んでいくDはそのまま岩肌に体をぶつける。
グシャ……っと言う音と共に地面へ倒れこむDの姿を見て、堪らずイヴが声を出した。
「わぁ〜……」
「大丈夫かな……?」
横に居た、ハンターがそんなイヴに言葉を掛ける。
そして二人はDの元へと走って行った。
「君、大丈夫!?」
「おい!? 生きてるか!?」
ハンターに起こされながら、頭から血を流すDが目を開けて二人に言葉を返してきた。
「あぁ……、頭がくらっくらっするわぁ……」
「待っててね。今、傷を治してあげるから」
そう言って、イヴは鞄から小さな布の包みを取り出し。その包みの中にある粉をDの傷に振り掛けていく。
すると、さっきまでの傷が嘘の様に消えていった。
そしてDは立ち上がり、その事に対して二人に声を掛けた。
「うわっ!? 何、それっ!? すっげ!!」
「精霊の粉っていう、ちょっと特殊なアイテムだよ」
「まじかぁ、すごいな!! ありがと!!」
そしてDは再び、アングルリウスへと向かって行った。
そんなDを見て、イヴが呟く。
「ああ、あれじゃ駄目なんだよなぁ」
すると数秒後に再びDが吹き飛んできた。
地面に倒れるDを覗き込むハンター達。
「あぁ……、あかん……。また頭がくらっくらっする」
「お前、大丈夫か?」
少し呆れた様子でDの事を心配するハンター。
「うなぁ……、何とか、行ける……」
「どこがだよっ!? ぼろっぼろじゃねぇか!?」
そんなハンターの言葉を聞いて、Dは鞄から癒しの薬を取り出し。それを飲み始めた。
そして僅かながらも体力を回復させるD。
「っしゃぁあ……、あれに一発入れるまでは終われん!!」
そして、またアングルリウスに向かって走って行くD。
「あの人、気持ちは良いんだけど」
「空回りしてるよね」
Dの戦いぶりを見て二人が話す。
そんな中、ずっと戦っていたカピパラがアングルリウスに痛恨の一撃を決めた。
カピパラの攻撃で、アングルリウスが後ろに下がりながら頭を振り回している。
「カピっ!! やったぁあ!!」
嬉しそうに、はしゃぐイヴ。
「やっとかよぉ」
満更でもなさそうな顔でハンターがカピパラに声を掛けた。
そしてカピパラの攻撃を間近で見ていたDが驚いた。
「カピっ!? まじかぁあ!??」
「へへっ。D、すごいだろう?」
「カピ。めちゃ、すげぇ!!」
そんな二人に対して、アングルリウスの体が赤く変色した様に思えた。
それを確認したイヴとハンターが話出す。
「やっと平常モード終わったね、ハンターさん」
「っほんとに、カピおせぇ」
そんな二人の言葉を知らないカピパラとDの二人が、アングルリウスの異変にようやく気付く。
「カピ? 何か変やないこ? こいつ?」
「あれっ!? 何か赤くなってない!?」
そして怒り狂ったアングルリウスは二人に叫び出し、強烈な攻撃を仕掛け出してきた。
先程とは桁外れの強さの攻撃を受けて、Dが再び吹き飛んでいくーー
「あれ?」
Dが目を覚ますと、空はもう更けていた。体を起こし辺りを見回すD。
そこは先程までアングルリウスと戦っていた広場で、夕食の用意をするハンターとイヴの姿があった。
そしてDの近くでがカピパラが横になっていた。
「俺、どないしたん?」
夕食の用意をしている二人にDが声を掛けた。
それに気付いて、二人が話してくる。
「怒ったアングルリウスの攻撃で、気絶しちゃったんだよ」
「お前、酷くやられてたな」
「カピは?」
「カピたんも、おんなじ」
「そないか……」
カピを心配そうにするDを見て、イヴがDに言葉を掛ける。
「君、正面から向かって行くの。あまり良くないよ」
「へ?」
「アングルリウスとの戦闘の事。あんなにモロ見えの状態で、どうやってウォーリアが攻撃するの!?」
「どうって、なんで?」
「ウォーリアって、一番動き遅いんだよっ!! あんな真正面から攻撃したら、躱してくださいって言ってる様なもんだよ!!」
「へ? ……えっ!? もしかして俺、今怒られとる?」
そしてDがハンターの方に目をやった。
「う〜ん……。まぁ……、そんな感じ?」
「まじかっ!?」
「ねぇ!? 聞いてるっ!??」




