Episode 068【腹イタと岩ヤマと】
Trashの言い付けも聞かずに街にくり出したDは、Trash達と合流しようと二人を探していた。しかし気が付くとDは街の外れの方にまで来てしまっていた。
「あっれぇ〜? おっかしいなぁ? 街の端の方に来てしもたけど、あいつら全然見んかったやんけ。何でや?」
そしてDが来た道を引き返そうとした時、街の方隅でカピパラの姿があるのを発見した。そんなカピパラは地面に座り込み、少し疲れている様子だった。それを見て、Dがカピパラの方に近寄って行く。
「おいーっす!! カピ、何やっとん?」
Dの言葉を聞いて、カピパラが顔を上げた。
「ああ!! D!!」
助けを求めるような眼差しで、カピパラがDに声を掛けた。
「どないしたんや? こんな事に座り込んで。腹でも痛いんか?」
「何でDは座ってたら、イコール "腹痛" になるんだよ」
「いや、だって。腹痛かったら動かれへんやん?」
「小学生じゃないんだから」
「そうか?」
「そうだよ」
「ほんなら、こんな所で何やっとんや?」
「二人から逃げて来たんだよ。もう、しんどいよ。痛いし」
そう言われてDが辺りを見回すと、確かにカピパラが居る所は人目に付かなさそうな所だった。
「ほんで、隠れとん?」
「うん、逆に良く僕の事見付けたよね」
「そうかな? ほんで、カピはこれからどないする気なん?」
「どうって?」
「隠れて、二人に見付からんとするやろ?」
「うん」
「その後は、カピどうすんの?」
Dに言われて、少し考えるカピパラ。
しばらくして、カピパラがDに答えてきた
「何も考えてなかった」
「あかんやん!!」
「いつも何も考えてなさそうな、Dにだけは言われたくないよっ!!」
「知り合って、ちょっとしか経ってへんのに。何で、そんな事分かるんやっ!?」
「分かるよ、それくらい!!」
「カピ、すげぇな!!」
そんなDを見てカピパラはある事を考えた、そしてDにその事を話し始めた。
「ええ!? ええの? 俺もカピがやっとる特訓、一緒にして?」
「良いよ、良いよ。あの二人なら、Dの事も気に入ってくれると思うし」
「テスト・ユーザーさんやろぉ? 俺、めちゃ弱いで?」
「大丈夫、大丈夫。特訓なんだし」
そのカピパラの笑顔を見て、Dは安心した。
「せやな。特訓やし、弱ぁてもかまへんか」
「うん、うん」
Dに満面の笑みを浮かべるカピパラは、心でこんな事を思っていた。
(Dは僕よりもレベル低いし。Dが特訓してる間、僕は休める!! Dぃ、ごめんよっ!!)
そしてDはカピパラに連れられて、街の外の方へと歩いて行った。
街の外に出ると。カピパラから馬があるなら、馬に乗って行こうという事になり。Dはエルコンドルパサーを呼び、それに跨り。街から南の方へと馬を走らせて行った。しばらく馬を走らせていると、D達の目の前に岩山が見え始めてきた。溶岩で出来たのか、その山肌は険しく、木などの植物はあまり見る事は無かった。
その岩山に近づくとカピパラは馬を止め、馬から降りた。それを見て、Dも馬から降りる。
「ここからは歩きだよ」
そしてカピパラがDの先を歩き始めた。
そんなカピパラの背中を見て、Dが声を掛ける。
「ここで特訓しとんの?」
「そうだよ」
「何も無さそうな所やけど、大丈夫なん?」
「上の方に行けば分かるよ」
「上?」
「うん、上」
しばらく、山の上を目指して歩いて行くと。歩いてきた狭い山道とは違い、先の方に開けた所が見え始めた。
そこには見慣れぬ、二人の人物が岩に腰を掛けて話をしていた。
「おうい!」
カピパラが二人に声を掛けると、その二人がこっちに気付き言葉を掛けてきた。
「おい、カピ!! 何、サボってんだよ!?」
紫色をした鎧を纏い、背中に大剣を提げた男がカピパラに近寄ってくる。
「カピっ!! 逃げたらダメじゃんっ!!」
軽装をした女性が岩の上で、怒ったようなポーズを取った。その足元には大きなハンマーが置かれている。
「ごめん、ごめん。ハンターとイヴさんに紹介したい人が居てさ」
そう言って、Dを二人に見せるようにカピパラがDの前から退いた。
そんなDを見て、イヴと呼ばれた女性がカピパラに話し始めた。
「もしかして、最近知り合ったっていう、カピのフレさん?」
「うん、彼がDだよ」
「カピにもとうとう、俺達以外でフレが出来たのか」
「ハンター、何言ってんだ!! グアダルでもちゃんとフレ出来てただろ!?」
「そうだったっけ?」
「そうだよっ!!」
ハンターと呼ばれた男とカピパラが話している中、Dの方にイヴが近付いて来た。
「それで、何しに来たの? 君は?」
イヴに言われて、Dがそれに答える。
「カピが一緒に特訓しよう言うてくれたから、ここに来たんやけど。あかんかった?」
そんなDをイヴがまじまじと見てから、カピの方を振り向いた。
「カピたんっ!! 自分よりレベルの低い人連れて来て、自分はその間休もうと思ったでしょっ!? この人、まだレベル26だよっ!!」
そう言われて、素直にカピパラはイヴに謝った。
「うっ!? さすが、イヴさん……。ごめんさない」
「ったく。しょうがねぇな、カピはぁ」
カピパラの隣に居たハンターが声を掛ける。
そんな三人の様子を見て、Dはもう一度イヴに声を掛けた。
「俺、特訓したあかんっぽい?」
そんなDを見て、イヴは腕を組み「う〜ん」と考え込んだ。
「ここのモンスター。君のレベルじゃ、結構危ないよ? 大丈夫?」
「モンスター?」
そう言って、辺りを見回すDだったが。周りには何かが居るような気配は感じなかった。
「ここに?」
「うん。 そだね、試しに一回見てから決めよっか」
そう言って、イヴが岩に置いているハンマーを取りに走り出した。
それを見て、カピパラが慌て始める。
「えっ!? イヴさんっ!? もう始めるのっ!? ちょっと待って!! 心の準備がっ!!」
そんなカピパラの声も虚しく、イヴはハンマーを手にすると大きく振りかぶり。
そのまま地面を強く叩きつけた。すると地響きがしたように地面が揺れ始める。
「うわっ!? テスト・ユーザーって、そんな強いんっ!? すげ!!」
Dがイヴの事に驚いていると、イヴがDに声を掛けてきた。
「最初の衝撃はウチのだけど、今揺れてるのは違うよ」
「へ?」
Dがそう言うと、地面が割れ始め。中から大きな岩の様な体をしたモンスターが這い上がって来た。
それを見て、カピパラが叫ぶ。
「いやぁあああああ!!」




