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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
67/76

Episode 067【コンパスの男】

 暖かい太陽が照らす空の下、〈ログタウン〉でウィルヘルムとロビンと言う名の男と出会ったTrashとアカツキの二人。そして、そんな二人から〈ログタウン〉を統治している者達の一人である事を聞いたのであった。


「市長ぉお!?」


 ウィルヘルムの言葉を聞いて、Trashは聞き返した。期待していた通り、この街の誰が一番偉いのかを知れたTrashではあったが。あまりの唐突な出来事に、少し戸惑っていた。

 そんなTrashを見た、ロビンが二人に話し掛けてきた。


「ところでお前等、此処で一体何を調べとるんや?」


 ロビンのその言葉にアカツキが答えた。


「俺たちは、プレイヤーがこの街を造ったってのを聞いて。その事について聞いてたんだよ」


 アカツキが答え終えると、続けてTrashが話をした。


「何かの手掛かりでも得られへんかと思ってな」


 Trashの言葉に、ウィルヘルムが聞き返した。


「手掛かり?」

「せや。漠然とした言い方やけど、この世界についてとか。そんなんや」


 それを聞いてウィルヘルムは「なるほどな」と呟き、ロビンの方に目をやった。そのロビンもまた、ウィルヘルムの方を見ていた。見た目では分からなかったが、二人の中で何か合図をしたかのようにウィルヘルムとロビンは再びTrash達の方を見て、こう答えた。


「そんでお前等は、俺等に何を聞きたい?」


 その言葉を聞いて、今までに無いほど、自分がこの世界の核心部分に近づいていると感じるTrash。


「やっぱ、何か知っとんのか?」


 思わず体が前に乗り出す。

 そんなTrashにロビンが答えた。


「ある程度な」


 そしてウィルヘルムも続いた。


「色々と見たり、やってきたしな」


 その言葉にアカツキがウィルヘルム達に質問をした。


「街が出来る前に起こったっていう、戦争の事も含んでるのか? それに?」

「ああ」


 アカツキの言葉に二人が答えると、再度Trash達に聞いてきた。


「そんでお前等は、俺等に何を聞きたいんや?」


 それを聞いて、アカツキがウィルヘルム達に質問をする。


「ここは一体、どこなんだ?」


 その言葉を聞いて、しばらく二人の様子を伺うウィルヘルム達。

 するとTrashがアカツキに言葉を掛けた。


「アカツキ、やめとこ」


 先程と態度の違うTrashを見て、アカツキが変に思う。


「トラ? 急にどうしたんだ?」

「いや、何か急に "ちゃう" ってなったんや」

「違うって何がだよ、トラ?」

「俺にもよう分からんけど。ここで話を聞くんは何かちゃう気がする」


 そんな二人のやりとりを見て、ロビンが二人に話し出す。


「例えばな。お前等がゲームしとってレベル低い状態の時に、高レベルの仲間が出来るとするやろ? そいつと一緒に居ったら、強い敵も皆、そいつがやってくれる。そんで同時にすげぇ経験値が入る。そんなんしとったら自分も知らん間にすげぇレベル高ぁなっとって、もっとる武器もめちゃくそ強い。お前等、そんなんどうや?」


 それを聞いて、アカツキがロビンに答えた。


「何かヤだな。俺、何も出来てねぇし」


 その言葉を聞きながら、アカツキをじっと見ていたTrashが言葉を掛けた。


「せやろ? 勘違いしたまんまで終わりたぁないやろ?」


 それを聞いて、アカツキがTrashに答えた。


「だな」


 すると黙ったまま、二人を見ていたウィルヘルムが声を掛けてきた。


「合格や」


 その言葉にきょとんとする二人。

 そして思わずアカツキが声を出す。


「合格って、何がだよ?」

「お前等なら、真理に辿りつけると思うわ」

「真理って、何の?」

「モンスタースレイヤーのって事や」

「はい?」


 そんなやりとりを見ていたTrashが、ある事を思い出す。


「コンパスか!!」


 そのTrashの言葉にロビンが反応した。


「何や、お前知っとったんか!?」

「前に言われた事があんねや、真理のコンパスっての」

「トラ? 何だ、それ?」

「俺もよう分からんけど。モンスタースレイヤーなら、みんなが持っとるもんらしいぞ」


 それを聞いてウィルヘルムが、Trashに言葉を掛けてきた。


「お前、それ。誰から聞いたんや?」

「ヴォルケファーデン言う、防具屋のおっさんから聞いたんや」


 するとロビンが、再びTrashの言葉に反応した。


「マジかっ!? あいつ、生きとったんかっ!?」


 そして同時にウィルヘルムは笑い出した。


「マジかっ!? はっはっはっ!! 腹いてぇ!!」

「なんや、あのおっさんと知り合いなんか?」

「知り合いもなにも、そいつも俺達と一緒に戦争で戦ってたんだよ。 ややこしい、おっさんやったやろ?」


 それを聞いてびっくりするTrash。


「はぁあっ!? って事は、あのおっさんもテスト・ユーザーかいっ!?」

「そや。にしても、ええ事聞いたわ。なぁ? ロビン?」

「ああ。ってか、店名に自分の技の名前って、どうなん? ありえん、笑えるわ」

「あいつらしいっちゃ、らしいけどな」


 嬉しそうに話す二人を見て、アカツキが二人に声を掛けた。


「あんた達は色々と見てきて、この世界について知ってるんだよな? だったら何で、こんな所に居るんだよ?」


 それを聞いて、ウィルヘルムがアカツキに謝った。


「すまん、話が逸れたな。俺達は俺達の役目をしてるんや」

「役目?」

「そや。詳しくは教えれんけど、それでここに居る」


 それを聞いて、Trashが真理のコンパスについて二人に聞き始めた。


「真理のコンパスって、何なんや? おっさんの話やったら、俺たち自身の能力って言うとったけど。それを気付いてへん俺らは、一人前のモンスタースレイヤーやないとか言うとったし」

「俺達、モンスタースレイヤーにはまだ知らん力があるって事や」

「力?」

「そや。ダビドが言うた能力と、あんま大差ないけどな」

「一体、それって何なんだ?」

「さあな、力にも様々なもんがあって。誰がどんな力を得るんか誰も知らん」


 そう言って、ウィルヘルムとロビンは椅子から立ち上り。

 二人にこう告げた。


「お前等が嘘付いてへんって分かったんは、ロビンの力や」

「それについて、なんか知りたかったら。三日後にある祭りを見たらええわ、何か分かるかも知れへんぞ」


 そして二人は去って行った。






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