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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
65/76

Episode 065【関西の男達】

 Trash達、三人が〈ログタウン〉を訪れてから、一日が過ぎた日の朝。

 Trashとアカツキの二人は、街へ聞き込みに出掛けていた。



「ええか、D。俺らが戻ってくるまで、お前はここでおなしぃ待っとけよ」


 ベッドに腰を掛け、今朝のTrashの言葉を思い返すDの姿があった。


「そう言われてもなぁ……」


 そう呟き、Dは窓の外に目をやった。


「めっちゃ天気ええやん……」


 そしてDは、そのまま背中からベッドの方に倒れ込んで天井を見つめた。


「暇やなぁ……」




 一方、街へ聞き込みに行ったTrashとアカツキの二人は、ある事を思い始めていた。


「なぁ、トラ?」

「ん〜?」

「ここって、プレイヤーの街なんだよな?」

「みたいやの」

「その割には、NPCも普通に居るんだな」

「そうみたいやの」

「一体、どうなってんだ? ここって?」


 Trashにそう言って、アカツキはまた街の方に目をやった。

 同じ様に街を見ていたTrashがアカツキに話し掛けた。


「あれやろ。この街の自治・運営をしとるんが、プレイヤーなだけであって。別にプレイヤーだけしか住んどらんって訳やないんやろ」


 Trashの言葉に、アカツキが納得する。


「ああ、そういう事か。なるほどな」

「変にゲームや思うから、そう思うだけや。普通に元の世界やったら、黒人の大統領でも白人やら普通に居るやろ?」

「確かに。言われてみたら、当たり前な事だな」

「そそ。変に頭ん中で、あっちとこっちとの常識分けてしもとるから気付きにくいだけや」

「だな」


 Trashにそう答えて。アカツキはTrashの方を向いた。


「お前って、見た目の印象と違って。賢いよな」

「今更、何言うとんねん? 俺は元から"かしこ"じゃ!!」

「いやいや。見た目、チャラチャラしてるだろ。トラって」

「うっせぇ。こんなん、ただのキャラの見た目やんけ」

「実際は違うのか?」

「ったり前じゃ!! もっと男前じゃ!!」


 それを聞いて、アカツキが立ち止まった。

 そんなアカツキを気にして、Trashが声を掛ける。


「どないした? アカツキ?」

「いやぁ……。俺、お前達と知り合うまで関西の知り合いも友達も居なくてな」

「おう」

「つっこむ所なのか、普通に話として聞いて聞き流して良いのか。またに分からない時があるんだよ」


 それを聞いて、Trashは自分が言った言葉を思い返し出した。

 そして何かに気付き、アカツキに答え出した。


「あほう!! 俺が男前なんは、突っ込まんでええわい!! 事実じゃ!!」

「そうか。なら良いや」

「何が "なら良いや" や!! さっさと情報聞き出しに行くぞ!!」

「了解、了解」


 そして二人は、街の人々に〈ログタウン〉の事を聞いて周り始めた。

 二人はプレイヤーであろうとNPCであろうと関係なく話を聞いて周っていたが。街の人々から得る情報は、昨日Dから聞いた話と大して差は無かった。そして歩き疲れた二人は、カフェ的な店のテラス席で休む事にした。

 二人の元に店員が現れ、注文を取りに来た。そんな店員にTrashとアカツキはコーヒーを頼み、そして注文を聞き終えた店員が去って行く。そんな店員の後ろ姿を見ていたアカツキに、Trashが声を掛けてきた。


「なんやアカツキ、惚れたんか?」


 その言葉にアカツキが振り返りながら返事をしてきた。


「うんな訳ないだろっ!!」

「やったら、どないしたんや?」


 Trashの言葉にアカツキは、少し気にするような様子で答え出した。


「ただ、"さっきの人はどっちなんだろう?"って思っただけだよ」

「ああ、そういう事かい」

「お前、気にならないのか?」

「そんなん、もうとっくに過ぎてしもとうわ」

「過ぎるって?」

「俺も、アカツキみたいに気になっとったけど。そんなん気にしとっても、何の意味もないやろ?」

「意味がないって、NPCだぞ!?」

「そう思うから、ややこしいなるだけや。それに、ここがほんまにワンダー・クロニクルの世界やと決まってへんやんけ」

「そんな事言ってもよ。お前、NPCが普通に人間と同じ様にしてるの気にならないのか?」

「そんな、お前にアホが言うた言葉言うといたろ」

「何だよ?」

「ってかや、ホンマにコンピューターなん? あの人ら?」

「何だ? それ?」

「Dがこの世界に来て、すぐ言うた言葉や」

「どういう事だ?」

「普通に人に感じんねんから、それでええやんってこっちゃ」

「なんだ、それっ!? Dの言い出しそうな事だな」


 そう言って、アカツキが笑い始めた。

 そんなアカツキを見て、Trashが話を続けた。


「あいつは、良い意味でも悪い意味でも常識無いからの。変に常識に囚われんと感じたまんまで居れるんやろ」

「なるほどね」


 そんなアカツキの顔を見て、Trashが話を本題に戻した。


「それにしても、あのアホから聞いた以外の情報全然ねぇな」

「だな。昨日、Dにボイチャしてもらったけど。カピパラって人、出なかったしな」

「せめて、この街のお偉いさんだけでも知っておきたかってんけどのぉ」

「お偉いさん?」

「市長なんか肩書きは知らんけど。誰がここのトップか分かったら、そいつに話聞きに行った方がはええやろ?」

「確かに! お前、やっぱ頭良いよな」

「言われんでも、知っとるわい!!」


 そんな二人が話しているテーブルに、見知らぬ男二人がやって来た。男達はTrash達の居るテーブルにある、空いている椅子に座りだし、話をし始めた。いきなりの出来事に少しびっくりした様子で男達を見るアカツキとTrashの二人。


「おい、聞いたかロビン?」

「何がや? ウィルヘルム?」

「この街で、何か色々聞き周っとる奴らが居るみたいやぞ」

「ほう。ほんまかいな? それ?」

「ほんまもほんまや」

「それで、一体どんな奴らなんや? それは?」

「なんや、一人は金髪で。もう一人はファイターみいたいな格好しとるらしいぞ」

「ほう。って事は、プレイヤーなんか? そいつらは?」

「そうみたいやのぉ」


 そう言ってウィルヘルムと呼ばれた男が、Trash達の方を睨みつけ言葉を掛けて来た。


「お前ら、ここで何探っとんじゃっ!?」






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