Episode 061【異世界でのお祝い事】
ノボリト研究所へ向かう途中で、地図には載っていない街〈ログタウン〉を発見したTrash達。その街が気になり、三人が訪れてみると。そこの街並みは今までとは違い、元に居た世界と同じような景色をしていた。
「のぉ? ええ情報って何やねん?」
街の中を歩きながらDがTrashに声を掛けた。
「何や、お前。まだ気付いてへんのこ?」
Dの言葉を意外そうに聞くTrash。
そんなTrashにアカツキも声を掛けてきた。
「悪りぃ、俺も分かんねぇ」
「マジか!? まぁ、直ぐにわからぁ」
そう言って、Trashは二人に詳しく話そうとしなかった。
「情報って言うんやさかい。とりあえず、酒場行ったらええって事やんな?」
当たり前の事を聞く様にDがTrashに話し掛ける。
「お前なぁ、Dぃ」
「何じゃい?」
「こいつ、まだ未成年やねんぞ。また忘れとんのかい」
そう言って、アカツキの方を指差すTrash。
「あ! せやった!!」
そう言って、おでこに手を当てるD。
「お前、街や村行くたんびに毎回忘れとるやろ? ええ加減覚ええやぁ」
「いや。ここやとなんか忘れてまわへんこ?」
「そんなん、アホなお前くらいじゃい!」
「そうこ?」
「そうじゃい!!」
そうやって二人が話していると、突然アカツキが笑い出した。
「はははっ!!」
不自然に高らかに笑うアカツキを見て、驚く二人。
「どないした? アカツキ?」
「めっさ、セリフっぽい笑いしたけど。お前、頭いってもうたか?」
「違うわっ!! お前ら、ステータス画面開いてみろよ!!」
アカツキに言われるなり、ステータス画面を開く二人。
目の前に広がったウィンドウを見て、Dがアカツキに声を掛けた。
「これが、どないしてん?」
「そこに、日付が載ってるだろ?」
「あるなぁ」
「やから、それが何やねん?」
「1093年7月21日って、あるだろ? 7月21日って、俺の誕生日なんだよ」
「そんじゃあ、お前。今日で20歳か!?」
アカツキの言葉を聞いて、めでたそうにDが聞き返してきた。
「そうだぜ!」
「おお! ほんじゃあ、これでお前も一緒に酒が飲めるな」
二人が喜んでいると、Trashが冷静に声を掛けてきた。
「喜んどること悪いけど、その日付と元の世界の日付を一緒に考えてええんこ?」
Trashの言葉を聞いて、キョトンとする二人。
「はい?」
「どういう事だ?」
二人の反応を見て、溜息を吐くTrash。
「お前らやぁ、ここが仮にゲームの世界としても。別のどっかやとしても。ここと向こうの日付が同じとは限らんやろ?」
「そんじゃあ、こいつは向こうに戻らん限り。ちゃんと20歳にはなれへんって事か?」
「嘘だろっ!?」
「そこまで、俺が知るかぁ!!」
「うんじゃあ、どないしたらええねん?」
「そうだぜ」
「言い出しといて、何やけど。うんなん適当でええんやないこ? アカツキが20歳やぁ思うんやったら、それでええんやないこ?」
「そうなんか」
「そうか」
その話を聞いて、見合すアカツキとD。
「うんで、どないする?」
「う〜ん……」
「もう、20歳でええんちゃうこ?」
「かなぁ?」
「ええやろ」
「そうか……、そうだな! おし!! 俺は今日から20歳だぁあああ!!」
「おおお!!」
再び、喜ぶ二人。
そんな二人を見て、Trashが声を掛けてきた。
「お前ら、ほんまにアホでええのぉ」
「なんで、ここでアホが出てくんねん!?」
「おい、Trash! 俺はバカじゃねぇ!!」
「ああ。うっさい、うっさい。うんで、どないすんじゃ? 酒場行くんこ? 行かんのこ?」
Trashの言葉を聞いて、当初の目的を思い出すアカツキとDの二人。
「そうだった、そうだった」
「行くに決まっとんやんのぉ? アカツキ?」
「ったりめぇだろ!」
「おっしゃあい!!」
「はぁ……。何で、アホは一個一個にこんな時間かかんねん……」
気疲れするTrashを連れ、〈居酒屋 和牛八角〉に向かう二人。
「アカツキ。お前、酒場行ったら何飲む気や?」
「そうだなぁ?」
「うんなもん、何でもええやろ」
「あかんわいっ!! 人生初の20歳やぞ? いちお、成人式やぞ? 大事やんけ」
「はぁ? うんなもん、あっちでも祝えるやろ?」
「そうだとは限らねぇじゃねぇか」
「何やねん、アカツキ!? お前まで、D寄りなんかいっ!?」
「人生に一度なんだぞ? 祝ってくれても良いじゃねぇか!?」
「誰も祝わんとは言うてへんやろ! それに、多分。ってか、間違いなく。お前は人生で二度、祝ってもらえらぁ!!」
「そうか?」
「そやろ、多分やけど」
「なんだ、そうなのか」
「うんで、アカツキ。お前、何飲むんや?」
「え〜っとなぁ……」
(おい、お前ら……。話ループしとんやんけ……)
そして頭に手をやるTrash。
そんなTrashは酒場に向かうと決まってから、何かを忘れているような気がしてならなかった。ただ、それが何なのか?
また、何かははっきり分からないが。取り立てて気にもしなくて良いように思えるので、深く思い出そうとはしていなかった。
「お前ら、アカツキ祝うんはええけど。とりあえず、目的は情報収集やかんな。わぁっとるんこ?」
「だいじょー、だいじょー」
「任せとけって」
「ほんまかいや?」
そうこうしていると、〈居酒屋 和牛八角〉に辿り着く三人。
「いよいよやのぉ、アカツキぃ」
「おし!! やっぱり、"とりあえず、生" って言ってみてぇし。生ビールにするかっ!」
「おお! ええのぉ!!」
そんな二人の話を聞き流しながら、Trashは未だに頭に引っかかる物の事を気にしていた。
(何やったかいなぁ? なんか忘れとる気がすんねんけどなぁ?)
そんなTrashの思いも知らず、Dがお店の扉を開いた。
そして、そのままいつもの様にお店の中に入って行くと。聞き慣れた、でも少し懐かしい言葉が飛び込んできた。
「いらっしゃいませぇ!! 何名様ですかぁ?」
その言葉を聞いて、ビクッとするD。
「うお! 懐かしっ!!」
「本当だな!」
Dの言葉にアカツキも続いた。
そんな二人を他所に。店内を見て、先程まで忘れていた事に気付くTrash。
(あかんっ!! 個室やんけ!!)




