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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
61/76

Episode 061【異世界でのお祝い事】

 ノボリト研究所へ向かう途中で、地図には載っていない街〈ログタウン〉を発見したTrash達。その街が気になり、三人が訪れてみると。そこの街並みは今までとは違い、元に居た世界と同じような景色をしていた。


「のぉ? ええ情報って何やねん?」


 街の中を歩きながらDがTrashに声を掛けた。


「何や、お前。まだ気付いてへんのこ?」


 Dの言葉を意外そうに聞くTrash。

 そんなTrashにアカツキも声を掛けてきた。


「悪りぃ、俺も分かんねぇ」

「マジか!? まぁ、直ぐにわからぁ」


 そう言って、Trashは二人に詳しく話そうとしなかった。


「情報って言うんやさかい。とりあえず、酒場行ったらええって事やんな?」


 当たり前の事を聞く様にDがTrashに話し掛ける。


「お前なぁ、Dぃ」

「何じゃい?」

「こいつ、まだ未成年やねんぞ。また忘れとんのかい」


 そう言って、アカツキの方を指差すTrash。


「あ! せやった!!」


 そう言って、おでこに手を当てるD。


「お前、街や村行くたんびに毎回忘れとるやろ? ええ加減覚ええやぁ」

「いや。ここやとなんか忘れてまわへんこ?」

「そんなん、アホなお前くらいじゃい!」

「そうこ?」

「そうじゃい!!」


 そうやって二人が話していると、突然アカツキが笑い出した。


「はははっ!!」


 不自然に高らかに笑うアカツキを見て、驚く二人。


「どないした? アカツキ?」

「めっさ、セリフっぽい笑いしたけど。お前、頭いってもうたか?」

「違うわっ!! お前ら、ステータス画面開いてみろよ!!」


 アカツキに言われるなり、ステータス画面を開く二人。

 目の前に広がったウィンドウを見て、Dがアカツキに声を掛けた。


「これが、どないしてん?」

「そこに、日付が載ってるだろ?」

「あるなぁ」

「やから、それが何やねん?」

「1093年7月21日って、あるだろ? 7月21日って、俺の誕生日なんだよ」

「そんじゃあ、お前。今日で20歳か!?」


 アカツキの言葉を聞いて、めでたそうにDが聞き返してきた。


「そうだぜ!」

「おお! ほんじゃあ、これでお前も一緒に酒が飲めるな」


 二人が喜んでいると、Trashが冷静に声を掛けてきた。


「喜んどること悪いけど、その日付と元の世界の日付を一緒に考えてええんこ?」


 Trashの言葉を聞いて、キョトンとする二人。


「はい?」

「どういう事だ?」


 二人の反応を見て、溜息を吐くTrash。


「お前らやぁ、ここが仮にゲームの世界としても。別のどっかやとしても。ここと向こうの日付が同じとは限らんやろ?」

「そんじゃあ、こいつは向こうに戻らん限り。ちゃんと20歳にはなれへんって事か?」

「嘘だろっ!?」

「そこまで、俺が知るかぁ!!」

「うんじゃあ、どないしたらええねん?」

「そうだぜ」

「言い出しといて、何やけど。うんなん適当でええんやないこ? アカツキが20歳やぁ思うんやったら、それでええんやないこ?」

「そうなんか」

「そうか」


 その話を聞いて、見合すアカツキとD。


「うんで、どないする?」

「う〜ん……」

「もう、20歳でええんちゃうこ?」

「かなぁ?」

「ええやろ」

「そうか……、そうだな! おし!! 俺は今日から20歳だぁあああ!!」

「おおお!!」


 再び、喜ぶ二人。

 そんな二人を見て、Trashが声を掛けてきた。


「お前ら、ほんまにアホでええのぉ」

「なんで、ここでアホが出てくんねん!?」

「おい、Trash! 俺はバカじゃねぇ!!」

「ああ。うっさい、うっさい。うんで、どないすんじゃ? 酒場行くんこ? 行かんのこ?」


 Trashの言葉を聞いて、当初の目的を思い出すアカツキとDの二人。


「そうだった、そうだった」

「行くに決まっとんやんのぉ? アカツキ?」

「ったりめぇだろ!」

「おっしゃあい!!」


「はぁ……。何で、アホは一個一個にこんな時間かかんねん……」


 気疲れするTrashを連れ、〈居酒屋 和牛八角〉に向かう二人。


「アカツキ。お前、酒場行ったら何飲む気や?」

「そうだなぁ?」

「うんなもん、何でもええやろ」

「あかんわいっ!! 人生初の20歳やぞ? いちお、成人式やぞ? 大事やんけ」

「はぁ? うんなもん、あっちでも祝えるやろ?」

「そうだとは限らねぇじゃねぇか」

「何やねん、アカツキ!? お前まで、D寄りなんかいっ!?」

「人生に一度なんだぞ? 祝ってくれても良いじゃねぇか!?」

「誰も祝わんとは言うてへんやろ! それに、多分。ってか、間違いなく。お前は人生で二度、祝ってもらえらぁ!!」

「そうか?」

「そやろ、多分やけど」

「なんだ、そうなのか」

「うんで、アカツキ。お前、何飲むんや?」

「え〜っとなぁ……」



(おい、お前ら……。話ループしとんやんけ……)


 そして頭に手をやるTrash。

 そんなTrashは酒場に向かうと決まってから、何かを忘れているような気がしてならなかった。ただ、それが何なのか?

 また、何かははっきり分からないが。取り立てて気にもしなくて良いように思えるので、深く思い出そうとはしていなかった。


「お前ら、アカツキ祝うんはええけど。とりあえず、目的は情報収集やかんな。わぁっとるんこ?」

「だいじょー、だいじょー」

「任せとけって」

「ほんまかいや?」


 そうこうしていると、〈居酒屋 和牛八角〉に辿り着く三人。


「いよいよやのぉ、アカツキぃ」

「おし!! やっぱり、"とりあえず、生" って言ってみてぇし。生ビールにするかっ!」

「おお! ええのぉ!!」


 そんな二人の話を聞き流しながら、Trashは未だに頭に引っかかる物の事を気にしていた。


(何やったかいなぁ? なんか忘れとる気がすんねんけどなぁ?)



 そんなTrashの思いも知らず、Dがお店の扉を開いた。

 そして、そのままいつもの様にお店の中に入って行くと。聞き慣れた、でも少し懐かしい言葉が飛び込んできた。


「いらっしゃいませぇ!! 何名様ですかぁ?」


 その言葉を聞いて、ビクッとするD。


「うお! 懐かしっ!!」

「本当だな!」


 Dの言葉にアカツキも続いた。

 そんな二人を他所に。店内を見て、先程まで忘れていた事に気付くTrash。


(あかんっ!! 個室やんけ!!)






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