表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
58/76

Episode 058【赤旗と紅月と】

 〈砂漠の宮殿イシュバーン〉から〈アシアナ〉に戻ってきたTrashとDの二人は今、セトルの自宅で以前の様にソファに座りセトルと対じして居た。


「それで、どうでしたか? やはり……?」


 セトルが恐る恐る、TrashとDの二人に言葉を掛ける。

 それを聞いてTrashは席を立ち、セトルに返事をした。


「その前に、ある人を紹介するわ」


 そう言って、建物から出て行くTrash。

 それを不思議そうに聞いていたセトルがDに声を掛けた。


「一体、誰をですか?」

「ああ。ここの村の人が見たっていう、人物やで」


 Dの言葉を聞いて、びっくりするセトル。


「だ、大丈夫なんですか!?」

「だいじょー、だいじょー」


 呑気に答えるDに対して、不安なままのセトル。

 すると、そこにTrashが戻ってきた。その隣には、厳格そうなローブを頭から纏った人物の姿もあった。それを見たセトルがTrashに声を掛けた。


「村の者が目撃したというのが、その方だったんですね」


 セトルの言葉にTrashが返す。


「ああ、Dから聞いたん? そそ。目撃されたんは、この人やで」

「それで、その方は一体?」

「神聖ザイラーの人やで」

「!? 今、何とおっしゃいました!?」

「神聖ザイラーって言うたんや」

「では、その方は!?」

「さすが、セトルさん。察しが早いな。そういう事やねん」

「では、やはり彼処に何かあったのですね?」

「まぁ、とりあえず順序立って話してこか」


 そう言って、Trashとローブを纏った人物がソファに座った。

 その隣でDが赤色の旗の様な物を振っていた。

 セトルはDの事も気にかけずにTrashの話を待っていた。

 その様子に気付いてか、Trashが話始めた。


「とりあえず、俺らはあれから直ぐに洞窟に向かったんや。すると中はモンスターでごった返しとった。セトルさんから聞いた通り、あの曇り雲はグシュタポと関係しとったわ」

「では、黄泉の王が復活しようとしていたのですか?」

「いや、ちゃうかった」

「それは、どう言う事ですか?」

「グシュタポは、まだ力が完全に戻ってへんみたいで。そこに居ったんは、グシュタポの化身やった」

「化身?」

「魂の欠片みたいなもんかな?」

「なるほど。それで、その化身はどうなったのですか?」

「俺とDで、それを倒そうとしたんやけど。逆に返り討ちにおうてもうて、いったん引いたんや」

「モンスタースレイヤーの方々だけでも、大変だったのですね……」

「そこでや。俺とアホがモンスターから隠れとった時に、この人と出会たんや」


 そう言って、ローブを纏った人物の方を見るTrash。そしてセトルも、その人物を見た。

 それを確認してローブの人物がセトルに話し掛けた。


「申し遅れました。私は神聖ザイラーから派遣された、紅月〈コウゲツ〉と言います」

「派遣というのは?」

「今、神聖ザイラーでは各地からの不吉な気配に対し、派遣軍または派遣使を送っているのです」

「と言う事は?」

「はい、そうです。砂漠の宮殿イシュバーンの異変に対し、神聖ザイラーも気付いていたと言う事です。そして、そこに私が派遣されました」

「では……?」


 セトルがそう言うと、Trashが紅月に代わり話始めた。


「そんで俺らと紅月さんとの三人で、グシュタポの化身と戦ったんや」

「それで?」

「見事に倒したったわ」


 それを聞いて、深く息を吐きソファに深く座り直すセトル。


「では、もう脅威は去ったと言う事ですね?」

「いえ」


 セトルの言葉に紅月が返した。


「どう言う事ですか?」

「倒したと言っても、グシュタポ本体ではなく。その魂の一部を消滅させたに過ぎません」

「では!?」

「正確に言えば、私が再度強力な封印を施しましたので。あそこに近づかない限り、危険が及ぶ事はないでしょう」

「なるほど、そういう事だったのですね。また今回の様な事が起こるかと思い、不安になりました。安心してください。あそこは我等、マヌス一族の言い伝えにより誰一人近づく者は居ないでしょう。また今回の事もあり、再度村の者達にはきつく言っておきますので」


 それを聞いて紅月はTrashの方に一瞬目をやり、セトルに話した。


「それは良かった。では私は早急に帰路に就かねばいけませんので、失礼致します」


 そう言って、紅月はソファから立ち上がった。

 そして、セトルはそんな紅月を玄関まで見送りに行った。


「アカツキ大作戦、大成功やな」


 DがTrashに声を掛ける。

 そしてTrashに向けて、手に持っていた旗を振った。


「別に宗教が嫌いって訳やないけど、信仰も恋と一緒で盲目になりやすいからな」

「ああ、それは何となく分かるわ」


 そして二人は、セトルが戻ってくるのを確認して黙り始めた。

 セトルはソファに座るなり、二人に感謝の言葉を掛けてきた。


「この度は、本当に助かりました。本当にありがとうございます」

「いやいや、別に構へんで」


 Dが旗を振りながら、セトルに応えた。しかしセトルはそれに応えず、二人に大きな袋を出してきた。


「セトルさん、これ何や?」

「今回のクエストの報酬です」


 それを聞いて、袋の中身を確認する二人。そこには大量のお金が入っていた。


「ええっ!? こんなにっ!? ええで、そんな気ぃ使わんで」


 驚いたDが、セトルに声を掛けた。


「いえいえ、これでも少ない方です。どうぞ受け取ってください」

「えぇ、なんか悪いわぁ……」


 気が引けるDにTrashが肘で小突いてきた、そして小声でDに告げる。


「ええから、もろとけ。変に断ると怪しまれっぞ」


 それにDがしょうがななそうに頷いた。

 そして二人はセトルから報酬を受け取り、セトルに別れを告げ建物から出て行った。




 セトルと別れたTrashとDの二人は、そのまま〈アシアナ〉から出て行き。とある岩陰の所に来ていた。


「おーい、アカツキ。もう、ええぞぉ」


 Trashが岩の方に声を掛けると、先程の紅月が姿を現した。二人の元に紅月が近寄ってくると、暑苦しそうに纏っていたローブを脱ぎ始めた。


「ああ、くそ暑かったぁあ」


 ローブを脱ぐなり、アカツキが声を上げた。


「アカツキ大作戦、大成功やな」


 そんなアカツキに対して、Dが呑気そうに言葉を掛ける。


「ってか、D!!」

「何や?」

「お前、何かしろよ!!」

「しとったやんけ」

「したって、何をだよ!?」

「静かにしとったやんけ」

「はぁあ!?」


 そんなアカツキにTrashが声を掛けた。


「こいつに変にセリフ与えたら、ヘマするだけやろ? アカツキ?」


「……」



「そやぞ、こうげっつぁん」


 どうだと言わんばかりにDも言葉を掛ける。


「……バカは楽で良いよなぁ」

「ええやろ?」

「いや、D。別にアカツキは褒めとらんぞ」


 呆れた顔でDの方を見るTrash。


「それにしても、本当に上手くいったよな」

「人間、信じたいもんを信じる言うたやろ」

「だけどよ。お前、すげぇな」


 アカツキが、感心したようにTrashに声を掛ける。


「まぁ、それよりもや……」


 そう言って、Trashがセトルから貰った袋を出してきた。


「めっちゃ、金もろたわ」


 嬉しそうに話すTrashを見て、Dが声を上げた。


「ああ!! お前、あそこでのん嘘かっ!?」

「ったり前じゃ!! 貰えるもんはもろとけ、ほんまにぃ!! この先も長いねんぞ、金がある事に超した事はないやろがい」

「やけどやぁ……」

「色々、考えんな。今の俺らにはどうする事も出来ひんねん、きりかえろ」

「わぁったわい」

「それで、次は何処に行くんだ?」


 アカツキの言葉にTrashが答えた。


「とりま、西や!!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ