Episode 057【三人のクエスト】
ハイランド・ラインスターの墓石を作った三人は。重い足取りの中、洞窟から出てきた。
外は、彼らの気持ちとは裏腹に暑い日差しが砂漠を照らしていた。
「……」
静かに歩き続ける二人を見て、アカツキが声を掛けた。
「……これから、どうするんだ?」
それを聞いて、振り返るDとTrash。
「どうするって……、何をや……?」
Dがアカツキに言葉を返す。
何処か冷たい感じのDを見て、下を向きアカツキが言いにくそうにしている。
「クエストの事やろ……」
そんな中、Trashがアカツキに代わりに答える。
Trashの言葉に反応するD。
「クエストって、あれか……?」
「せや、あれや……」
「あんなん、どうせぇ言うねん!? あの人が100%悪いわけちゃうやんけっ!!」
「せやけど。村の人らは間違った教えを、ずっと昔から吹き込まれとって。あの人らが悪いわけでもないやろ? 真実を知らんだけや」
「せやから余計に、どうせぇ言うとんねん!!」
二人のやりとりを何とも言えない表情で見ていたアカツキが、ずっと気になっていた事を二人に話し出した。
「俺にも、出てるんだよ……」
『?』
アカツキが言おうとしている事に気付かないでいる二人。そんな二人を見て、アカツキがもう一度話した。
「いつからなのか分からないんだけど、俺にも出てるんだよ」
「出とるって、何がや?」
Dがアカツキに言葉を掛けると同時に、Trashが理解した。
「俺らと、おんなじクエがか?」
Trashの言葉に、アカツキが小さく頷く。
「何でや? こんなん初めてやな?」
「せやな」
「だからって訳じゃないんだけど、気になってな……」
そう言って、アカツキはまた下を向いた。
「どんな形にしろ、終いまでちゃんとせぇって事か……」
そう言って、Dは視線を落とす。
「俺らめっちゃ、ちっせぇ」
少しの沈黙の後、Dが疑問を口にした。
「それで、一体どないするんや?」
「そうだよな……」
「自分にクソ腹立つけど、今の俺らに出来る事をやるしかしゃあないやろ」
「出来る事?」
「胸くそ悪いけど、これが一番ええ方法や」
そう言って、アカツキの肩をポンと叩くTrash。
そんなアカツキは不思議そうな顔でTrashを見ていた。
しばらくすると、三人は岩陰で木の枝を削ったり。今までの旅路で得た布などを繋ぎ合わせていた。
「本当に、こんなので上手くいくのか?」
木の枝を削っているアカツキが、Trashに声を掛ける。
アカツキの近くで別の事をしているTrashがアカツキに答えた。
「人間なんて、信じたいもんを信じる生きもんやから大丈夫や。まぁ、任せとけ」
「お前達は良いかもしれないが、俺は凄ぇこえぇぞ」
心配そうにするアカツキにDが何も考えず適当に答える。
「だいじょー、だいじょー。余裕や」
そう言って、余った木や布で何かを作り続けるD。
「本当かよっ!? ってか、Dはさっきから何やってんだっ!? お前、全然関係ない事してねぇか!??」
「しゃあないやろ。トラが "お前は余計な事せんと、じっとしとけ" 言うんやさかい」
「だったら、おとなしくしてろよっ!!」
「だって、暇やねんもぉん……」
「ったく。お前って、本当に変な奴だよな」
「何で、そうなんねんっ!?」
Dの言葉に反応せず、アカツキは〈砂漠の宮殿イシュバーン〉での出来事を思い返していた。
(能天気な単純野郎かと思っていたら。いきなり、あんなにも他人の事に対して気持ちを傾けたり。一体何なんだ、こいつ? 28歳って、もっと大人だろ? 良い意味でも悪い意味でも、子供がそのまま大きくなった感じだよな……)
「って、聞いとんのかいっ!?」
「何が?」
「何がって、なんで俺が変な奴になんねんって話や!!」
「まだ、そんな事聞いてたのかよ」
「お前が答えへんからやろ!!」
「そんなの、変な奴だから変な奴だって言ってるんだよ」
「アカツキ……、これだけはハッキリさせといたろ。俺はアホやが変ちゃうっ!!」
「そんな事言ってる時点で変な奴なんだって」
「やから、ちゃう!!」
そんな二人のやりとりを聞いていたTrashが、アカツキに言葉を掛けた。
「その辺で辞めとかんと、しんどいだけやぞアカツキ」
「だな」
「なんでやねんっ!?」
「それにしても、Trashは良くDと一緒に今まで居れるよな」
「小さい時から一緒やから、慣れが出来とんねん。こんな奴、そやなかったら一緒に居るかいや」
「お前、色々大変だったんだな……」
「分かってくれるこぉ? 俺の苦労がぁ……?」
そして永遠とTrashのDに纏わる苦労話が続いた。
辺りは日が落ち始め、暗くなっていった。
「おっしゃ、これくらいでええやろ」
「本当に上手くいくのかぁ?」
「アカツキって、意外と心配性やな」
「普通、こんなので上手く行くと思うわけないだろ!?」
「かなぁ? 俺やったら、一発な感じがするんやけどなぁ?」
「いや、D……。お前は特殊なだけや……」
「だよなぁ……」
「ほんで、今から行くんか?」
「時間も時間やし、今日はここで過ごして。明日行こかい」
「いよいよか」
アカツキの目を瞑り、意を決した。
「頼むぞ、アカツキ。お前にかかっとんねやからの」
そんなアカツキにTrashが声を掛ける。
「アカツキ大作戦やな」
嬉しそうにDがアカツキに言葉を掛けた。
「お前、嬉しそうやのぉ」
「何かおもろいやん、これ」
「お前、他人事だと思って。お前も参加してるんだからな、しっかりやれよ」
「だいじょー、だいじょー」
「何が "だいじょー、だいじょー" だよ」
そして三人は地面に置いてある物を見た。




