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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
57/76

Episode 057【三人のクエスト】

 ハイランド・ラインスターの墓石を作った三人は。重い足取りの中、洞窟から出てきた。

 外は、彼らの気持ちとは裏腹に暑い日差しが砂漠を照らしていた。


「……」


 静かに歩き続ける二人を見て、アカツキが声を掛けた。


「……これから、どうするんだ?」


 それを聞いて、振り返るDとTrash。


「どうするって……、何をや……?」


 Dがアカツキに言葉を返す。

 何処か冷たい感じのDを見て、下を向きアカツキが言いにくそうにしている。


「クエストの事やろ……」


 そんな中、Trashがアカツキに代わりに答える。

 Trashの言葉に反応するD。


「クエストって、あれか……?」

「せや、あれや……」

「あんなん、どうせぇ言うねん!? あの人が100%悪いわけちゃうやんけっ!!」

「せやけど。村の人らは間違った教えを、ずっと昔から吹き込まれとって。あの人らが悪いわけでもないやろ? 真実を知らんだけや」

「せやから余計に、どうせぇ言うとんねん!!」


 二人のやりとりを何とも言えない表情で見ていたアカツキが、ずっと気になっていた事を二人に話し出した。


「俺にも、出てるんだよ……」


『?』


 アカツキが言おうとしている事に気付かないでいる二人。そんな二人を見て、アカツキがもう一度話した。


「いつからなのか分からないんだけど、俺にも出てるんだよ」

「出とるって、何がや?」


 Dがアカツキに言葉を掛けると同時に、Trashが理解した。


「俺らと、おんなじクエがか?」


 Trashの言葉に、アカツキが小さく頷く。


「何でや? こんなん初めてやな?」

「せやな」


「だからって訳じゃないんだけど、気になってな……」


 そう言って、アカツキはまた下を向いた。


「どんな形にしろ、終いまでちゃんとせぇって事か……」


 そう言って、Dは視線を落とす。


「俺らめっちゃ、ちっせぇ」


 少しの沈黙の後、Dが疑問を口にした。


「それで、一体どないするんや?」

「そうだよな……」

「自分にクソ腹立つけど、今の俺らに出来る事をやるしかしゃあないやろ」

「出来る事?」

「胸くそ悪いけど、これが一番ええ方法や」


 そう言って、アカツキの肩をポンと叩くTrash。

 そんなアカツキは不思議そうな顔でTrashを見ていた。




 しばらくすると、三人は岩陰で木の枝を削ったり。今までの旅路で得た布などを繋ぎ合わせていた。


「本当に、こんなので上手くいくのか?」


 木の枝を削っているアカツキが、Trashに声を掛ける。

 アカツキの近くで別の事をしているTrashがアカツキに答えた。


「人間なんて、信じたいもんを信じる生きもんやから大丈夫や。まぁ、任せとけ」

「お前達は良いかもしれないが、俺は凄ぇこえぇぞ」


 心配そうにするアカツキにDが何も考えず適当に答える。


「だいじょー、だいじょー。余裕や」


 そう言って、余った木や布で何かを作り続けるD。


「本当かよっ!? ってか、Dはさっきから何やってんだっ!? お前、全然関係ない事してねぇか!??」

「しゃあないやろ。トラが "お前は余計な事せんと、じっとしとけ" 言うんやさかい」

「だったら、おとなしくしてろよっ!!」

「だって、暇やねんもぉん……」

「ったく。お前って、本当に変な奴だよな」

「何で、そうなんねんっ!?」


 Dの言葉に反応せず、アカツキは〈砂漠の宮殿イシュバーン〉での出来事を思い返していた。


(能天気な単純野郎かと思っていたら。いきなり、あんなにも他人の事に対して気持ちを傾けたり。一体何なんだ、こいつ? 28歳って、もっと大人だろ? 良い意味でも悪い意味でも、子供がそのまま大きくなった感じだよな……)



「って、聞いとんのかいっ!?」

「何が?」

「何がって、なんで俺が変な奴になんねんって話や!!」

「まだ、そんな事聞いてたのかよ」

「お前が答えへんからやろ!!」

「そんなの、変な奴だから変な奴だって言ってるんだよ」

「アカツキ……、これだけはハッキリさせといたろ。俺はアホやが変ちゃうっ!!」

「そんな事言ってる時点で変な奴なんだって」

「やから、ちゃう!!」


 そんな二人のやりとりを聞いていたTrashが、アカツキに言葉を掛けた。


「その辺で辞めとかんと、しんどいだけやぞアカツキ」

「だな」

「なんでやねんっ!?」

「それにしても、Trashは良くDと一緒に今まで居れるよな」

「小さい時から一緒やから、慣れが出来とんねん。こんな奴、そやなかったら一緒に居るかいや」

「お前、色々大変だったんだな……」

「分かってくれるこぉ? 俺の苦労がぁ……?」


 そして永遠とTrashのDに纏わる苦労話が続いた。

 辺りは日が落ち始め、暗くなっていった。


「おっしゃ、これくらいでええやろ」

「本当に上手くいくのかぁ?」

「アカツキって、意外と心配性やな」

「普通、こんなので上手く行くと思うわけないだろ!?」

「かなぁ? 俺やったら、一発な感じがするんやけどなぁ?」

「いや、D……。お前は特殊なだけや……」

「だよなぁ……」

「ほんで、今から行くんか?」

「時間も時間やし、今日はここで過ごして。明日行こかい」

「いよいよか」


 アカツキの目を瞑り、意を決した。


「頼むぞ、アカツキ。お前にかかっとんねやからの」


 そんなアカツキにTrashが声を掛ける。


「アカツキ大作戦やな」


 嬉しそうにDがアカツキに言葉を掛けた。


「お前、嬉しそうやのぉ」

「何かおもろいやん、これ」

「お前、他人事だと思って。お前も参加してるんだからな、しっかりやれよ」

「だいじょー、だいじょー」

「何が "だいじょー、だいじょー" だよ」


 そして三人は地面に置いてある物を見た。






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