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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
53/76

Episode 053【弱さの決意】

 前回の戦闘が嘘かの様に、スケルトンナイト達を圧倒していくTrash達。あの世とこの世の狭間でのスクレイルバッドとの戦闘で、自分達の役割を認識していった事が結果となって表れていた。


「シールドアタァアックッ!!」


 アカツキの攻撃を受け、後方に吹き飛んでいくスケルトンナイト。アカツキは、それを追って更に剣で攻撃を仕掛けていく。


「ええ流れやんけ、アカツキ」

「だろ? シールドアタックしたら、相手がよろめいたりする事に気が付いてな」

「なるほど」


 そしてアカツキはウォー・グリーフを放った。三人との戦闘でばらけていたスケルトンナイト達が、アカツキの元へと集まっていく。スケルトンメイジは次々に魔法の詠唱を始めた。


「メイジの方は任せたぞ、トラ!」

「オッケー!」


 群がるスケルトンナイトに向け、ソードスラッシュを放つD。そしてTrashはトリプリケートで、スケルトンメイジ達の詠唱を阻止し始めた。


「戦い慣れたら、こっちのもんだな」


 ソードスラッシュで吹き飛んでいくスケルトンナイト達を見るアカツキ。次々とモンスター達を倒していき、とうとう残るは、スケルトンナイト一体になった。


「これで、終いじゃぁああ!!」


 Dの大剣がスケルトンナイトに襲い掛かる、そしてスケルトンナイトは腐敗していくかの様に消えていった。


「やったな!」


 嬉しそうに話す、アカツキ。


「せやな!」


 それに、同じ様にDが応えた。


「まだボス居るから、気ぃ抜くなよ」


 Trashが、そんな二人に声を掛ける。それに二人が応えようとした時、地震が起きた様に地面が揺れ始めた。


「何や!?」

「地震か!?」

「いや、どっかでボス登場やないか?」


 Trashの言葉に警戒し始める、アカツキとDの二人。


「先、進もか」


 そう言って、Trashが橋を進み出した。そして二人が、それに続く。橋は大きな塔に続いており、そこに辿り着いた三人は塔の中に入っていった。中に入ると螺旋階段があり、それが上の方まで長く続いていた。


「これ上がったとこに、ボスやな」


 それを見たDが話す、そして三人は目を合わせ頷いた。階段を駆け上がって行く三人。頂上まで辿り着くと、そこには一人の男と大きなモンスターが居た。男の身なりは、やや黒っぽい色を主体にした軽装の鎧を纏っていた。そして傍に居るモンスターは、顔がライオン、背中にはヤギの頭、そして尻尾にはヘビの頭があり。それは正にキメラであった。


「やはり、我等の邪魔をしに来たのだな!! 貴様等はっ!!」


 男が三人に言い放つ、その顔は怒りの表情に満ちていた。


「分からんけどっ!! 多分、そうなるっ!!」


 男の言葉に、Dが応える。


「お前、もう少しマシな言い方ないのかよ……。一気に気が抜けるわ」


 呆れた顔をするアカツキ。


「やって、あいつが何するんか。俺ら知ってへんし」

「そうだけどよっ!!」


 いつもなら、そんな二人のやりとりをツッコむTrashだったが。それを無視し、ゾイエンガルドから思っていた事を男に聞き出した。


「お前らの種族も、ヤーヌに殺られたんか?」


 その声は、非常に切ない感じがした。その言葉に男は更に怒りに満ちた表情になり、Trash達三人に話し始めた。


「やはり、お前達はヤーヌを信仰する者共だったのだな。我等がネイヴェル族の恨み、お前達からまず晴らさせてもらう」

「復讐か……」


 複雑な表情でアカツキが呟いた。


「そんなんしたって、何にもならんでっ!!」


 今にも泣き出しそうな顔で、Dが男に叫んだ。


「貴様等に、我等の何が分かるっ!?」


 男の言葉に黙るD。


「好戦的な魔族……。それを聞きつけたヤーヌが、お前達の所に現れたんやな?」


 冷静にTrashが男に問い掛ける。


「好戦的だと? 確かに我等は、他の種族の魔族に比べれば好戦的であろう。だがなマヌス族のヒューム共の様に、見境なく人を殺めたりはしないっ!! 我等が好戦的であるならば、ヒューム共は殺戮者共の集まりだっ!!」


 辺りに男の怒号が響き渡る。


「なるほどな。狭間の世界で会うた村人さんが言うてたんは、魔族の中で好戦的って事やったんやな」


 そう言葉にしてから頭を下げ、少し考え始めるTrashの姿があった。


「そりゃあ、いっぱい戦争しとったし。あかん事も、いっぱいしとったやろけど……。でも、復讐なんかあかんてっ!! どっかで止めんと、繰り返していくだけやでっ!!」


 涙を流しながら、Dが男に話し掛ける。


「我等が我慢しなければいけない道理が何処にあるっ!? 仕掛けてきたのは、そちらが先だっ!! 繰り返してほしくなくば、ヒューム共やお前達モンスタースレイヤー共が止める側に回れば良かろう!!」


 その言葉を聞いて、凄く困った表情で俯くD。


「……どないしたらええんや」


 そう言って、泣きながら頭を抱え悩み始めた。


「D……」


 そんなDを心配そうに、アカツキが見つめる。


「いくら話しても、平行線なだけだっ!! そんなに復讐が悪いと言うのなら、我を止めてみるが良いっ!! 戦わぬと言っても、我はお前達を殺す。そして次にマヌス族、その後はモンスタースレイヤー共、全てに恨みを晴らさせて貰うっ!!」


 男の言葉を聞いて、顔を上げるTrash。


「せやな。いくら話した所で平行線なままで、どうにもならんな……」

「トラ……?」


 Trashの言葉を聞いて、Dがそっちを向いた。その表情は、Trashが何をしようとしているのかが分かっているようであった。


「あかんて……、他にもっとええ方法があるはずやってっ!!」


 必死にTrashに問い掛けるD。その姿をアカツキは、ただ黙って見ているしかなかった。


「D……。お前の気持ちは、すげぇ分かる。俺もめっちゃ考えた。……でも今の俺らには、これ以外何も出来ひんやろ?」

「でもや、あの人悪くないねんでっ!?」

「今はな。でも、このままほっとたら、もっと悪くない人ら死んでいくねんぞっ!」

「でもや……」

「D、ここは腹くくれ。俺らが悪いもんになってもええから、あの人を止めるぞ」

「……」

「アカツキも分かったなっ!?」

「ああ……」


 Trashに返事をしたアカツキの言葉は、とても辛そうであった。


「それじゃあ、やるぞ」


 決意を胸に、Trashが武器を構える。そしてアカツキも戦闘態勢に入った。そんな二人を置いて、Dはずっと泣いたまま地面に崩れていた。


「Dっ!! こんなんしたぁなかったら、もっと強うなれっ!! 俺はこんなん、もう二度としたぁないっ!! ずっと泣いとんねやったら、置いてってまうぞっ!!」


 その言葉に頭を掻きながら、Dが立ち上がる。


「こんなん、嫌やっ!!」


 武器を手に持ち、泣き叫ぶD。


「やったら、早めに終わらすぞっ!!」


 そんなDにTrashが返した、その言葉にはTrashの悲痛が込もっている様であった。

 それを見て、男がキメラに何か呪文の様な言葉を掛けた。


「キメラ相手に、そう簡単にいくかなっ!!」


 男が言い終わると同時に、キメラが三人の元に迫り出す。

 そして三人はキメラに立ち向かって行った。






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