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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
51/76

Episode 051【成れの果て】

 どう言葉を掛ければ良いのか分からない三人。

 そんな三人に、村人は涙を拭い言葉を掛けてきた。


「すみません。困らせてしまったようですね」


 そんな言葉を話す村人の顔は、出会った時のような温和な表情に戻っていた。


「いや、謝らんといて。全然悪ぅないねんから」


 Trashが慌てて言葉を返した。


「話を戻しますが。あなた方は、ここに来る前に居た場所に戻りたいという事ですね?」

「そうだけど……」


 気まずそうに応える、アカツキ。


「それでしたら、グシュタポ様が居なくても大丈夫ですよ」

「えっ!? そうなん!?」


 驚くDに対して、「少し、お待ちくださいね」と答え。村人は何処かに行ってしまった。


「グシュタポ居らんでもいけんねやな」


 意外そうな顔で話すDに対して、Trashが言葉を掛けた。


「そやな。それにしてもアシアナに伝わっとった言い伝え、全然ちゃうかったな」

「あっちに戻れるは良いとしてよ、戻って俺達どうするよ? そのままクエスト続けるのか?」

「せやなぁ……」


 アカツキの言葉に頭を抱えるD。

 そんな時先程の村人が戻ってきた、そしてその村人は何かを持っていた。


「これを、どうぞ」


 そう言って、持ってきた物をTrash達に一つずつ渡す村人。


「石?」


 不思議そうな目で、渡された物を確認するD。


「これは玉響の石と言う物で、こちらからあちらに戻る際に必要な物です」

「へぇ〜」


 村人の言葉にアカツキが声を出す。


「それにしても、おかしいですね」

「なんが?」

「皆様が居た所は、別に此処と通じてはいないんですよ」


『え?』


 村人の言葉に唖然とする三人。


「いやいやいや!! 現にここに来てもうとるやんっ!?」

「だからなんですよ。おかしいと思うのは」

「一体、何がどうなっとんや?」


 頭を抱え出すTrash。その隣でDとアカツキは言葉に出来ない表情をしていた。


「あそこは元々、私達アーク族が祭を行う所でして。魔物なども居ない、とても安全な所だったんですが。一体、何故なのでしょう?」

「あかん……、セトルさんから聞いた言い伝えは無かった事にせんと、頭が痛ぁなるだけやな……」

「皆様が、そこに行かれる際に何か特別な物でも持ってはいなかったですか? それか、何か特別な事が起きたりしなかったですか?」


 村人の言葉を聞いて、ある事を思い出したTrashが話し出した。


「そういうたら間違って黄泉の世界に行かんようにって、ランプを渡してもろたわ。あと曇り雲が現れたって言うとった」

「ランプに曇り雲ですか……」


 Trashの言葉に、しばらく考え事をする村人。


「それは多分、玉搖れのランプと闇霧の事ですね」

「何や? それ?」

「トラ……、俺はとっくの昔から話に付いてけてへんからの……。代わりに、よう聞いとってっくれ……」

「認めたくはないが……、俺もこの馬鹿と同じだ……。後は頼んだ、トラ……」


 地面に座り込む、二人に目をやってから村人が話してきた。


「玉搖れのランプとは、あちらからこちらに来る為に必要な物です。玉響の石とは違い、それ一つで複数の人をこちらに連れて来る事が出来ます」

「マジでっ!? 全然、反対やったんか!!」

「そのランプは、今もお持ちで?」


 村人の言葉に、Trashはバラハラの事を伝えた。


「ハルトさんに渡されたのですね」

「ハルト?」

「はい」


(ララの奴、一体幾つ偽名つことんじゃ?)


「でも、あれって。失われた肉体を探す為の物やろ?」

「ああ、それは。そういった使い方も出来るってだけなんですよ。肉体を持ったまま来られる方の中には、たまに肉体を落として行かれる方も居ますので」

「自分の体を落とすって、どういうこっちゃっ!?」

「此処は肉体エネルギーを使わずに、霊体エネルギーだけを使うんですが。たまに気付かぬ内に肉体から霊体が抜けてしまう方が居られるんですよ」

「さらっと怖い事聞いた気がするわ……」

「それよりも問題は闇霧の事ですね」

「問題って、どういう事なんや?」

「闇霧は確かに魔族が使う能力の一つなのですが。アーク族はグシュタポ様以外に、それを使える方は居ません。アーク族以外で、この辺りで使える魔族と言えばネイヴェル族ですね」

「ネイヴェル族?」

「私達アーク族とは違い、どちらかと言えば好戦的な種族です。それでも今までは大人しくいていたのですが、ネイヴェル族に何かあったのかもしれませんね」

「なるほど」


 その後、村人との話を終えたTrashはDとアカツキを連れて歩き出した。


「ほんで。その何ちゃらって門を通ったら、この石が洞窟まで戻してくれるって事か? トラ?」

「せや。イザナイの門って名前な」

「あそこにモンスターが居たのは、そのネイヴェルっていう魔族の仕業って事なのか? トラ?」

「せや。あの村人さんは魔物って言うとったけどな」

「魔物? モンスターと何かちゃうんか?」

「同じ事らしいけど、本来は魔物って言うらしいわ」

「魔って言えば、魔族の魔と同じだろ? って事はモンスターも俺達が思ってる物と本来は違って、良い生き物なのか?」

「良い生き物やないけど、俺らが思っとったんと違うってのは当たっとるな」

「どういうこっちゃ? それ?」

「簡単に言えば、怨念みたいなもんや」

「怨念?」

「せや。あれは昔、人間やった奴らの成れの果てらしいわ」

「本当なのかよっ!? それっ!?」

「みたいやわ」

「あかん……。知れば知るほど、訳が分からんくなってくるわ」

「やろうな。若干、俺も同じ気分や」

「それで、あっちに戻ってどうするんだ? 俺達は?」

「クエスト続けるんか? トラ?」

「続ける。村人さんの話聞いて、何か嫌な予感がするんや」

「なるほど」

「やったら、しゃあないな」

「あっち戻ったら、またスケルトンナイトとか居るから。気ぃ付けていけよ」

「任された」

「おい、D。俺が言うてる意味分かっとんのこ?」

「わぁっとるぞ」

「そないか……。 アカツキも気ぃ付けろよ」

「誰に言ってんだよ。勇者になる男だぞ、俺は」

「そやったな……」

「そうだぞ、忘れるなよ」


(あぁ、アホは気楽でええのぉ……)


 そんな事を思うTrashの瞳は遠い空を眺めていた。

 そしてTrashが見上げた空は相変わらず幻想的な景色をしていた。

 それは三人が〈砂漠の宮殿イシュバーン〉に戻り、待ち受けている出来事とは正反対に綺麗な空であった。






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