Episode 048【脳筋男達と疲れる男と】
スクレイルバッドの群れが一斉にTrash達に襲い掛かってくる。その攻撃は主に爪や牙で攻撃してくるという、動物系モンスターにはありがちな攻撃であったがーー
「くそっ! こいつらっ!!」
すばしっこく動き回るスクレイバッド、その動きになかなか付いていけず、攻撃を当てることが出来ないアカツキの姿が其処にはあった。そんなアカツキを嘲笑うかのように、スクレイルバッドの三体がアカツキに迫ってくる。アカツキは盾を自分の前に構え、身を隠し、スクレイルバッドの攻撃に備える。そして盾に三度、衝撃が伝わった。それを確認したアカツキが盾を思いっきり薙ぎ払う。
「喰らいやがれ!! シールドアタックッ!!」
アカツキの盾が唸る。しかし、そこにはもうスクレイルバッドの姿は無かった。
「ああ!! もうっ!!」
こんな事が繰り返し続き、苛立ち始めるアカツキ。その奥では、Dがスクレイルバッドに対しマリグニティを振り回していた。Dの周りを飛び散る数体のスクレイルバッド達、一見するとDの攻撃により吹き飛んでいるように見えたが。Dの周りに飛んでいるスクレイルバッドは全て、Dの起こす剣風に身を任せ、その攻撃を躱していた。
「うんまに、こいつらっ!!」
マリグニティを持つDの手に力が入る、そしてスクレイルバッドに向けてマリグニティを振り下ろした。
「ソードスラッシュッ!!」
地面の土や石などを撒き散らしながら、斬撃がスクレイルバッドに向かって飛んでいく。しかし、それも簡単に躱していくスクレイルバッド。
「さっきから、全然攻撃当たらへんやんけっ!!」
そんなDに、スクレイルバッドが爪で顔を引っ掻いていった。
「いっでぇええ!! どないかならんのこ? これ?」
そう言って、Trashの方を向くD。そんなTrashは、二人から少し離れた所でスクレイルバッドと戦っていた。ウォーリアでもファイターでもないTrashは、二人に比べると攻撃力は劣っていたが。
「トリプリケートッ!」
自分に向かってくるスクレイルバッド5体に対して、矢を三本放つTrash。矢の一つが先頭を走っていたスクレイルバッドに刺さる、そして残りの矢も後続を走っていたスクレイルバッドに刺さった。しかし、それでも二体のスクレイルバッドがTrashに攻撃を仕掛けてきた。そして金属と金属がぶつかったように高い音が辺りに響く。すると其処にはナックルダガーでスクレイルバッドの攻撃を防いだTrashの姿があった。
「残りはカウンターで、やったろ思てんけどな」
イメージ通りにいかず顔をしかめるTrash、ストライダーであるTrashは唯一スクレイルバッドの動きに付いてく事が出来ていた。
「お前、こいつらに付いていけんのこっ!?」
善戦するTrashに話し掛けるD、その声にTrashがDとアカツキの方を見た。
「お前ら、もうちょっと自分の職業の特徴活かせやっ!!」
そして二人の元に駆け出すTrash。二人の元に辿り着く前に、Trashが指示を出してきた。
「アカツキ、ウォー・グリーフやっ!!」
それを聞いて、仕方なさそうにスキルを発動させるアカツキ。
「俺の最強伝説が、くそっ!! ウォー・グリーフッ!!」
アカツキの挑発のスキルにより、周囲に居た多くのスクレイルバッドがアカツキに引き寄せられていった。それを確認し、今度はDに指示を出すTrash。
「D。お前はアカツキが居るとこ目掛けて、ソードスラッシュせぇ!!」
「アカツキがどないなっても知らんぞっ!! ソードスラッシュッ!!」
そしてソードスラッシュの斬撃が、アカツキと共に多くのスクレイルバッドに当たる。その衝撃により砂埃が辺りに舞い上がる、そしてDの攻撃を受けて意識を無くしたスクレイルバッドが砂埃から吹き飛んできた。しかしソードスラッシュを躱したスクレイルバッドも居り、そのスクレイルバッド達が砂埃の中から飛び出してきた。
「オッケー、今度は俺の出番や!」
そう言って、砂埃から飛び出してきたスクレイルバッド達に攻撃を仕掛けていくTrash。地面では次々に落ちていくスクレイルバッドの姿があった。そして攻撃を終えたTrashがDに声を掛けた。
「アカツキやったら、大丈夫じゃいや。あれでも俺らの中で一番、防御力高いんやさかい」
「誰が ”あれ” だっ!?」
その声と共にアカツキが姿を現わす。
「トラ、お前すげぇな!」
Trashの指示を感心するD。
「アホっ!! 普通はそれぞれの職業に応じて、戦い方や役割やら色々あんじゃっ!!」
「へぇ〜、そうなんや。」
「そこ感心するとこちゃうからの!! ってか、この世界に来た当初にも言うたやろ!!」
「悪りぃ、すっかり忘れとるわ」
「ったく……。まあでも、お前がウォーリアを選んだ理由知っとるから今さら驚きもせんけどな」
そしてアカツキの方を見るTrash。
「ってか。アカツキも自分が盾役って分かっといて、何でウォー・グリーフせんねん?」
その言葉に顔をしかめるアカツキ。
「俺は勇者のように格好良く戦いたいんだよっ!! それが俺の最強伝説の始まりだっ!!」
「何が最強伝説やっ!! 戦いたいって言うても、そん時の状況ってもんがあるやろがいっ!!」
「俺はララさんに誓ったんだよっ!!」
「勝手にやろっ!? それは勝手に一方的に誓っとんねやろがいっ!?」
「るせぇっ!!」
騒ぐ二人を他所に、顔を上げ腕を組むD。
「トラの言うようにしたら戦闘が上手い感じにいけたんは、トラが俺らの職業に応じた役割を指示したからなんか……」
そんなDを見て、Trashが声を掛けた。
「さっきのはスクレイルバッド用に戦っただけやから、さっきみたいな流れが他のモンスターに使えるって訳やないぞ」
「えっ!? そうなんっ!?」
「ったり前やろ!! 色々ある言うたとこやろっ!?」
「ああ……、そっか……」
「一気に暗ぁなんなやっ!! ったく。今までやったら、大した連携なくても戦えてきとったけど。スケルトンナイトとかみたいな連中には、そうはいかへんぞ」
「せやなぁ……」
「確かに、あいつらと今の俺達じゃ。普通に戦ったら、また前の様になるだけだからな……」
Trashの言葉に黙る二人。
「アカツキと出会てそんな経ってへんし、連携的な所で俺ら完璧って訳やないからの。村行く最中に敵に出会たら、その辺上手くいく様に戦っていこかいや」
「そやな」
「だな」
そして歩き出すアカツキとDの二人。そんな二人にTrashが話し掛けた。
「あ! それとや、アホはどっちか一人にしてくれへんこ? 二人ツッコむんはしんどいわ……」
「むりっ!!」
「俺はバカじゃねぇ!!」
Trashに即答する二人。
「ああ、そないか……」




