Episode 047【さよならのララバイ】
爽やかな風が吹く、幻想的な空の下ーー
『ありがとぉおお!!』
そんな言葉を残して、バラハラは走り去って行った。その後ろ姿を見送るTrash達、三人。
「バイバイ……、ララさん……」
その中で寂しそうな顔で見送るアカツキ。その隣では大きく手を振るDの姿があった。
「にしても、良かったなぁ。まさか、あれが失われた肉体を探すアイテムやったとはなぁ」
「やけど、おかしないかぁ? セトルさんから聞いた話とちゃうやんけ」
Dの隣で腕を組み、頭を傾げるTrash。
「なんでやろなぁ?」
そう言って呑気に返してくるDに、Trashが真剣に話し出した。
「呑気に言うてる場合ちゃうぞ、これ!!」
「なんで?」
「村の言い伝えが間違うとるって、こっちゃろ!?」
「ああ、そっか。なんでやろな?」
「ララさぁん……」
「間違うとるんがランプ以外にもあったら、お前どう思う?」
「どういうこっちゃ? それ?」
「っまに、アホやの。グシュタポやら、それ以外も間違うとったらどないするって聞いとんじゃっ!!」
「ララさぁん……」
「それ、どういうこっちゃ!?」
「俺にも、まだ具体的に分からんけどや……」
「ララさぁん……」
「 ”けど” なんや?」
「ちょう待てよ、D……」
「ララさーー」
「いつまで言うとんじゃ、お前はぁ!?」
もう姿も見えない、バラハラの行った先を見つめるアカツキに突っ込むTrash。そのTrashに、号泣し若干よだれも垂らしながら顔を向けるアカツキ。
「だっでよぉおお……」
「っやねん!? 初恋でもあるまいし!!」
「……」
「初恋やったんこっ!?」
「るせぇ……」
「……おい、D。どないかせぇや」
「なんで俺が?」
「お前、今までフラれまくってきとるやろ」
「あ、そっか!」
そしてDが肩を落とすアカツキの所に向かって行った。
「うぅ……」
「アカツキ、元気出せや! 女なんか星の数ほど居るやんけ!!」
それを聞いて、更に泣き始めるアカツキ。その反応を見て、「しまった」という顔になるD。そんなDの頭をTrashが思いっきり叩き倒した。
「ったく!! お前はぁ!!」
「すまん、トラ。アカツキ風にいってみてんけど、あかんかったわ……」
「……すまん。お前に頼んだ、俺がアホやったわ」
そう言って、またアカツキに言葉を掛けに行くTrash。
「アカツキ、もう一生会えへんって訳ちゃうやろ? ランプの事もあって、ララ生き返れるんやし。俺らも村行って元の場所に返してもろたら、また会えるやんけ」
Trashの言葉を聞いて、泣き止んでいくアカツキ。
「……そうだよな? そうだよなっ!? おっしゃああ!! ララさん、待っててくださいねぇ!!」
元気を取り戻したアカツキが、ララに教えて貰った村までの道のりを歩き出した。
「やるの、トラ」
「まぁ言うても。フレ登録出来てへんから再会出来る確率はめっちゃ低いやろけどな」
「あっ!! お前っ!!」
「嘘言うてへんから、ええやんけ。あいつも元気になったんやし」
それを聞いて、元気に二人の先を歩くアカツキを見るD。
「そういう事にしとこか……」
そして一路、狭間の世界にある村へと向かう三人。その道中の景色は、あの世とこの世の狭間と言うだけあって、とても幻想的な雰囲気であった。
「ほんまの世界やったら、体験出来へんねやろなぁ」
笑顔で周りを眺めるD。
「あっちで実体験してもたら、間違いなく死んでもうとるって事やんけ」
そんなDに呆れ顔で返すTrash。
「おいっ! お前ら、もっと早く歩けよ!! 早く洞窟に戻って、ララさんに会いに行くんだからよ!!」
怒鳴るアカツキの姿を見て、ため息を吐くTrash。
「こんな事なら、あいつ励まさんかったら良かったわ……」
「アカツキの奴、完全に目的変わってきとるよな」
元気を取り戻したアカツキの事で話しているTrashとDの元に、森の茂みからリスの様な姿をした動物が現れてきた。とても愛くるしい見た目のその動物に近づいていくD。
「トラ、見ぃや。めっちゃ可愛いぞ」
そう言って、Dはリスに似た動物の頭を撫でようと手を伸ばした。しかし突然、その動物の目付きが変わりDの手を激しく噛んできた。
「いでぇええっ!!」
あまりの痛さにDが騒いでいると。気が付けば、そこには沢山の同じ動物達の姿があった。その動物達の目付きも鋭く、異様な雰囲気を出していた。
「これっ、モンスターかっ!」
状況を確認したTrashが確信する。
「いでぇええっ!! トラ、こいつ取ってくれやっ!!」
モンスターに噛み付かれている右手を、Trashに向けるD。それに仕方なくTrashが応える。そしてDの手から払われたモンスターに目をやった。其処には「スクイレルバッド」と「Lv8」と表示されていた。
「D、気ぃつけろ!」
モンスターに噛まれた手を振りながら、痛そうにするDに言葉を掛けるTrash。そんなTrashの言葉に意外そうな顔をしてDが返事をしてきた。
「なんでや?」
「こいつら、俺らとレベルが2しか変わらへんぞ!」
「嘘やろっ!?」
そう言って、Dは信じられないという顔をしながらスクイレルバッドに指をさした。
「これがか……?」
そんなDに対して、腰からナックルダガーを抜き出し応えるTrash。
「そうじゃいっ!!」
そして顔をスクレイルバッドに向けたまま、遠くのアカツキに声を掛けた。
「アカツキッ!! モンスターやっ!!」
そのTrashの真剣な表情を見て、Dも武器を抜き構え始めた。
「もう、あんなんは嫌やからの……」
そう言って、スケルトンナイトやスケルトンメイジとの戦闘を思い返すTrash。その表情は悔しさで満ちていた。その言葉にDの目の色も変わる。
「せやの……」
そして、そんな二人の元にアカツキが勢い良く戻ってきた。
「っしゃああ!! 今からアカツキ様、最強伝説見せてやるから。お前ら、必死に付いてこいよっ!!」




