Episode 046【失恋と閻魔様と】
此処があの世だと言う、バラハラの言葉を聞いて驚く三人。
「嘘やろっ!?」
「俺達、死んだのか!?」
「せやから、傷が消えたんかっ!?」
バラハラに向かって、一斉に話し掛ける三人。それに対してバラハラが冷静に答えてきた。
「嘘じゃないよ。傷が消えたってのは、その所為だろうね。あとーー」
バラハラの次に発するであろう言葉に、身を硬くする三人。
「君達は、まだ死んでないよ」
その言葉を聞いて、体中の力が抜けていく三人。
「マジでかぁ……、良かったぁ……」
「それじゃあ、何でここに居るんだ? 俺達?」
「ララは死んでんの?」
Dの言葉にアカツキが返した。
「D、ララって誰だ?」
「バラハラの事やぞ、バハマかララで悩んだんやけどな。ララにした」
「そうか……」
「うんで、ララは死んでんの?」
Dへの返答が、どんなものかが気になりバラハラの方を見るTrash。
「う〜んっと、死んでる……」
それを聞いて驚く三人。
「マジかっ!?」
「死人って事になるのか?」
「そうなんや……」
そんな三人に対して、話を続けるバラハラ。
「……ような? 死んでないような?」
『……』
「そんな感じ」
そう言って、笑顔になるバラハラ。
「どっちやねんっ!? びっくりして、損したわっ!!」
「自分の事に関しては、出会ってから一度もちゃんと答えないよな……」
「それって、どういう事なん?」
そんな三人に、バラハラが困ったような顔をして話し始めた。
「んとね。君達はまだ死んでないから、肉体を持ったまま此処に来てるんだよね。でも此処では肉体エネルギーよりも、霊体エネルギーの方が強く繁栄されるから肉体に負った怪我なんかが無くなってるわけ」
「そういう事なんや」
「なるほどな」
「へぇ〜」
「それで、そんな今の私は霊体エネルギーしか持ってないの」
「え……?」
「やっぱ、死んでるって事なのか?」
「……あかん、もう付いてけへん」
「でも聞いた話では、私の肉体が此処のどっかにあるんだって。それで私は今、それを捜してる最中なの」
「聞いた話って、どゆ事や?」
「自分の体を”それ”って言うか? 普通?」
「……悪りぃ。俺から聞いといてなんやけど、話し終わったら呼んでくれ」
「だから今の私は中途半端な存在なのよね」
そう言って、また笑顔を見せてくるバラハラ。
「ちょ、ちょう待てよ! 聞いた話って何やねんっ!?」
率直に自分が感じた疑問をバラハラに問い掛けるTrash。それに対してバラハラが「何で?」という顔になった。
「此処にある村の人達に聞いたに決まってるんじゃん」
「あの世に……?」
「村って……?」
「マジでっ!? 行ってみたいっ!!」
「行ってみる?」
バラハラの言葉を聞いて、あの世に存在するという村に案内してもらう三人。その道中は先程と同じ様に森の中を進んでいる様であった。
「水が飲めても、そんな感じがせんのは。肉体がある所為やったとはな」
「でも死んでへんで良かったよな、ほんま」
「訳が分かんない事が多過ぎだな、ワンダー・クロニクルって」
アカツキの言葉を聞いたバラハラが話し掛けてきた。
「なんだ。君達って、私達の後輩なのか」
『……?』
固まる三人を見て、不思議がるバラハラ。
「どうしたの?」
「何で俺らがララの後輩になるんや?」
Trashの言葉を聞いて、「なんで?」という顔をするバラハラ。
「え? だって私、テスト・ユーザーだもん」
「マジでかっ!?」
「テスト・ユーザーって、本当に存在したのか!?」
「ララって、先輩さんやったんかっ!?」
すぐさまバラハラのステータスを確認するTrash、しかしステータスが表示されなかった。
「ステータス出ぇへんぞ」
「そうなんだよねぇ」
「にしても。テスト・ユーザーが存在するっていう、トラの予想あっとったな」
「何っ!? お前、そんな事思ってたのかよ!?」
「さすがの俺も、今日はもう色んな事が有り過ぎて頭痛いわ」
「だよねぇ」
Trashを見て笑うバラハラ。明るく笑うバラハラを見て、アカツキが少し聞き辛そうに話し掛けた。
「ララさんは……、戦闘で命を落としたの……?」
アカツキの表情を確認したバラハラは、変わらず言葉を返してきた。
「そうだよ」
バラハラはアカツキが暗くならない様に気を使ったのだが、それが逆にアカツキの感情を揺さぶった。
「それなのに、何でそんなに明るく居られるんだよっ!!」
強い口調でバラハラに言葉を放ったアカツキの目には涙が溜まっていた。それを見たバラハラは、アカツキに対して優しい口調で話し始めた。
「ツッキーは優しいね。でも私は自分が死んだ事には悲しい気持ちは無いの」
「どうして……?」
「それはね、私が私の大切な人を守る事が出来たから。もっと一緒に居たかったって気持ちはあるけど、悲しくはないよ」
その二人の会話を静かに聞いていたTrashとDの二人。
「おい、D?」
「どした?」
「俺だけか?」
「何が?」
「不謹慎かもしれんけどな……」
「おう」
少し間を置いてDに話を続けるTrash。
「アカツキの奴、さり気にフラれとるがい」
「しかも、知らん間に ”ツッキー” になってもうとるしな」
そして顔を見合わせる二人。
「やっぱ、お前も思たこ?」
「思た。でも言うてええんか、悩んだわ」
「そそ、俺も」
そんな二人に気付かず、アカツキに話しを続けるバラハラ。
「それにね。その人のおかげで、私はもう一度生きるチャンスを貰えたの。だから今の私は凄く幸せなの。気にしてくれて、ありがと。ツッキー」
それを聞いて、俯くアカツキ。そんなアカツキを見て、からかうように接してくるTrash。
「ツッキー、フラれてもうたのぉ」
「もう!! トラくんっ!!」
そんなTrashを制するようにバラハラが言葉を掛けたが、そんなバラハラの肩をDが叩いてきた。そして小声でバラハラに話し掛ける、D。
「ララ、大丈夫。トラはあれでアカツキに元気出させようとしとるから」
Dの言葉を聞いて、アカツキの方を見るバラハラ。
「うるせぇ!! 男なら何度でも向かっていくだけだっ!!」
「あ!! やっぱ、惚れとったんか。お前」
「っるせぇ!!」
二人の会話を見て、Dに言葉を返すバラハラ。
「ほんとだ」
「な? あいつ、何も考えてなさそうで。その辺はちゃんと色々考えて動きよるから」
「そうなんだ。良く分かったね、Dくん」
「小さい時から、ずっと一緒に居るからな」
「仲良いんだね、トラくんとDくんは」
「腐れ縁なだけやで」
そして笑うバラハラとDの二人。
「ところでや、ララ?」
そんなバラハラにTrashがずっと気になっていた事を聞き始めた。
「なんで、あの世なんかに村なんかあるんや?」
「ああ! そっか! まだ、ちゃんと話してなかったね。此処、あの世って言っても。まだ狭間の世界だから」
「狭間って? あの世とこの世の?」
「そ」
「んで、それと村と何が関係あるんや?」
「そこの人達が、此処に来た魂達をあの世に導く役目を担ってるの。分かり易く言えば、閻魔様の村版かな?」
「マジでっ!? そんなトコに俺ら行って大丈夫なん!? なんか怒られたりせぇへん?」
「大丈夫だよ、Dくん。皆、優しい人達だし。君達は死んでないから、此処に来る前の所にちゃんと帰してくれるよ」
「そうなのかっ!?」
ビックリする三人を見て笑うバラハラ。
「なんや、えらい簡単に戻れるんやな」
頭を押さえ、笑うD。
「おい、D?」
「どした? トラ?」
「せやったら。これ何に使うもんなんや?」
そう言って、セトルから貰ったランプを鞄から取り出してDに見せるTrash。
「ほんまやな」
「どないなっとんじゃ? これ?」
そんな二人を見てバラハラが叫んだ。
「ああぁ!! それぇえ!!」




