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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
44/76

Episode 044【過信と霊感と】

 突然の物音で後ろを振り返るDとアカツキの二人、そこには息を荒くし倒れ込むTrashの姿があった。目を瞑り、額には汗が滲んでいる。


「トラっ!? どないしたっ!?」

「トラっ!? 大丈夫かっ!?」


 Trashの元に駆け寄る二人、返事をしないTrashは意識が朦朧としていた。それを確認した二人が、再び辺りを見渡す。そして苦悶の表情になるDとアカツキ、そこには三人を囲うように迫るモンスターの姿があったーー




 〈アシアナ〉の村人が見たという謎の男は、アカツキという名前のTrashとDと同じ〈ワンダー・クロニクル〉のプレイヤーであった。アカツキの話を聞いた二人は、自分達に出たクエスト〈砂漠の宮殿イシュバーンの異変〉にアカツキが関係無い事を知る。しかし二人は「異変」という言葉が気になり、洞窟を出ずにアカツキと共に探索を続ける事にした。


「アカツキは。ここに一人で来たんか?」


 先を歩き周りを見るアカツキにDが話し掛けた。


「そうだぞ。お前らは二人で来たのか?」

「せや」


 何気無い会話をしながら、探索を続ける三人。


「お前、ずっと一人やったんか?」

「何回か一緒に、誰かとクエに行ったりはしたけどな」

「そんで?」

「周りが俺に付いてこれねぇんだよ」

「そういう事か。お前、何となく仕切りたがりぃやもんな」

「いや。単純にこいつが痛いからやろ、D」

「ああ! そっか!」

「お前に言われたくないわっ!!」

「何でやねん!? お前、結構痛いぞ」

「D、お前も痛い人やねんぞ」


 Trashの言葉を聞き、信じられないといった目をするD。


「嘘やろっ!? 俺、こんなんなん!?」

「こんなんやぞ」

「誰が、”こんなん” やとぉ!?」


「マジでかぁ……。俺、痛い人やったんか……」


 顔に手を付き、苦い顔をするDを見ながら呆れた表情をするTrash。


「お前、自分の事どんな人間やと思っとったんや?」


 それを聞いて、苦い顔のままTrashの方を覗くD。


「……百歩譲って、”変な奴”?」

「それを普通の人間は ”痛い”って言うんじゃ。アホか、お前っ!!」


「お前ら、俺を痛い人前提で話進めてんじゃねぇぞっ!!」


「いや、痛いやろ。お前」

「アカツキ、お前も痛いぞ」


「っやと!? こらぁ!!」


 そして二人に詰め寄るアカツキ。そんなアカツキを見て、Dが手を叩いた。


「ああ! そっか! お前、そんなんやから誰も付いて来てくれんねや」


 その言葉を聞いて驚くアカツキと、また呆れ顔になるTrash。


「お前なぁ、D。そんなんは鼻っから、分かりきっとる事やろ。こいつかて、薄々気ぃ付いとんねんから。言うたんなや」

「え? マジで?」


 そしてアカツキに目をやるD。そんなアカツキは、驚いた顔を隠すように口早に話してきた。


「何言ってんだよっ!? あんな連中、俺の方からお断りだ!!」


 それを聞いたDが目を上にやり考え事をし始め、そしてアカツキに問いかけた。


「お前、今どっか行く予定とかあんのこ?」


 それを聞いていたTrashが、またまた呆れ顔になった。


「お前、マジでいっぺん、脳みそ診てもらえや」

「なんでぇ?」

「こいつ、ここにきた理由が ”そこに洞窟があったからさっ!!” やぞ。どう考えても、どっかに行く予定なんかないやろっ!!」


 それを聞いたアカツキは、自分の痛さを自覚し赤面し始めた。Dは、そんなアカツキを気にせずに話し始めた。


「ほんなら、俺らと一緒に旅しよか」


 突然の言葉に固まるアカツキ。


「え?」

「お前、一人なんやろ?」

「う、うん」

「別に予定無いんやろ?」

「う、うん…」

「ほんなら、一緒に行こかいや」


「いい……のか?」

「ええやろ、そんなん」

「え? マジっ!?」


「中学生かっ!? お前はぁ!?」


 その会話を聞いていたTrashが、我慢出来ずにアカツキにツッコむ。


「誰が中学生だとっ!? 俺は19だっ!!」


 威勢良く答えるアカツキの言葉に驚く二人。


 『年下やんけっ! お前っ!』





 先を歩く二人に対して、アカツキが気まずそうな顔で話し掛けてきた。


「なあ、本当に良いのか? 敬語じゃなくて?」


 それを聞いてDが振り返り、気の抜けたような返事をしてきた。


「なんて?」

「いや。だから、俺が敬語使わなくて良いのか?って聞いてんだよ」

「ええ、ええ、そんなん。 俺ら、そんなん気にせんから」

「ってか。逆に今更敬語使われても、気色悪いわ」


「そう……なのか……?」


「そうや」


 後ろを向きながら歩いていたTrashが、前を向いて立ち止まるDの背中にぶつかった。


「ってぇ……。D、何しとんねん?」


 Dの顔を見るTrash、そんなDの顔は何か嫌そうな顔をしていた。


「どないしてん?」

「この先、進むんか?」


 廊下の様な一直線の所を歩いてきていたのに、Dが変な事を聞いてくる。


「は? 当たり前やろ」

「何だ? Dがどうかしたのか?」


 不思議そうな顔でアカツキがTrashに言葉を掛けた。それに「さあ?」と答えるTrash。


「何か、この先行きたぁないわ……」

「どういう事やねん?」

「この洞窟に来てから、段々と感じんねんなぁ……」

「何がだよ?」

「それがやぁ……」


「D……? それって、いつものか?」


「そやねん。この世界に来てから、今まで無かってんけどなぁ?」

「何の事言ってんだ? お前ら?」


 アカツキの言葉にTrashが、意外と真剣に話し始めた。


「こいつ、変に霊感あんねん」

「はあ? 霊感って、あの霊感かよ?」

「そや。 ……で、D。それホンマになんこ?」

「うん」

「こんな所にも、幽霊なんか居んのこぉ?」

「居ないだろ。だって、ゲームなんだぜ?」

「俺も半信半疑なんやけど……。すげぇ行きたくないわ、何か怖いねん」


 それを聞いて、しばらく考えるTrash。


「ゆうても、この先進まなしゃあないしなぁ。D、今回は勘違いなんやないこ?」

「かなぁ?」

「そうだろ。ゲームに幽霊って、おかしいだろ」


 そして先を進み始める三人。しばらく歩いていくと三人は宮殿の広間の様な所に辿り着いた。辺りを見渡すと、そこには他の通路に繋がる入り口があった。入り口と言ってもドアは無く、ただ縦に長い四角い穴である。今来た道を振り返ると、そこも同じように四角い穴があった。


「今んとこ、何もないな」

「やっぱり、勘違いっだったんだって」

「そうなんかなぁ?」


 すると突然、先程来た道に繋がる穴に鉄格子が降りてきて塞がった。それを見て警戒し始めるTrash。


「何やっ!?」

「敵かっ!?」


 背中から盾を取り出し、剣を抜くアカツキ。


「なぁ? トラ?」

「なんやねん!?」

「段々、嫌な感じが強ぉなってきよるわ……」

「こんな時に幽霊なんか関係あるかいっ!!」

「そうだぞ、D。今はそれどころじゃないだろっ!!」


 呆然と立ち尽くすDを置いて、周りに気を配る二人。


「アカンっ!! 来るっ!!」


 Dの言葉とほぼ同時に、四角い穴からぞろぞろと現れてくるスケルトンの群れ。その中には兜を被り重厚な鎧を着た者や黒いローブを纏った者も何体か確認出来た。


「明らさまに強そうな奴が来たな……」

「他の連中と雰囲気ちゃうの……。 っ!! この事感じとったんか!? お前!!」

「ああ! そういう事か!!」

「そんな事言ってる場合じゃないぞ!! 一体、何体居やがるんだよ?……」


 そう言って、周りを見るアカツキ。そこには今まで見た事も無い程の、スケルトンの群れがあった。


「やるしかないのっ!!」


 背中から大剣を抜き取り、スケルトンの群れに向かって行くD。


「そうだなっ!!」


 それに続いて、アカツキも向かって行った。

 そんな二人を見るTrashは、ナックルダガーをクロスさせた。


「とりあえず、雑魚スケの方の数減らしといたろか。 ーーブリッツ・ロートッ!!」


 次々とブリッツ・ロートを放っていくTrash、それでもスケルトンの数がなかなか減っていかい。その奥ではDとアカツキが、新たに現れたスケルトンと戦っていた。


「こいつら、俺達よりレベルたけぇぞ!!」

「アカツキ、気ぃ付けろよ!!」

「盾役のファイターに何言ってるんだ!? 舐めてんじゃねぇぞっ!! 俺が引きつけるから、その間に攻撃していけっ!! ウォー・グリーフッ!!」


 アカツキが挑発のスキルを放つ、そして新たに現れたスケルトン達がアカツキに引き寄せられていく。そのスケルトン達にDが攻撃を仕掛けていく。


「かてぇな……」


 敵の強さを実感させられるD、そしてそのスケルトンのステータスの確認した。


「スケルトンナイトにスケルトンメイジって。こんな、まんまな名前のんに……」


 この世界に来て、初めて苦戦を実感し始めるD。


「Dぃ、どいとけっ!!」


 後ろから聞こえるTrashの言葉に反応し、その場から飛び退くD。そのすぐ後に、赤黒い光が走った。スケルトンナイトとスケルトンメイジにブリッツ・ロートが当たり、苦しむモンスター達。


「あの魔法、そんなに強いのか!?」


 スケルトンナイトとスケルトンメイジの近くに居るアカツキが驚きを隠せずに口を開けている。


「グッジョイ、トラっ!!  っしゃああ!! 今から一気にやったるぞ、アカツキっ!!」

「おうよっ!!」


 二人がスケルトンナイトとスケルトンメイジに向かって走っていく。すると突然、後方で物音がした。その音を聞いて振り返るDとアカツキの二人、そこには息を荒くし倒れ込むTrashの姿があった。目を瞑り、額には汗が滲んでいる。


「トラっ!? どないしたっ!?」

「トラっ!? 大丈夫かっ!?」


 Trashの元に駆け寄る二人、返事をしないTrashは意識が朦朧としていた。そしてある事に気付くD。


「お前っ、顔中に……」

「D、これはどういう意味なんだ?」


 苦しむTrashの顔には黄色い筋が至る所に走っていた。そしてTrashの額に手をやると、熱が酷く高くなっている事が分かった。


「おい、D!! こいつ、かなりHPが減ってるぞ!!」


 アカツキに言われ、Trashのステータスを確認するD。アカツキの言うようにTrashのHPは、もう残り二桁の状態になっていた。


「なんでや……、どうなっとんねや……?」

「おい、D……。ガイコツの奴らが……」


 顔を上げ辺りを見渡すと。不気味に感じてしまうほど遅く、二人に迫ってくるスケルトンナイトとスケルトンメイジ達が見えた。


「くそ……」






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