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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
42/76

Episode 042【一人の男と砂漠の宮殿イシュバーンと】

 一夜明け、砂漠の宮殿イシュバーンに向かう準備を済ましたTrashとDの二人はセトルの元へと向かっていた。


「なあ、トラ?」

「どした?」

「俺等って、クエスト受けたんやんな?」

「せや」

「その割には、いつもみたいにクエスト発生の画面出てこうへんかったやん?」

「まだクエ発生すんのに、条件が整ってへんのやないこ? せやから、もっかいセトルさんのトコに行きよんねやんけ」

「それでやったんか。ただ洞窟に行く前に、挨拶しに行くだけやと思っとったわ」

「お前、アホか」

「うるさいのぉ」


 そうこうしている内にセトルの家に辿り着いた二人、すると家からセトルが出てきた。家から出てきたセトルは、二人を見付けるなり走り寄ってきた。


「ちょうど良かったです。お二人が砂漠の宮殿イシュバーンに向かう前に、これを渡しておきたくて」


 そう言ってセトルが取り出したのは一つのランプであった。そして、それをTrashに渡すセトル。


「松明やったら、昨日一応買うたけど」


 それを見てセトルに話すD。そんなDにセトルがランプを渡した訳を話し出した。


「これは明かりを灯す為のランプではありません」

「はい? そやなかったら何に使うん?」


 二人の話を聞いて、ランプに目をやるTrash。その目は何かを悟っているようであった。


「D、お前相変わらずアホやの」

「何で?」

「このランプは大方、あの世からこの世に帰る為の道を灯すランプなんやろ」

「どういうこっちゃ? それ?」

「お前なぁ、昨日のセトルさんの話覚えとらんのこ!?」

「昨日の話? 王さんのお帰りやろ?」

「はぁ……」


 頭に手をやるTrash、それを見かねてセトルがDにランプの事を話し始める。


「私達の言い伝えに、砂漠の宮殿イシュバーンが黄泉の世界に繋がっているという話は昨日しましたよね」

「ああ、せやった」

「その言い伝えによると、そこは迷路の様になっており下手をすれば黄泉の世界から帰ってこれなくなります」

「帰ってこれへんだら、何かあんの?」

「お前なぁ、この辺で大体は察しろや!!」

「まあまあ、Trashさん。 黄泉の世界から戻ってこれなくなると、その世界に魂を縛られ。そのまま死んでしまうんです」


 セトルの話の全てを聞いて、ようやくランプを渡してもらった訳を知るDがポンっと手を叩いた。


「なるほど」

「 ”なるほど” ちゃうわ!! でも、こんなもんがあるっちゅう事は、黄泉の世界に繋がっとるって話はほんとくさいな」

「でも本当に、これを渡す事が出来て良かったです」


 二人にランプを渡せて安心するセトル。そんなセトルに別れを告げ、洞窟へと歩き出した二人の前にクエスト発生のウィンドウ画面が現れてきた。


「きたきたきたぁ!!」


 それを見て、はしゃぐD。それを横目に呆れたように見るTrash。


「お前、クエストしたぁて堪らんかったんやろ?」

「だって前にクエストしたんて、ここに来る前の街以来やん」

「まあ、ええけど」


 そして画面に目をやる二人、そこに書かれていたクエスト名は〈砂漠の宮殿イシュバーンの異変〉であった。それを確認した二人が固まる。


「……」

「……」



「……ほんなら、洞窟に行こか。トラ」


 先程の文字を見て見ぬ振りをして、洞窟へ向かおうとするD。


「待て待て待て。こんなんどう考えても、何かあるって言うとるもんやろ!? ネタバレしとるやろ、これ」

「いや、そう思わしとるだけかもやで。いや、そうに違いないで。Trashくん!!」

「何が ”Trashくん” じゃ!! 変な標準語使うな、キモいわっ!!」

「えぇ……」


 残念そうな目でTrashを見るD、そして当たり前の事をTrashに聞き始めた。


「セトルさんトコ、戻るん? 洞窟行かんの?」

「当たり前やろっ!!」


 そして来た道を引き返すTrash、そんなTrashの後を肩を落としながら付いて行くD。しばらく歩いていると、必死な顔をした男性が走って二人を追い越して行った。


「えらい顔しとったな」

「はぁ……」

「お前、いつまで落ち込んどんのや!?」

「だってやぁ……」


 DがTrashにどやされながらセトルの家に着くと、そこには先程の男性がセトルに話をしていた。


「長老、大変です!! 先程、砂漠の宮殿に男が一人向かうのを村人が見たらしいんです!!」

「本当か、それは!? 我々の一族が、そこに行くはずもない!! その男と今回の一件と何か関係があるに違いない!!」


 そんなセトルの元にTrashとDがと言うよりも、主にTrashが砂漠の宮殿イシュバーンに異変が起こっている事を告げに来た。


「セトルさん、洞窟の事やけど。 ……ってか、何かあったん?」

「Trashさんっ!? 良かった、先程砂漠の宮殿に一人の男が向かうのを村人が見たらしいんです!!」

「それ、ほんまなんっ!?」

「はいっ!!」


 そこに遅れてDが来て、話に加わった。


「どないしたん? トラ?」

「砂漠の宮殿に男が向かったらしいねん!!」

「それが、何でそこまで大変そうな事なん?」

「お前、アホかっ!? ここの人等は言い伝えの事があって、そこには近づかへんって言うとったやろっ!!」


 それまで死んだ魚の様な目をしていたDが、それを聞いて息を吹き返した。


「それってやっ!?」

「ああ!! そいつが、今回の件と何かしら関わっとるんやろ!!」

「ふんならっ!?」

「行って、確かめっぞっ!!」

「了解っ!!」


 そして、また来た道を引き返し。砂漠の宮殿イシュバーンへと向かい走り出すTrashとDの二人。


「Dぃ! お前、大変な事になるんかもしれへんねんからのっ!! クエスト行けるって、はしゃいどる場合ちゃうからのっ!!」

「すまん……」

「分かったら、ええわい。ほんなら、気ぃ取り直して行くぞっ!!」

「おう!!」






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