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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
38/76

Episode 038【夢と希望と】

 風が木々の中を走り去り、枝々を揺らしている。その風の勢いは凄まじく、誰にも捕まえる事が出来なかった。

 あの街を出発して、いったい幾日の時が過ぎたのだろうか。男は一瞬、そう思ったが。同時に、今そんな事を考えている場合では無い事も頭を過ぎった。


「あいつ、何処に行ってん?」


 TrashとDは街を出発し、一路西を目指しながら旅を進めていたが。旅の途中で立ち寄った村で事件に遭っていた。そしてTrashは今、山の中を疾走していた。


「しつこいの、あいつら」


 そう言って、後方に目をやるTrash。そこには男達の姿が見える、そして男達の手には剣や斧などがあるのも見えた。


「まさか、こんな所であんな奴等に出くわすとはな」


 そしてTrashは腰に提げていたロープの手に取り、前方にある木の枝に向けてロープの先端を放った。そのロープの先端には鉤爪のような物が付いており、Trashに放たれたロープは枝に引っかかった。Trashは走ってきた勢いそのままに、手にするロープに身を任せ遥か前方へと進んでいく。その後ろからは、男達の怒号が聞こえた。


「とりあえず、あのアホを探さんとな」



ーー


 その男は、暗い洞窟の中を進んでいた。男の手には松明があり、男に僅かな光を与えていた。


「村の人等の話やと、この先を行った所やったな」


 男は何かを確信するように、歩を進めていた。しかし男が進む先の方からは、異様な気配が漂っていた。


「ったく! こんな時に、トラの奴は何処に行ったんや?」


 そう思いながらも、Dの進む速度は変わらなかった。



ーー


「くそっ!」


 辺りを見回すTrash。その周りには、先程の男達の姿があった。


「もう逃げられねぇぜ」


 男達の一人がTrashに話しかけてきた。


「お前等もええ加減、しつこいのぉ……。そんなに俺等にやられたんが、気に食わんのこ? お前等のボスは?」

「さあな。俺達はただ、生け捕りにしてこいと言われているだけだ」


 そして男達が一斉にTrashに襲いかかってきた。Trashはロープを近くにあった木に放ち、その攻撃を躱す。そして木々の中へと姿を隠して行った。


「くそっ! またか!?」

「何処に隠れやがった!?」


 Trashの姿を見失い、男達が叫ぶ。


「気を付けろ! 奴はこれで、今までの追っ手達を倒してきたんだ」


 一人の男の言葉で、他の男達の顔色が変わった。そして先程よりも警戒し、辺りを見回す。僅かに木の葉が揺れたような気がして、そちらに一人の男が目をやった瞬間。全く別の場所からTrashが上空から現れ、男に襲いかかる。呻き声とともに倒れる男。その音に気付き、他の男達がそちらに振り向くが。すでにTrashの姿は、そこには無かった。


「奴は、何処に行った!?」

「気を付けろっ! すぐに、また来るぞ!」

「くそっ!! これが疾風の虎と言われる由縁か……」



「俺はTigerやなくて、Trashじゃあ!! ボケェ!!」


 声とともに、再び男達の前に姿を現すTrash。そして一瞬にして男達を倒していった。

 気絶し倒れている男達を見渡すTrash。


「ここんとこ、黒の盗賊団の追っ手が頻繁に姿を見せるようになってきよったな。……ったく! こんな時に、ほんまにあいつは何処ほつき歩いとんねん?」



ーー


 洞窟の中を進んでいたDは、目的の場所に辿り着いていた。そこは今までよりも辺りが開けた所であり。何処から差し込んでいるのかは分からなかったが、明かりが照らされていた。そして洞窟を進んでいた時から感じていた異様な気配が更に強く感じられた。


「……また愚かにも、我を倒そうと挑む人間が現れたか」


 突如聞こえた声の方を向くD、すると今まで壁だと思っていたモノが動き出した。そして、それは影の中から徐々に姿を現していく。


「でけぇ……」


 それを見上げ、嬉しそうに笑うD。そこにはDの体を優に越す、大きなドラゴンの姿があった。


「愚かなる人間よ。何の為に我に挑む? 平穏か? 名声か? それとも富か?」

「何言うとんねん!? 俺はお前みたいな、うわ!! めっちゃデカっ!! むっちゃ強っ!! っていう、いかにもなんと暴れまくりたいだけやっ!!」


「……、愚かな……」

「それは、もう聞いたわ!! ぐだぐだ言うとらんと、やるぞ!! ドラゴン!!」



「全くもって、愚かな……」

「やから、聞いたって言うとんやんっ!!」

「聞けよっ!! とにかく!! 小さい時に、人の話はちゃんと聞かなあかんって言われんかったんか!?」



「……ほんなら、何やねん?」

「本当にこいつは……。愚かなる人間よ……、もう、ええわっ!! 今更言うても威厳もクソもないわ!!」

「ええんかいっ!! ほんなら、いくで!! ドラゴン!!」

「禍々しくも猛々しい、ドラゴン!! ヴリトラとは我の事だ!!」


 背中から大剣を取り出し、構えるD。そのDに対しヴリトラが突進してきた。


「我と戦い、永久の眠りにつくがいい!! 人間よ!!」



ーー


 黒の盗賊団の追っ手達を倒し村に戻ってきたTrashは、TrashとDが泊まっている宿屋に来ていた。


「おい、D」


 部屋のドアを開けるTrash、そこにDの姿は無かった。


「ったく、ほんまに。何処行っとんねん?」


 そしてベッドに横になるTrash。山の中で散々走り回っていた所為か、うとうとしだしたTrash。そして、すぐに眠りにつき始めた。



ーー


 しばらくしてから、目を覚ますTrash。すると、そこは先程まで居た宿屋とは何か様子が違っていた。見た所、宿屋ではありそうだったが、さっきまでとは細かな部分で所々違っていた。




「……」



「って、夢かいっ!!」




 その隣のベッドで寝ているDが叫ぶ。


「喰らいやがれぇ!! ファイナルウルトラデラックス無双乱舞ブレイドアタァアアック!!」




「……どんな夢見とんねん、こいつ」






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