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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
30/76

Episode 030【旅の支度とオッサンと】

 〈アンダー・アイス〉の街に来てから、様々な事があったTrash達。

旅の準備を始めてから一日が経った彼等は、久々の平穏な日々を過ごしていった。


「おい、トラ。これ、どうや?」


そう言ってDは、手にしている武器をTrashに見せてきた。

Dが見せてきた武器を見るTrash。

そして "またか…。" と呆れたような顔をした。


「お前な、それ買うたら。他に買うもんが買えへんくなるやろがい。ええ加減、覚えろよ。」


Trashに言われて、手にしている武器のタグを見るD。


「高っ!? あかんなぁ。これや!って思ったやつは、ことごとく高いやつばっかやんけぇ…。」



Trash達は旅の出発に向け。

今〈アンダー・アイス〉の商業地区にある武器屋の一つに来ていた。


「道中、どんなモンスターが出てくるか分からへんから。今持っとるもんとあんま大差無いもんもやめとけよ。」


嘆くDに対して、棚に並んである武器を物色しながらTrashが声を掛けた。


「はぁ…。昨日は昨日で大変やったのに、今日もかぁ…。」


Trashの言葉に更に嘆くD。


「昨日はDが余計な物ばかり買おうとするから、大変だっただけじゃん。」


武器屋の店主に、会計を済ましてきたフェルが話し掛けてきた。


「えっ!? フェル、もう買うたん!?」

「Dが遅過ぎるんだよ。」


「ってか、他にも回るとこあるから。早よせぇよ。」


そう言って、武器を手にし店主の方へとTrashが向かって行った。


「トラも、もう決まったんこ!?」


Trashを見て、Dは急いで武器を物色し始めた。



「はぁ…。何か、すげぇ疲れるわぁ…。」


武器屋から出てきたDが呟く。


「自業自得じゃん。明日には出発するんだから、今日中に全て買わなくちゃいけないんだからな。この、アホD。」

「さっきのとアホと、関係ないやろ!」

「…いや、あるだろ。」


Dとフェルの話しを聞きながら、マップを見るTrash。


「あと防具屋で防具買うんと酒場で食料品買うだけやから、安心せい。」

「あれ? トラ達は地図買わないの?」

「ほんまや! おい、地図はええのんか、トラ?」


防具屋の場所を確認しマップを閉じるTrashが、二人に答えた。


「ヴァンの話やったら。俺らが向かう研究所って、かなり遠い所にあるみたいやねん。やから、ある程度の金も残しとこうと思てな。」

「そうなんだ。」

「そうなんこ。」

「おい、アホD。何、他人事のように言ってるんだ? お前もトラと一緒に行くんだぞ。ちゃんと分かってるのか?」

「それくらい、わぁっとら!!」



そして防具屋に向かい歩き出す、Trash達。

街を歩いていると、ある事に気付きだした。


「何か、若干プレイヤーの人達の数が減ってない?」

「なんでなんやろな?」

「大方、クエストしたりしとんのとちゃうか?」

「あ、そっか! 昨日、ベルベル達からクエストの事聞いてたんだった。」

「フェル。いつからベルキンさんの事、ベルベルって言い出したんや?」

「昨日からだよ。」

「…そか。」

「ベルキンさん達の話やと、ギルドホールと酒場、宿屋でクエストの受注が出来るみたいやからな。」

「でも、まさかギルドホール自体がギルドだったなんて。思ってもなかったよね。」

「元々はモンスタースレイヤー達の為のギルド "スレイヤー・オブ・ギルド" って話やったっけ?」

「うお! お前、ちゃんと覚えとったんか? ってか、話理解出来とったんやな?」

「お前ら、俺をどこまでアホやと思っとんねん!? 俺はそこまでアホやないぞ!!」

「せやな。お前は天然やもんな?」

「天然ちゃうわい!! 百歩譲って、変なだけや!!」

「D変態だもんな?」

「 "態" はないわい!! ってか。何、さり気に "ド" を "D" に変えとんねん!!」


「でも、よう考えたもんやな。ギルドホールが各地の酒場や宿屋と提携して、クエストの募集と発注を頼んどるなんて。」

「中にはギルドホールが置かれていない街や村もあるもんね。」

「お前ら…、俺の話無視かい…。」

「俺らのようなプレイヤーは、至る所に旅に出よるやろし。街や村に着いたら宿取るために宿屋行くか、飯食う為に酒場に行くかのどっちかやからな。」

「ま。僕達は誰かさんの所為で、初クエストを体験させられたけどねぇ。」


そう言って、Dの方を見るフェル。


「申し訳ないとしか言えへんわ。」


それに対して、Dはすまなさそうに答えていた。



「おっしゃ! 着いたぞ、お前ら。」


防具屋に着き、TrashはDとフェルに声を掛けた。

その防具屋には〈ヴォルケファーデン〉と書かれていた。


「ここも、ヴァンに教えてもうた店なんか?」

「そうや。ええもんがあって、比較的格安で買えるトコらしいわ。」

「こんな世界なのに、同じ物で値段が違ったりする所は現実世界と一緒だね。」

「それにしても…。」


〈ヴォルケファーデン〉が在る辺りを見るD。


「よう、こんな見付かり難い所で店なんかしとんな?」

「ほんとだよね。僕達はヴァンに教えてもらったから分かったけど、他のプレイヤー達なんか気付かないんじゃない?」


Dの言う通り〈ヴォルケファーデン〉が建っている場所は、街の通りから外れた狭い路地に入っていった所に存在していた。


「トラ、ホンマにここで合うとんのこ?」


Dに聞かれて、ヴァンフリートから貰ったメモを鞄から取り出すTrash。


「ここで間違いないぞ。」

「そないか。うんなら、行こかい。」


そして店の中へと入っていく三人。

中に入ると、店内の様子は至って普通であった。


「なんや、普通にちゃんとした店やんけ。」


店内を見渡すD。


「本当に何で、こんな所にお店出したんだろね。」


Dとフェルが話していると店の奥から店主が出てきた。



「お前達、モンスタースレイヤーだな?」


店主は出てくるなり、早々にTrash達に声を掛けた。


「せや。」


Trashの返事を聞いて、店主は腕を組んで何やらブツブツと独り言を言い始めた。

それを不思議そうに眺める三人、すると微かに店主の独り言が聞こえてきた。


「…どうして、ここがバレちまったのかなぁ? でも、客だしなぁ。仕方ねぇ。」



「おい、トラ。今あのオッサン、仕方ねぇっつっとったぞ。」

「うん。僕も聞こえた。」

「何かややこしそうな所をヴァンに教えられてもうたな、俺ら。」


店主の言葉について話している三人に、店主が話しかけてきた。


「お前達、ここはモンスタースレイヤー相手に商売してる所じゃねぇんだよ。はっきり言って、俺は在庫少ない商品をお前達に売りたくはねぇ!!」

「客に対して、どえらい事言うな。オッチャン。」


店主の言葉にビックリしつつも笑ってしまうD。


「僕達に売らなくて、一体誰に売るって言うのさ?」


Dとは違い、店主に噛み付くフェル。


「街の奴等にだよ。その為に利益がギリギリでも安く売ってるんだ。」

「ほんなら、オッサンは俺らに防具を売ってくれへんのか?」


Trashの言葉を聞いて、店主はDを指差して話し出した。


「確かに、そこの兄ちゃんが言った通り。この店に来た以上、モンスタスレイヤーであろうとお前達は客だ。」

「それなら、売ってくれても良いじゃん。」

「悪いな。坊主、俺はモンスタースレイヤーには売りたくないんだよ。」


店主の言葉に対してフェルが、また噛み付いた。


「僕は女だ!!」

「何!? そうなのか? それは悪かった。」


フェルに謝る店主にTrashが声を掛けた。


「ほんなら、どうせえっちゅうねん?」


Trashの言葉を聞いて、店主がニヤリとした。

そしてポケットから、何かを取り出して三人に見せてきた。


「ここは、これで勝負といこうじゃないか!」


店主の手の平にある物を覗く三人。


『サイコロ?』






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