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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
28/76

Episode 028【戦いの後と残った疑問と】

 そこには沢山のモンスターが倒れていた。

どうやら、そのモンスターの全てが生きてはいない様だった。

そのモンスター群の山の上に、一人の女性が立っていた。

その女性は遠くを見つめながら悩んでいた。


「う〜ん…。」


そこに一人の男性が近づいてきた。


「イヴさん、どうかしたの?」


男性が女性に声を掛けた。


「ハンターさん、どうしよ? もうここのモンスター達、相手にしても楽しくなくなっちゃったよ。」


女性の言葉に、男性が答えた。


「イヴさんにかかったら、何処に行ってもそうなるよ。」

「う〜ん…。何か他に楽しめる事ないかなぁ?」


女性の問いに男性が話し出した。


「そういえば、イヴさん知ってる?」

「うん? 何が?」

「ワンダー・クロニクル、やっと発売されたらしいよ。」

「え!? 本当に?」

「うん。さっきカピからメール着たから、間違いないよ。」

「カピたん、こっちに来たの?」

「うん。」

「それじゃあ。新人さん、わんさかだね。」

「どうする? イヴさん?」

「とりあえず、カピたんの所に行こうよ。それで鍛えてあげなきゃだよ。」

「あいつの面倒見るのは気が引けるけど、イヴさんがそう言うなら仕方ないか。」

「それで、カピたんは今何処に居るの?」

「グアダルに飛ばされてるみたいだよ。」

「あの要塞都市ね。」

「うん。怖くて街の外には出てないんだって。」

「なるほど。それじゃあ、早くカピたんの所に行かなくちゃだね!!」


嬉しそうにはしゃぎ、歩き出す女性。

それに先程の男性が付いていく。



ーー


僕達はネルソンの最期を見とってから、アリシアさん達を救い出した。

どうやら、アリシアさんに付けられたブレスレットはネルソンが死んだ直後に粉々になって壊れたらしい。

アリシアさん達はDにお礼の言葉を掛けてから、自分達の村があった所に帰って行った。

アリシアさん達が居た村は黒の盗賊団に壊滅されたらしいけど、新たに再建するみたい。

あとDに発生していたクエスト〈ルーンダイヤの真実〉は完了されたんだって。

ここに王都梯団が迫っていることもあり、僕達は気を失ったヴァンフリートを連れ一路街に戻る事にした。



「…う。」


〈セブンハウス〉のベッドの上で目を覚ます、ヴァンフリート。

その側にDが椅子に腰掛けていた。


「気ぃついたか、ヴァン?」


Dの言葉に返事をするヴァンフリート。

そしてDに声を掛けた。


「ここは?」

「俺らが泊まっとる宿屋や。」


Dの言葉に「そうか。」と答え、俯くヴァンフリート。

そして話し辛そうにDに話し出した。


「お前、俺が何で盗賊団を探すのに手伝ったか分かってるんだろ…?」


ヴァンフリートの問いにDが答えた。


「え? 何かあったっけ?」


Dの反応はヴァンフリートの予想とは違っていた。


「いや、俺はお前を…。」


ヴァンフリートの言葉を遮り、Dが話し出した。


「傷の方は魔法で回復しとるけど。とりあえず熱があるみたいやから、もう少し休んどけ。」


そう言って、Dは部屋から出て行った。

部屋から出たDは、そのまま食堂の方へと向かって行った。

食堂に行くと、そこにはTrashとフェル。そしてベルキンとゲッツと椿の姿があった。

そしてTrash達が居るテーブルにDが席をついたのを見て、Trashが話し出した。


「皆揃ったみたいやな。」


Trashの言葉にフェルが声を掛けた。


「それで盗賊団のアジトでトラが言ってた事って、一体どういう事なの?」


フェルの疑問はゲッツや他の皆も気になっていた事であった。

ベルキンはその内容を知っているようであったが、隣に座っている椿は知っていないようであり。

「何? ベルキン、何の話?」とベルキンに声を掛けていた。


「アホとヴァンを探しとった時に偶然に得た情報なんやけど、俺らプレイヤー…。いや、モンスタースレイヤーって言うた方がええな。詳しい理由は俺も知らんけど、モンスタースレイヤーはこの世界の住人たちの何人かには良う思われとらんみたいや。」


Trashの言葉に驚くゲッツ、そして思わず声に出した。


「どういう事だよ? 少なくとも俺が相手にしたNPCは、そんな素振り見せなかったぜ。」


ゲッツの言葉にTrashが言葉少なく返事した。


「ゲッツが話したNPCって、どんだけ居んねん?」


Trashの言葉に、声を詰まらせるゲッツ。

そのゲッツにTrashが更に声を掛けた。


「いうて、そんなに居らんやろ? それにギルドホールとか道具屋の人とか。比較的、俺らと良く関わる人間ばっかやろ?」


Trashの言葉にゲッツが答えた。


「…そうだな。」


そこに椿が話しに割って入った。


「何々? 一体何の話してるのよ?」


椿の反応だけではなく、そこに居るメンバーの反応に対してTrashが話し出した。


「さっきも言うたけど。俺も詳しくは分かってへんけど。俺らの事を良う思ってへんのは、全員って訳やない。でも、そう思っとる住人も居るって話や。」

「それって、一体何でなの?」



「…大戦争。イディアの大戦争の事だな?」


フェルの問いに、そこに現れたヴァンフリートが答えた。


「ヴァン!? 熱は大丈夫なんか?」


ヴァンフリートにDが声を掛ける。


「大丈夫だ。それに、これは仮初めの魔術師を使った時に起こる副作用だからな。」

「仮初めの魔術師? また訳の分からない話が出てきちゃったよ。」


頭を抱えながら、椿が声に出す。



ヴァンフリートが席に着いたのを見て、Trashがヴァンフリートに声を掛けた。


「その大戦争って、一体何なんや? 俺らの事を良う思ってへん連中が皆、"あの大戦争の事を忘れた訳じゃない" って言うとったんや。」


Trashの言葉にヴァンフリートが話し出した。


「20年ほど前に起きた戦争の事だ。その戦争には幾つもの国が参戦した事により戦火は拡大していったんだ。またイディア王国の後継者争いが事の発端である為に、イディアの大戦争と呼ばれるようになっていった戦争の事だ。」

「その戦争と俺達と、一体何の関係があるって言うんだよ?」


ヴァンフリートにゲッツが詰め寄る。


「その戦争にモンスタースレイヤーが深く関わっていたっていうのが、もっぱらの噂なのさ。」

「何それ? そんなの公式サイトに書いてなかった設定じゃない。」


ヴァンフリートの言葉に椿が反応した。


「仮にそうだとしても、それはゲームの中の世界観を表現する為で。俺達が直接悪いって訳じゃないだろ?」


ゲッツが続けて話した。


「お前達、一体何の話しをしているんだ?」


二人の反応にヴァンフリートが声を掛ける。

そしてヴァンフリートの話しを聞いてから、考え事をしていたTrashが声を出した。


「…やっぱり、そういう事なんやろな。…ってか、そう考えた方が辻褄が合うやろ。」

「トラ? 何言ってんの?」


Trashの呟きにフェルが声を掛けた。


「オンラインゲームってや、正式にサービス開始する前にテストするんやろ?」

「βテストの事か? それとこれと何か関係あるのか?」

「このゲームも、それしたはずやろ?」


Trashの言葉にフェルが思い出したように答えた。


「そう言えば、このゲーム。発売開始されるだいぶ前に一回だけテストユーザーの募集掛けてたよね、普通なら何ヶ月前とかなのに。」


フェルの言葉に椿が答える。


「そうだった。3年も前にテストユーザーの募集掛けてたっけ。それなのにいつまで経っても発売未定のままだったから、ネットでそれなりに話題になってたよね。」


それを聞いてからTrashが答える。


「俺もゲームの設定やと思っとたから、最初は気にせんかったけど。ここに居る住人の話しに出てくるモンスタースレイヤーが設定やなくて、実際のプレイヤーの事やったらどうする?」


Trashの話を聞いて驚く一同。

その言葉にベルキンが返事した。


「私も、Trashさんからその話を聞いた時はビックリしましたが。実際に街の住人が王都梯団の兵士達に盗賊団の居場所と、それに私達が関与している事を告げるのを見て確信しました。」


ベルキンの話を聞いて、フェルが答える。


「でも3年も前に募集されたテストユーザー達と20年も前に起きた戦争とじゃ、だいぶ時間差あるじゃん。」

「ゲームの中の時間って、実際よか早えぇやろ?」

「あ、そっか。今は実時間みたいに感じてるけど、ゲームの中の時間って実際の時間より早く過ぎてたね。」

「…って事は?」

「そういう事やろな? それにゲッツもネルソンって野郎の話聞いて、不思議に思っとったやろ?」

「確かに。あの魔法使い "Lv5以下のモンスタースレイヤー" って言ってたからな。まるで、それ以上のモンスタースレイヤーと出会った事があるみたいに。」

「設定として出てくるなら、実際のレベルやなしに。"偉大なモンスタースレイヤー" とかって表現でええはずやろ?」

「それじゃあ。テストユーザーの人達も、この世界に居るって事なの? でも、それっておかしくない? それなら普通、ゲームの発売なんかしないでしょ? 想定外の事が起きちゃってるんだから。」

「この事態も含めて、運営側の想定内の事やったら?」


Trashの言葉に、また驚く一同。


「何それ!?」

「これが仕組まれた事だってのか!?」


その言葉にTrashが返す。


「俺にもよう分からん、ただそう考えた方が話がすんなりいくってだけや。」


Trashの話を聞いて、溜息を吐くフェル。


「はぁ〜…。何か色々知れば知るほど、謎が深まるばっかだね。」

「うんまにな。…ってか。」


Dを横目にTrashが声を掛けた。


「お前、どこまで話付いてこれとる?」


Trashの言葉に自信ありげに答えるD。


「もう出だしで躓いとるぞ!!」

「やっぱりの…。」


それを見ていたヴァンフリートがTrashに声を掛けた。


「俺もお前達が何の話をしているのか、さっぱりだ。」

「せやな。悪りぃ、悪りぃ。」


そしてヴァンフリートは〈セブンハウス〉から出て行った。

それを見てからベルキンがTrashに話し掛ける。


「それで、私達はこの先どうしたら良いんでしょうか?」

「今まで通りで、ええんちゃうかな? 分からん事ばっかやから、このゲーム進めながら情報集めするしかしゃあないと思う。ただゲームの世界に来てしもとるってか、どっか別の世界に来てしもたって思った方がええやろな。」

「…ですね。」


Trashの話が終わって、ギルドに帰っていくベルキン達。

そして食堂に残ったTrashとDとフェル。


「フェーは、フレさん探しに行くんやろ?」


フェルにTrashが話し掛ける。


「え? フェルのフレさんの居場所分かったん?」


Trashの言葉に驚くD。


「だいぶ前に分かっとるわ!! ってか、お前のせいでフェルの出発が遅れとんねん!!」

「え!? そうなん!? ごめんな、フェル。」

「気にしなくて良いよ。」

「それやったら、俺らもそれに手伝わんとな。」

「いや、D。俺もそうしたいんやけど、俺らはノボリト研究所って所に向かう。その事はフェルにも、もう伝えた。」

「なんでや? フェル手伝うんより大事な事やって言うんか?」


Dの質問にヴァンフリートから聞いた話をするTrash。

その話を聞いてからフェルがDに話し出した。


「そういう事だから、D達はそっちに向かってよ。今は色んな情報が欲しいからね。僕もフレに会うまでの道中に何か分かったら連絡するから。」

「フェルがそう言うんなら、そうするか。」

「それで、フェーはいつ出発するんや?」

「う〜ん…。明日にでも出発したいんだけど。道中、何があるか分からないしね。色々と準備しようと思ってるんだ。だから、あと2、3日はここに居るよ。」

「せやったら、俺らと出発する日は同じ感じやな。」

「トラ達もそれくらいに街出るの?」

「その予定や。」

「そうなんこ?」

「そやから。お前も色々準備せぇよ、D。」

「了解、了解。」

「それじゃあ、同じ日に出発しようか。」

「せやな。行き先はちゃうけど、そうしよか。」

「やったら、3日後に出発って事でええな。」


そして食堂から出て行く三人。

その時、Dが思い出したように二人に話し掛けた。


「せやせや。これ、トラとフェルに渡そう思てたんや。」


そう言って、鞄から懐中時計を取り出すD。


「時計? それどないしてん?」

「この世界に時計があるって分かってから、道具屋で買うてん。ほれ、トラとフェルの分。」


Trashとフェルに一つずつ時計を渡すD。

その時計にはそれぞれ模様が描いてあった。


「何? この模様? Fって文字に狐の尻尾みたいなの描いてあるけど。」

「フェルって何か、狐っぽいやろ? やから。」

「フェルは狐じゃなくて獣だよ!!」

「え!? そうなん? まぁ、ええやん。」


それを見ていたTrashがDに話し掛けた。


「それで虎の顔みたいなシルエットにTって文字があるんか?」

「せや。トラのキャラ名って、タイガーやったやろ?」

「タイガーちゃうわい!! Trashじゃ、アホウ!!」

「あれ? せやったっけ? まぁ、ええやん。」


「ほんとに、Dってバカだよね…。」


そう言って部屋に戻っていくフェル。


「フェーの言う通りやな。」


そしてTrashは宿屋から出て行こうとしていた。


「トラ? 何処に行くんや?」

「ちょっと、ヴァンの所に行ってくる。お前の事やから、大して何も聞いてへんねやろ?」

「そやけど…。熱あるみたいやから、ほどほどにしとけよ。」

「気にせんでも、責めに行くんやないから安心せい。」

「そうか。」


そしてTrashは〈セブンハウス〉から出て行った。






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