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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
26/76

Episode 026【怒りと慍りと】

 矢筒から矢を取るフェルの手には小雨が降り注いでいた。

幾度となく攻撃を仕掛けるも、その事ごとくをネルソンに躱されていた。


「普通 魔法使いって、MP高くて魔法特化ってだけじゃないのっ!?」


撃つ矢を全て躱されるフェルが痺れをきらして、誰となしに声をかけた。


「HPや物理攻撃は他に比べたら劣るけど、取り立ててスピードが遅いって訳じゃないぞ。」


ネルソンから距離をとりながら、様子を窺っているゲッツがフェルに答えた。


「それにしても、どんだけの回避性能なんだよ!! あいつ!!」


ネルソンに矢を放ちながら、その会話を聞いていたTrash。


(にしても、これやったら埒があかんな。折角の作戦も実行出来ひんやんけ。)



そんな時、Trashにベルキンからのボイス・チャットが掛ってきた。

ボイス・チャットに出るTrash。


『Trashさん、Trashさんの言ってた通りになりました。』

「やっぱ、そうなってもたか。うんじゃ、話とった通り。ベルキンさん、頼んます。」

『分かりました。そっちの方はどうですか?』

「予想外に苦戦してる。」

『そうですか。それじゃあ、こっちは頑張れるだけ頑張りますね。』

「ごめんな、ベルキンさん。」

『いえいえ、良いですよ。それじゃあ、またアンダー・アイスで。』

「オッケー、ベルキンさん。」


ベルキンとの会話を終え、ボイス・チャットを切るTrash。

そして次にTrashはパーティー・チャットを開いた。


「今ベルキンさんから連絡あって、こっちに王都梯団の兵士達が来よるみたいやわ。」


Trashの声に反応する三人。


「それじゃあ。ここに兵士達が来たら、今よりマシになるね。」


Trashの言葉にいち早く答えるフェル。

それにゲッツが答える。


「そうだな。」


二人の言葉に少し間を置いて、Trashが答えた。


「それは無いな。」


何の理由も言わず、断言するTrashの言葉に疑問を感じたフェルとゲッツ。


「何で? 盗賊達を捕まえに来ようとしているんじゃないの?」

「Trash、どういう事だ?」


二人の反応を予想していたかのように、その質問に素早く答えるTrash。


「王都梯団の奴等は盗賊どもと俺らを捕まえに来ようとしとるんや。」

「何でだよ?」

「それは本当の事なのか?」

「ホンマや。詳しい事は街に戻ってから説明するわ。 そういう事やから。D 早よ、そいつをどうにかせぇ。」


三人の話を聞き流しながら、ネルソンに攻撃を繰り返していたD。


「分かっとる。」


いつもに比べて、素っ気ない反応に少し驚くフェル。


「D、イライラしてる?」


それにTrashが代わりに答えた。


「イラついとるってか、ちょっと怒っとる。」

「あの魔法使いの奴にか?」


Trashの言葉にゲッツが反応した。


「そ。ほんまに短気なやっちゃで。」

「Dが短気!?」


思わず声に出して驚くフェル。


「あれでも、小さい時は結構な短気な奴やってん。」


Dをからかうようにフェルに答えるTrash。


「うっさい。」


Trashの意図を感じたDが答えた。


(Dが怒ると、こんな感じになるんだ。)


Dの言葉に、そう思ったフェル。


「そんで、なんやねん?」


ぶっきら棒にDが話す。


「お前、ソードスラッシュ あといくつ撃てる?」

「2回やな。」

「アクェンやったら、何回や?」

「1回。」

「オッケー。 ゲッツ、Dになんかあったら速攻で回復お願い。」

「おい。Trash、何しようってんだ?」

「時間あらへんから。若干強行やけど、例のやつやる。」

「この状況でか!? うまくいくのか?」

「トラが考えてるんだから、きっと何とかなるよ。ゲッツ。」

「分かったよ。」

「サンキュー。 ほんなら、Dは魔法使いに近づけるだけ近づいて攻撃続けろ。ほんで強引でもええから、奴の杖目掛けてソードスラッシュ放て。フェルとゲッツは俺の合図に合わせて動いてくれ。」


DはTrashの言葉に返事をせずに、言われたまま 先程よりもネルソンに近づいて攻撃を仕掛けた。

しかしDの武器である大剣は一薙ぎで広範囲の敵を攻撃出来るが、一つ一つの動きは遅く。また棒や槍などと同じように、相手に近づかれすぎると攻撃しにくい反面があった。

そしてネルソンはDの攻撃を躱しつつ、杖でDに攻撃を繰り出していった。

Dはそれに構わず、ネルソンに目掛けて大剣を振り回す。


「そんなに近づいて、一体何をしようとしているんだ?」


Dに声を掛けるネルソン。


「知らん。俺はお前を叩きのめすだけや。」

「ほざけ。」


その様子を見ているTrash。


「フェー、魔法使い目掛けて、矢を撃ちまくれ。」

「そんな事したら、Dに当たっちゃうかもしれないよ。」

「別に魔法使いに当たらんでもええ、とりあえず奴の近くに矢を撃て。」

「了解。」

「ゲッツは、ヤバくなったらいつでもDを回復出来るように準備しといてくれ。」

「あいよ。」


Trashが話していると、Dが大剣を大きく振りかざした。

それを確認したTrashは、すぐにDとネルソンの方へと駆け出していった。


「喰らいやがれ!! ソードスラッシュ!!」


Dのモーションが大きかった所為でネルソンはやや右後方に下がって、それを躱す。

しかしDが狙っていたのはネルソンではなく、ネルソンの持っていた杖であり。

その事を知らなかったネルソンは杖を真っ二つに斬られてしまう。


「ちぃ…。」


ネルソンの悔しがる言葉が微かに聞こえたような気がしたが。

すぐにDとネルソンの居る所から、ソードスラッシュの轟音が鳴り渡った。

そしてソードスラッシュの衝撃で砂埃が立ち上がり、二人を隠していく。


「今、杖壊したんじゃない? これで、あいつ魔法を使えないんじゃないの?」


遠くで矢を放っていたフェルが声を出す。


「いい加減にしろよ、貴様等ぁ!!」


ネルソンの怒号が響き渡る。

そしてDは砂埃の中、ネルソンの姿を探していた。

すると立ち上がる砂埃の中からネルソンの手が現れ、Dの腹に掌を付けた。


「ブリッツ・ロートォ!!」


砂埃の中から、物凄い勢いでDが吹き飛んできた。

そして そのまま森の木に体を打ちつけ地面に転がり、痛みにもがいている。

そのDの体は全身、焼け焦げていた。


「あ”ぁああ!!」


今まで見た事もないほど痛がるDを見て、声をなくすフェル。

それを見ていたゲッツはTrashの言葉を思い出し、Dに駆け寄り回復魔法を掛ける。


「おい、大丈夫か!? おい!?」



二人がDの身を案じていた時、ネルソンの怒号がまた響き渡った。


「貴様ぁ、何をしたぁ!?」


再び砂埃が立ち上がる方を見るフェルとゲッツ。

するとTrashも砂埃の中から出てきた。出てきたというよりは投げ飛ばさてきた。

そして地面に叩きつけられるTrash。しかしTrashはスグに起き上がり、ゲッツに声を掛けた。


「今やゲッツ!!」


Trashが目をやる先には、砂埃の中からネルソンの姿が徐々に現れてきていた。

そのネルソンの目は焦点が合っておらず、瞳の色も少しくすんでいた。

それを視認したゲッツが叫ぶ。



「バインドアンカー!!」






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