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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
19/76

Episode 019【Trashの真意】

 木で出来た牢屋に歯車が付いている、そしてそれを引く馬。

その前後には王都梯団の兵士達が列を成して歩いていた。一人の兵士がある人物に走って近づいていく。


「ベルトラン隊長、死の泉に到着しました。」


ベルトランと呼ばれた人物が、その兵士に答える。


「よし。それでは、その男をあそこの木に縛り付けろ。」


先程の牢屋から両手を縛られた状態のDが連れ出されてきた。

そして兵士達に泉の近くに生えている木に縛り付けられるD。

それを見ていた兵士がベルトランに声を掛けた。


「隊長、これはどう致しますか?」


その兵士が持っていたのは、Dの武器であった。

そしてベルトランが兵士に答える。


「モンスタースレイヤーが持っていた武器など、ここに捨てていけ。」


ベルトランの言葉に従い、兵士がDの武器を泉の近くに置いていった。

そしてDが木に縛り付けられたのを確認したベルトランが兵士達に命令する。


「弓兵、前へ。」


ベルトランの号令に弓兵達が前に出てくる。

そしてベルトランが泉に手を向け、再度命令する。


「放てぇ!!」


弓兵が一斉に矢を泉に向け放つ。次々に泉に矢が降り注がれる。

それを確認したベルトランが兵士達に号令を出し、街の方へと帰っていく。

そして兵士達の一連の動きを見ていたD。


(どう考えても、あの泉に何かあるんやろな…。俺、どうなるんやろ?)


すると泉から次々に泡が噴き出してきた。そして大きな音と共に泉からモンスターが現れてきた。

そのモンスターは蛇のように長い胴体をしていたが目が何処にも見当たらず、口もイカの様な形で至る所に牙が生えている。


(でっけぇミミズみたいなんが出てきたけど。このままやと、どう考えても俺喰われるな。)


必死に縄を解こうとするD。しかし、いくら体を動かしても縄は解けないでいた。


(あかん、やっぱテレビみたいに上手い事いかんか。)


泉から出てきたモンスターがDに気付き、近づいてくる。

そして無数の牙がDを襲う。


「アクェンっ!!」


間一髪モンスターの攻撃を防いだDだったが、未だに木に縛られたままだった。

そして先程のモンスターの攻撃の衝撃で、Dが縛られている木がなぎ倒される。

木を背にして仰向けの状態になるD。


(あ、全然動けへん…。なんとかアクェンは切れんかったけど。こんなん時間の問題やん。)


そして、再度モンスターがDに襲い掛かってきた。

Dが縛られている木もろとも咥え出し、飲み込もうとするモンスター。

モンスターの口からはDの下半身と木が出ている、足をバタつかせ必死に抵抗しようとする。


「Dぃっ!!」


Trashの叫ぶ声が聞こえる。

そしてTrash達が〈死の泉〉に到着した。


「わっ!? 何、あの気持ち悪いの?」


フェルがモンスターに目をやり、気持ち悪そうな顔をしている。


「あれが噂のモンスターか。」


モンスターを目にしたヴァンフリートが、興味を示しながら声にする。

盾を手に取り、ベルキンがモンスターに近づいていく。

そしてモンスターのステータスを確認するベルキン。


「ワーム、Lv7ですか。」


ベルキンの言葉にTrashが反応する。


「4つ上か、なんとかなるやろ。フェル、ベルキンさん、予定通りでよろしく。」


Trashの言葉を合図に三人が動き出す、そしてベルキンが更にワームに近づく。


「ウォー・グリーフッ!!」


ベルキンがスキルを発動させる、するとベルキンの体の周りに赤黒いオーラが現れた。

ベルキンに引き寄せられるように、ワームがベルキンの方へと向かっていく。

Trashとフェルは左右に分かれワームから距離を取り、それぞれ弓を構え出した。


「トリプリケートッ!!」


Trashとフェルの矢がワームに当たる。

二人の攻撃を受けたワームが雄叫びを上げながら、体を激しく動かしている。

そして先程まで咥えていたDを吐き出した、地面に落とされるD。

それにヴァンフリートが近づき、縛られている縄を解く。


「あぁ。身体中、ミミズの唾まみれやん…。解いてくれて、ありがと。ところで、アンタ誰?」


Dの問いに、ヴァンフリートが短く答える。


「ヴァンフリートだ、よろしくな。」


ヴァンフリートに「よろしく。」と答えたDが、自分の武器が落ちている所まで走り出す。


「てめぇ、何ヘマっとんねん!?」


そのDに対してTrashが声を掛けた。


「悪りぃ。詳しい事は後で説明するわ。」


Trashに短く返事するD。そして武器を手に取り、ワームに向かう。

そのワームはTrashとフェルの攻撃を受けて怒り出し、ベルキンに向け攻撃を仕掛ける。

ワームの攻撃を盾で防ぐベルキン、その間もワームにTrashとフェルが放つ矢が降り注ぐ。

それを見ていたDが心配そうに言葉を掛ける。


「ベルキンさん、虫に集中攻撃喰らってるやん。」


それに対してフェルがDに答える。


「そういうスキルなの。分かったら、Dもさっさと攻撃して!」


フェルの言葉にDも攻撃に加わる。


「よう分からんけど。ソードスラッシュ!!」


Dの放つ斬撃がワームに向かって飛んでいく。

ワームはソードスラッシュを喰らいながらも、体を大きく捻りベルキンに攻撃を繰り出す。

今までよりも大きな衝撃を受けてベルキンが弾き飛ばされる。


『ベルキンさんっ!!』


ベルキンに声を掛ける、TrashとD。

ワームの攻撃を盾で防いでいたベルキンは、大きな怪我もなく起き上がってきた。

そしてベルキンは再度ワームに近寄っていく。


「シールドアタックッ!!」


ベルキンは手にしていた盾を思いっきりワームに打ち当てる。

するとワームに盾が当たると同時に衝撃波が発生した、ベルキンの攻撃を受けて苦しみだすワーム。

そんな四人の戦いを、遠くから観戦するヴァンフリート。その手には紙とペンがあった。

ヴァンフリートは四人とワームとの戦闘をスケッチしていたのだった。

ベルキンがワームの体力を確認する。


「Trashさん、もう一息です。」

「了解、ベルキンさん。」


ベルキンの言葉に他の三人が一斉に攻撃する。

攻撃を受けたワームは力尽き、倒れていく。


「はぁ、何とか倒せたな。」


一息吐くTrash。

そして五人は集まり、その場に座り込んだ。


「ベルキンのスキルのお陰で、僕達には攻撃してこなかったね。」


フェルがベルキンを見ながら話し出した。

それにDが質問する。


「さっきも言うとったけど、どういう事や?」


Dの質問にベルキンが答える。


「私のスキル、ウォー・グリーフは敵を挑発するスキルなんです。それで、挑発された敵は挑発した相手しか見れなくなるんですよ。ある程度の時間が経てば、効果は切れますけどね。」


ベルキンの話に納得するD。


「なるほど、そういう事やったんか。」


そして、ある事に気付くDが皆に聞き出した。


「ところで、何で皆ここに来たん? よう俺がこんな状況やって分かったな。」


Dの言葉にTrashが話し始めた。

ベルキンのギルドのメンバーが王都梯団にDが取り押さえられ連れて行かれる所を見た事や、三人に〈友の窮地〉というクエストが発生した事。更にヴァンフリートのお陰でDが何処に連れて行かれたのか分かった事などを。


「そういう事やったんか。ごめんな、皆。」


Dが皆に謝る、そんなDにTrashが質問した。


「捕まったんて、お前だけなんか? アリシアっていう人やその兄弟はどうしてん?」


Trashの質問に答え辛そうにDが話す。


「それがな…。」


そしてTrash達はDから捕まった経緯を聞いた。


「はぁ!? 騙されとったやと!? やから言うたやんけ。」


Trashの大きな声が響き渡る。

その声を聞いて小さくなるD、見かねてフェルが声を掛ける。


「まあ。Dらしいって言ったら、Dらしいけどね。」


フェルの言葉も虚しく、TrashがDに話し続ける。


「ホンマにええ加減にせぇよ。皆に迷惑かけとるんやからな。」


Trashに責められ謝り続けるD。

それを見ていたベルキンが声を掛けた。


「それで、どうしますか?」


ベルキンの言葉に反応するD。


「どうって?」


そのDの言葉にTrashが返す。


「そいつらを取っ捕まえるかどうかって事やろ。」


Trashの言葉に続いて、フェルもDに言葉を掛ける。


「だって、このままじゃDが共犯者のままだよ。騙した奴らを捕まえて、王都梯団の連中に引っ張り出さないと。」


Trashとフェルの言葉を聞いてベルキンも頷きながら答える。


「ですよね。」


その話を聞いてたヴァンフリートがDに話し掛ける。


「それで、アンタはどうしたいんたよ?」


ヴァンフリートの言葉を聞いて、DはTrashの方を少し見てから答え出した。


「皆に迷惑かけたのはすごい反省しとるし悪いって思っとる、でも俺はあの人達を捕らえようとは思わへん。」


Dの言葉に意外な反応をするヴァンフリート。

しかしTrashが怒り出す。


「はぁ!? お前は、まだそんな事言うんか!?」


それに対してDが「悪い。」と謝った後、Trashにある事を聞いた。


「トラ達に発生したクエストって、もう完了してんの?」


Dの問いにフェルが答える。


「さっきのワームを倒したら、クエスト達成の文字が出たよ。それが、どうかしたの?」


フェルの言葉に答えるD。


「俺もアリシアさん達に協力した時にクエストが発生してん。そんで、それが未だに完了してへんねん。これって、まだ何かあるって事な気がすんねん。それに…。」


Dの言葉にTrashが問いかける。


「それに、何やねん?」


Trashの顔を見てからDが答える。


「俺に本当の事言うて、指揮官室から出て行くアリシアさんの顔が何か悲しそうやってん。」


その話を聞いたTrashは呆れたように言葉を発した。


「あかん、やっとられん。俺は先に宿屋に帰らせてもらうわ。」


そして皆を置いて先に帰りだした、それを見てDが再度皆に謝る。

謝るDにフェルが声を掛ける。


「トラもDの事が心配だから、怒ってるんだよ。」


フェルの言葉に「うん。」と答えるD、そして残された四人も街に帰りだした。

街に帰る最中、前を歩くフェルとベルキンの後を歩くDはずっと黙ったままだった。

Dの肌には少し前から吹き始めた風が冷たく感じた。


「俺が手を貸してやろうか?」


前の二人に聞こえないように、Dの横を歩くヴァンフリートが小声でDに話し掛けてきた。

ヴァンフリートの言葉にびっくりするD。そのDを見るヴァンフリートの顔は真剣だった。

そしてDはヴァンフリートに対して首を縦に振った、するとヴァンフリートは満面の笑みをDに向けてきた。






スキル説明


【ウォー・グリーフ】

敵を挑発するスキル。挑発された敵は一定時間、挑発した相手にしか目を向けなくなり。挑発した相手に攻撃が集中する。


【シールドアタック】

盾で敵を攻撃するスキル。攻撃する直前に敵から攻撃を受けているとダメージボーナスが付く。

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