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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
16/76

Episode 016【Dとアリシアと】

 晴れ渡る空の下、Dは街の中を歩いてた。

街の様子を見ながら歩いていると、昨日の夜には気付かなかった事に幾つか気付いた。


(昨日はバタバタしてたから気付かへんだけど、改めて見たらここって大っきい街なんやなぁ。)


〈アンダー・アイス〉の街は城壁の様な壁が街を一周しており、モンスターなどの襲来に備えていた。

そして歩いていると、街にはプレイヤーではなさそうな感じの鎧を纏った男達を何度も見かけた。


(あの人らは何なんやろ?)


すれ違う男達を見るD。

すると男達もDを見ていた。そしてDを見る男達の目付きには、Dを嫌悪するような感じがあった。


(俺、何か悪い事したんか?)


男達の目付きが気になるD。

しかし男達はDに声を掛ける事もなく去って行った。

そしてDは商業地区に辿り着いた。


(街の人らに聞き込みする前に、あれないか探しとかな。)


そしてDは一軒の道具屋に入って行った。

その道具屋は〈スワローテイル〉という看板を掲げていた。店内に入ると道具屋の主人らしき男性がDに声を掛けてきた。


「いらっしゃいませ。何かお探しですか? 見た感じ、モンスタースレイヤーの方に見えますが。癒しの薬などをお探しでしたら、あちらの棚に置いてますよ。」


そう言って、冒険に役立ちそうなアイテムが置いてある所を指差す店主。


「えっと、時計って売ってたりしてます?」


店主に時計が置いてあるか聞くD。

そう、Dはこの世界に時計がある事が分かってからずっと時計を買おうと思っていたのだった。


「売ってますよ。色々と置いてますので、ゆっくり見ていって下さい。」


そう言って、時計が置いてある所に案内してくれる店主。そこには置き時計や掛け時計などが置かれてあった。


(う〜ん。こういうのやなしに携帯出来そうなんないかなぁ?)


他にも種類がないか探していると、腕時計は無かったものの懐中時計が置いてあるのを見付けた。


(懐中時計かぁ。つこた事ないけど、どうやって使うんやろ?)


そう思い、店主に懐中時計の使い方を聞くD。


「すいません。これって、どうやって使うんですか?」

「懐中時計ですね。これは、ここをこうして…。」


そう言って、店主は懐中時計を手に取り。

Dに使い方や携帯の仕方を教えてくれた。


「時計に付いてるチェーンを服の一部に取り付けるように出来てるので、チェーンを留めたら後はポケットの中に入れてもらえば。何時でも何処でも時間を確認する事が出来ますよ。同じように鞄に取り付ける事も出来ますし。」

「へぇ。それじゃ、それください。」

「かしこまりました。懐中時計にも色々と種類がございますが、どれにしますか?」

「種類?」


Dの反応を見た店主が、それぞれの種類の懐中時計を取り出し説明してくれた。


「まず、こちらがオープンフェイスの懐中時計になります。とてもシンプルな作りをしてまして、埃が時計内部へ入りにくい構造をしてまおりす。そしてこちらは、ハンターケースの懐中時計です。時計のガラス面を守るために蓋が付いております。次にこちらはハーフハンターケースになります。先程のハンターケース同様に蓋が付いておりますが蓋の中央部は丸く穴を開けガラスをはめ込み、その周りに12時間表示を付けてますので蓋を閉じたままでも時間の確認が出来るようになっております。そして最後にこちらはデザイン性重視のスケルトンになります。蓋は無く文字盤やケースにガラスを使用し内部構造が見れるようになっております。ハンターケースでしたら、無地の蓋の方にギルドのエンブレムなどを刻印出来ますよ。」


それを聞いたDが店主に尋ねる。


「それって、どれくらい時間かかるの?」

「簡単な物でしたら、数分から1時間くらいですかね。内容が複雑で細かい物になれば何日間かかかります。」

「それじゃあ…。」


そして店にあったメモ用紙とペンを取り、何か描き始めたD。

しばらくすると、スワローテイルからDが出てきた。その手には銀色のハンターケースの懐中時計があり、その蓋を嬉しそうに眺めていた。


「ええなぁ。」


Dが購入した懐中時計の蓋には黒色で「D」の文字が刻印されており。Dの文字の丸みがある部分にはドラゴンの翼が彫られていた。その蓋を何度も見るD。


「ええなぁ。元の世界に戻っても懐中時計買おかなぁ?」


そして街の中を歩いていると「やめてくださいっ!」と女性の声が聞こえてきた。

声の聞こえた方に目をやると、一人の女性が先程の何度も見た鎧を纏った男達に囲まれていた。

そこに止めに入るD。


「何があったか知らんけど、女性が嫌がってるやん。」


Dを睨みつける男達。

そして、その中の一人がDに声を掛けた。


「何だ貴様は!?」


その言葉はとても高圧的なものであった。

そして、それを聞いたDは手に持っていた懐中時計を男達に見せ言い放った。


「俺はDや!! これが目に入らんかぁ!?」


Dの言葉にさらに男が声を掛ける。


「馬鹿は何処か他所に行ってろ!」


そして男は嫌がる女性の腕を掴み、強引に連れて行こうとした。

それを見たDは女性の腕から男の手を離し、女性の手を取り走り出した。

D達の後ろからは男達が追いかけてくる。そして後ろから声がする。


「貴様っ!! 何をやってるか分かっているのかっ!?」


街の中を駆け抜けるD達、男達も諦めずに追いかけてくる。


「くそっ! しつこいなぁ。」


男達を見てDが呟く。

すると一緒に走っていた女性が「こっちです。」と言い、Dを引っ張り路地の中に連れて行く。

ある程度走っていると、後ろに男達の姿が無い事に気付いた。

そして一緒に走る女性に声を掛ける。


「もう大丈夫そうやで。」


立ち止まる二人、そしてDは女性に男達に囲まれていた訳を聞いた。


「一体、何があったん?」


Dの質問に答え出す、女性。


「先程は助けて頂き、ありがとうございます。私はアリシアと言います。先程の方々はこの街に駐在している、王都梯団の兵士の人達なんです。」


アリシアと名乗る女性はブロンドの髪を長く伸ばし目の色が青かった。

そして、とても綺麗な人だった。


「王都梯団?」


アリシアに聞き返すD。

それを受けアリシアが答える。


「やはり、あなたはモンスタースレイヤーの方なのですね。王都梯団とは、ここアンダー・アイスがあるエルンダ地方一体を収めるリンディスファーン王国の兵士達の事です。」

「それでアリシアさんは、その兵士達に何で囲まれとったん?」

「それが王都梯団の方々は王様の命令で、この街の警護などをしておられるんですが。中にはあまり良くない方々も居られまして…。」


言葉に詰まるアリシア、それを見てDが察する。


「そういう事か。どの世界も同じやな。」

「本当にありがとうございました。」

「ええで、ええで。俺な、お姉ぇが居って。その、お姉ぇの躾で女性に優しくするように小さい時から仕込まれとるから。あれは今思い返してみると躾ってか、お姉ぇが楽する為に俺を奴隷化してたなと感じるわ。今でも、お姉ぇには逆らえへんけどな。」


そう言って笑うDにアリシアが尋ねてきた。


「助けて頂いて、更にこんな事をお願いするのは痴がましいと思うのですが…。」


宿屋を出て商業地区に向かいながら、Dにボイス・チャットをするTrash。

しばらくしてDが出た。


『おぉ、トラ。』


返事するDの声はやや小声であった。


「お前、今どこや?」

『うんとな、はっきりした場所は言えへんねやけど。居住地区に居るぞ。』

「なんやそれ? どういう事や?」

『うんとなぁ…。』


Trashに説明するD。


『王都梯団ってのに襲われそうになってた、アリシアさんって女性を助けたんやけどな。その人の頼みで、今その人の所に居んねん。』

「それで、何で詳しい居場所が言えへんねん?」

『それがなぁ。アリシアさんの家の宝石を、その王都梯団の連中が持ち去って行ったみたいやねん。その宝石の中には親御さんの形見があったみたいで。それで、それを取り戻そうとしてはんねんな。』

「女、一人でか?」

『いや、他にもアリシアさんのお兄さんが二人居てはる。うんで、今そのお兄さん達に俺が怪しまれとるねん。俺が王都梯団の兵士達と繋がっとるかもしれんとか、形見を取り返そうとしている事を兵士達に漏らすかもしれへんって事で。』

「ほんで、居場所が言えへんって事か?」

『そやねん。あと…。』

「あと何や?」

『それに俺も手伝うねん。』

「はぁ!? お前何しとんねん!?」

『そう言うやろと思っとった…。』

「お前、昨日宿屋に帰ってきた時にも言うたやろ。ったく、ホンマにぃ。」

『悪りぃ、トラ…。』

「そんな感じやと俺が手伝いに行くのは無理そうやな。」

『やろうな。』

「はぁ…。ほんなら、とりあえず俺は予定通り街で話聞いて回るわ。」

『うん。』

「あんま無茶すんなよ。」

『分かった。…あ!』

「なんや? これ以上何かあるんこ?」

『アリシアさんを助けた時な、俺王都梯団の兵士に手ぇ出してもてん。』

「…なるほどな。今朝必死こいて宿代払う為に走り回ったのに、お前はまた犯罪者になろうとしとんねんな?」

『ホンマ、すまん…。』

「まぁ、ええけど。とりあえず、マジで無茶すんなよ。」

『うん。』


そしてチャットを切るD。

アリシアが居る部屋に戻ると、アリシアの兄達がDを睨みつける。

そして、その一人がアリシアに声を掛ける。


「アリシア、本当にこいつを信用して良いんだな?」

「うん、大丈夫。」


アリシアの言葉にもう一人の兄が答える。


「お前がそう言うなら、仕方ないな。信用してやるか。」


そして二人の兄がDに自己紹介し始めた。


「俺はエイル、長男だ。よろしくな。」


エイルと名乗る男が握手を求めてきた、それに応えるD。

エイルの手は大きく、肌は褐色色でDよりも遥かに大きな体をしていた。


「どうも、Dです。よろしく。」


次にもう一人の兄が話しかけてきた。


「俺はラムザだ、次男だ。アリシアは三人兄妹では一番下になる。」


ラムザも同じく握手を求めてきた、それにまた応えるD。

エイル程ではないがラムザもまたDよりも体が大きかった。


「どうも、Dです。」


Dがラムザに答えると、ラムザがDの耳元で小声で話した。


「アリシアに手出したら、殺す。」


その言葉にびっくりするD。


(強烈な兄ちゃん持ってはんねんなぁ、アリシアさんは。)


「それで、その形見の宝石は今どこにあんの?」


アリシア達に質問するD。

それにエイルが答えた。


「王都梯団専用地区の指揮官室にある事までは分かっている。」

「形見のある場所が分かってんなら。コソッと行って、ちゃちゃっと済ませば、早よ終わりそうやな。」


Dの反応に苦い顔をするアリシア、それを見てDが尋ねる。


「そんな簡単にいきそうにない感じなん?」


Dの問いにラムザが答える。


「お前分かってるのか? 王都梯団専用地区に入る為でも相当難しいんだぞ。警護の兵士達も沢山居る。」

「そうなんか…。」


Dの言葉にアリシアが返す。


「それでも、ルーンダイヤは取り戻さないと。」


アリシアの決意の言葉を聞くD。

すると何かの着信音のような音が短く鳴った。

急に鳴った音にびっくりするDだったが、アリシア達にはその音が聞こえていない様子だった。

そしてDの目の前にウィンドウ画面が表示された。そこにはクエスト発生〈ルーンダイヤの真実〉と書かれていた。


(クエスト?)






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