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ワンダー・クロニクル  作者: Erde
第一部【出会いと別れ、そして旅立ちと】
11/76

Episode 011【Dのそっくりさん】

 ギオールの酒場で〈ワンダー・クロニクル〉に来てしまった現象について情報収集するTrashとDであったが。皆一同に「ゲームを始めて、気が付いたらここに来ていた。」と言うばかりだった。そして二人は情報収集を諦め、酒場をあとにしようとしていた。


「二人は、ついさっきこの街に来たのか?」


酒場を出ようとする二人に男が声をかけてきた。

その男はベルキンと名乗り、TrashやDと同じプレイヤーであった。


「そんな感じかな?」


ベルキンに返事するD。

その返事を聞いて「やっぱりな。」と反応するベルキン。そしてベルキンは話し始めた。


「まだ日が暗くなる前は、ここは今より騒がしく。あなた達の様に俺や他のプレイヤー達も皆同じ事をしていたよ。しかし誰に聞いても同じ様な事ばかりしか言わない。実際、誰もが突然ここに飛ばされたしか分かってないんだろうな。」


ベルキンの話を聞いて〈アンダー・アイス〉の街に居るプレイヤー達の落ち着きように納得する二人。


「どうして、そんな事を教えてくれるんや?」


Trashが疑問を口にする。

少し考えてから、教えた理由を話し出すベルキン。


「大した理由はないんだが。その人とそっくりな人に、現実の世界で困ってる時に助けてもらった事があって。何となくな。」


そう言って、Dを指差すベルキン。


「俺にそっくりな人?」


そう言って自分を指差すD。


「それって、いつ? 何処でなん?」


続けてTrashが聞き返す。


「2年ほど前の夏の大阪でかな?」

「D、覚えとるか?」


Trashに言われ思い返そうとするD。

そんな二人を見てベルキンが喋る。


「何言ってるんだ? ここのプレイヤー達のキャラクターなんて、それぞれが思い思いに作ってるんだぞ。」


ベルキンの話を聞いても「ええから、ええから。」と答えるTrash。するとDが何かを思い出したように話し始めた。


「そういや、大阪駅で外国人の人に道聞かれたな。俺何でか外国人の人によう道聞かれんねん。」


Dの言葉にびっくりするベルキン。


「それで、お前どないしたん?」


Trashが聞き返す。


「とりあえず片言の英語で道教えてたんやけど。俺、英語聞くのは出来ても話したり書いたりすんの苦手やからや。も、いっそ一緒に行った方が早いと思て。その人が行きたい所まで一緒に歩いて行ったわ。」


それを聞いて、更にびっくりし話すベルキン。


「あの時の日本人って、あなたなのか!?」


ベルキンの言葉を聞いて「やっぱりな。」と反応するTrash。


「あん時の外国人さんか? でも何で言葉通じんねやろ?」


Dの言葉を聞いて、ベルキンが答え始める。

ベルキンは何年も前から日本に興味があり、2年前に日本に来た事。そして今は大阪で英会話の講師として働いている事。また2年間の間に日本語が上手く話せるようになった事などを教えてくれた。


「なるほどなぁ。」


ベルキンの話に反応するD。

そんなDに改めて感謝の言葉をかけるベルキン。


「本当に、あの時はありがとうございます。」

「ええで、ええで。もし逆の立場やったら、俺も助けて欲しいって思うし。大した事ちゃうで。」

「そそ。それにコイツは人にそんな事しといても、すぐ忘れるような奴やから。」


ベルキンとの話を終え、酒場から出てくるTrashとD。


「ベルキンさん、元気にしてたんやなぁ。」

「ここに来てしもとるけどな。それにしても相変わらず、何処などで何かしとんなお前は。」

「困ってる人とか見るとな。逆の立場やったらって思うやん。」

「ベルキンさん、何かあったらまたって。フレンド登録してくれたな。」

「まさか外国人の人とフレンドになるとわな。」

「それにしても、全く収穫なしやったな。」

「これからどうする?」

「今日はもう宿屋帰って寝るか。明日、街の中でも探索してみよかい。」

「そうするか。にしてもフェル来んかったな。」

「寝とんとちゃうか?」


酒場から宿屋に戻る二人。

酒場に向かう時は周りのプレイヤーばかりが気になって、あまり街自体を見ていなかったが。今度は街並みを見ながら歩く二人。そしてDがある物に気付く。


「おい、あの塔みたいに時計付いとんぞ。」

「どれ?」

「あそこの塔みたいなやつ。」


そしてDの指差す方向見るTrash。


「ビッグ・ベン??」


Dの指差した方向には、イギリスにある建物ビッグ・ベンにそっくりな物が建っていた。


「俺も見つけた時、そう思たわ。ってか、時計あんねんな。」

「みたいやな。それより、ええんか? あんなビッグ・ベンそっくりなんがあって。」

「さぁ、どうなんやろな? その辺は上手い事してんちゃう? それよか道具屋に時計売ってるか、明日確かめようぜ。」

「せやな。」


そして宿屋に戻ってきた二人。

宿屋の外にはプレイヤー達が沢山居た。そのプレイヤー達は「マジかよ。」「部屋無いって、どういう事だよ?」と話していた。そんなプレイヤー達を見ながら、宿屋の中に入っていく二人。


「やっぱり、部屋不足問題発生してんな。」

「デカい街やから、他にも宿屋あったらええけどな。」

「あの人ら、どうするんやろ?」

「まあ、何とかするんやないか?」

「良かっ…」

「あかん。知らん奴等なんやから、何があるか分からんやろ。それに俺等は1部屋で泊まるようにしてんねやし。」

「そやけど。」

「ええか、D。親切にすんなとは言わんけど、世の中には悪い奴も居んねん。お前が今まで生きてこれてるんは、ある意味奇跡に近いんやからな。」


自分達の部屋に戻る前に、フェルにとりあえず今日の報告をしようとフェルの部屋に向かう二人。Trashがフェルの部屋のドアをノックする。しかしフェルの反応は無い。


「おい、フェー。寝てんのかぁ?」


Trashが呼びかけてもフェルの返事は無い。


「フェル、寝てんのかもな。」

「報告すんのは明日にするか。」


そして自分達の部屋に戻る二人。


「街に来たら何か分かると思ったんやけどなぁ。」


ベッドに入り呟くTrash。


「まぁ、何とかなるやろ。」


同じくベッドに入るD。


「明日は街探索して、ゲーム自体進めてみるか。」

「そやな。」


そして眠りに就くTrashとD。

〈アンダー・アイス〉の空には綺麗な満月が輝いていた。






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