絵画や音楽はちょっと…
絵画や音楽は解釈に必要なバックボーンが膨大な上に数も多く、それぞれの専門家や大家がお墨付きをくれるから有り難さがようやっと分かるというある種スノッブな状況だ。
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ある程度は仕方ない。
先述のキャッツだって、ただなんとなく見ただけでは、きっと何のこっちゃ分からない。
だが選ばれるに足る本質は、七光や宣託なだけではなく必ずある。
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パトラッシュの主人公、ネロの好きだったルーベンスの絵は本当はものすごくエロい、とか。
本質は多分その辺り。
規制でエロが書けない時代、画家は神話モチーフで誤魔化した。
彼は死の直前、ずっと見たかった絵を見て……。
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絵が上手いというだけではただの絵かき、文章を書くのが上手なだけはいけないのと一緒。
表現力とは希求力と地盤と世界観を武器にした作者の魂の、他者や世界からの評価への対立と言えないだろうか。
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ルソーという画家がいて、下手くそである。知り合いの肖像画を、物差しで目や鼻のサイズまで測って書いたのに、全然似てないと銃撃されて破り捨てられた逸話を持つ。
でもライオンの隣で眠る女の絵は教科書に載るほどいい絵だ。笑われ馬鹿にされながらルソーはただ、自分の絵を書き続けた。
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ミロの抽象的な絵画も好きだ。ア✳︎ルみたいな星が必ず描いてある。
それが本当は何を表現しているのか想像するのはとても楽しい。高尚そうに分かったような顔をした鑑賞者は、実はこんなものを崇めているのだ、とかミロと秘密を分け合ったような気分になりながら。
事実でなくてもそれは構わない。
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現代美術は歴史がどうとか手法がこうとか山ほどあるハードルが面倒くさい。
考えるな、フォースを信じて感じるんだ、とヨーダ師匠のお言葉にすがりたくなる。
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上手い下手以外に、どう感じればよいか。簡単なのは、興味を持つか無関心か。嫌いも興味に含まれる。その先は、…愛ですね。
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音楽はクラッシックもジャズもR&Bも現代音楽も雅楽も大嫌いで、オルタナティヴの一部しか聴かない門外漢。
偉そうに語る資格はないので、勘弁していただきたい。