まずなろうにおいて
ここで読者の求めているものは、一時期のあるお笑い番組に近いとのではと思う。
タイトルを失念したが、奇抜な格好であるあるネタをすれば受けるというセオリーを編み出したあれ。
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どんな特徴的な主人公が…例えば伝説の勇者、ニートやオタクの引きこもり、ユニークなチートスキル持ち、普通のラノベ好き高校生、etc.
どの世界観で…例えば剣と魔法、時代劇や戦・歴史、遥か未来、ゲームやマンガの中、etc.
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基本は語り手が親近感の持てる一人称で、その異質な世界と馴染めず葛藤する姿が描かれていれば間違いない。そのバリエーションだ。
これは不思議の国のアリスやオズの魔法使い、ネバーエンディングストーリーの末裔だ。
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ハイファンタジーと呼ばれる奴の正体。
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ドラえもんに代表される藤子F不二雄先生のセオリーで、異質なキャラクターが現代社会で様々な出来事を引き起こす、というのがあるが、これも傍系だろう。
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ここでは、異世界という外界と一人称主人公の内面との葛藤というのが端的に現れている。主人公は決して異世界で馴染めずに、襲いくる敵と戦い、魔王だとか諸悪の根源を倒そうとする。
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面白いのはまずは現実を蹴ってあえて異世界へ転生するという手法である。
即座に違う世界を描き出せて、ぐだぐだ説明のいらない簡潔なところが非常に便利だ。
水戸黄門や能楽的なお約束、得意技ですな。
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ちなみにハムレットだか夏の夜の夢だかでは元々、『茶々を入れる観客』という役が、れっきとした舞台上の登場人物としてあった。話の内容メインで見せられるようになってから省かれたという。
ハイファンタジーでも導入でうまく行ったのちは、転生したという設定の必要性が薄くなってくる。
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異世界転生というのは母胎回帰願望の現れで、その中でのチートスキル無双だけがやっと許された夢ならば、リアルはどれだけ抑圧された住みにくい世の中になったものだろうとも思う。
やれやれ。
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ここでは端的に現れ過ぎて、むしろ安直とも言える対立を見ることができる。
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成立時点ですでに構図が出来ているので、じわじわ続けてもいいし、派手なクライマックスも気分次第で出来る、知りつくした相手とのポリネシア人の靴下みたいなやり口。