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ダーク・ハート  作者: 駿河留守
悪魔
23/36

勉強

 次の日である。

 あの後家に帰った後、長い時間帰ってこない私をキョーコちゃんの質問攻めを乗り切って今日一日はどうすればいいか考えた。まず、一番に配慮しないといけないのは未來ちゃんのストレス。これをおろそかにすると殺人衝動のサイクルが早まってしまう。藤崎さんが言っていた衝動が弱かった日は猫と戯れて私と友達になったあの日のようなことを毎日のように続ければいい。簡単な話だよ。まずは未來ちゃんが大好きな猫だ。未來ちゃんを警戒しないフレンドリーな猫を探して未來ちゃんとお友達になれば、自然とたまるストレスがなくなってくる。そのためには猫の勉強だ。そのためにわざわざ中古の猫本をたくさん買ってきた。これで猫について詳しくなろう。

「子安さん。今は数学の時間ですよ?猫を勉強する時間じゃないですよ」

 先生に注意されても私の意志は固い。常に恐怖を感じながら押しつぶされそうなプレッシャーの中を生きている未來ちゃんに比べれば、こんな数学の時間惜しくない!

 次は衣食住について。今の藤崎さんの財政では食べることもままならない。それがストレスとなっているかもしれない。だからと言って藤崎さんをリストラにして別の財政的に余裕のある人に鞍替えしても未來ちゃんの大きな心の支えになっている藤崎さんを欠けさせるわけにはいかない。お昼は給食が出るらしいから夜ご飯だけでも私が作ってあげるのもいいかもしれない。家に直接行って作るのは無理かもしれないけど、お弁当とかを作ってあげるとかの対応をしてあげよう。そのためには少しでスくれる料理のレパートリーを増やさないと。

「子安。今は現国の時間であって家庭科の勉強じゃないぞ。そのテクニシャン弁当を作るにはって言う本をしまって教科書を出せ」

 いくら先生に注意されても私は気にしない。もしかしたら、私のこの行為が先生の命を救うことにつながるかもしれないんですよ。先生の命のためならば現国の時間も惜しくない!

 さて、次は資金面だ。藤崎さんがあんないいマンションに住んでる理由をあの後聞いたのだ。どうも、防音性に長けているマンションらしく、未來ちゃんが殺人衝動で暴れても笑っても隣に声が聞こえないというのが理由らしい。長垣は駅に近ければ近いほど家賃は高い傾向があるらしい。ふたりのマンションは駅から少し離れていてもまだ便利なところにある。大体5万円くらいだとすれば私がキョーコちゃんのようにバイトをすれば援助できる額でもある。ならばさっそく自給がよくてそれなりに未來ちゃんと交流が出来るように融通の利くバイトを探さなければいけないね。

「ミス陽子。珍しく寝ていないと思ったら今は英語の時間ですよ。バイトを探す時間じゃありません」

 どれだけ注意されても私は目の前のことに集中する。ふたりの人の生活がかかっているのを無視できるわけがない。少しでも助けないといけない。そのためなら英語の時間も惜しくない!

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