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アキザクラ  作者: ゆずの香
第一章
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芽生えた気持ち

猫なで声のこの女は何なんだ?

この手の女は見飽きてるから、嫌悪感しかない。


隣の患者の方を見ると、お団子頭の立花さんの後ろ姿が見える。

彼女は別の患者の世話をしているようだ。


「彼女すごく熱心で、私の事を心配してそう言ってくれたんでしょうから。」


そう言うと、彼女の耳が赤く色づくのが見えた。

案の定聞き耳を立ててたらしい。


彼女の言う通り、昨日は酒を飲まなかった。


本当は取引先の人と接待があったので飲むつもりでいたが、車の助手席で震える彼女を見てたら、言うことを聞いてやってもいいかなと思えてしまった。


からかうとすぐ真っ赤になってたな。

あの素直な感じが気に入ったのか、俺はあの夜景の見える場所へ連れて行ってた。


手をみつめたまま真っ赤な顔して固まってる彼女は、かなり面白かった。

思い出してちょっとにやけそうになり、今歯医者で治療を受けてることを思い出し冷静になる。


そのあと「帰る」って言った時の彼女の顔・・・

泣いちゃうんじゃないかってくらい悲しそうな顔で見つめてきた。

その顔見てつい俺ももうちょっと一緒に居たくなったんだが・・・

案外素直に帰ったな。


面白いと思ったり、一緒に居たいと思ったり、俺は自分の気持ちにちょっと驚いてた。


29歳にもなってそんな気持ちを抱いたのは、実は初めてだったから。



だからこそ、まずいと思った。


この気持ちは、俺の人生にはいらない感情なんだ。


彼女と別れたあと、俺はしっかりいつもの俺に戻っていた。

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