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アキザクラ  作者: ゆずの香
第一章
7/49

優しさ

どどど、どうしようっ!!


さっきから顔の熱が引かない。

運転席には爽やかイケメンの澤田さん。

車の中はこれまた爽やかなフルーツ系の良い香りがする。


ガラの悪い男にからまれて、本当にもうダメだと思った時に、助けてくれた人。


澤田さんが来てくれなかったら、私もう・・・


思いだすと恐怖がこみあげて手が小刻みに震えだした。


自分の両腕をぎゅっと抱きしめて、震えをとめようとするが、なかなか治まらない。


「・・・名前は?」


「へぇっ?」

急に話しかけられて驚いて、変な声が出てしまった。


「君の名前はなんての?」

「あ、立花美沙です。22歳です!」

「ぷっ。歳までは別に聞いてないけど。幼稚園児のインタビューみたいだな。」

そう言って澤田さんはクククッと笑った。

「よ、幼稚園児って・・・!もう社会人ですよ!大人ですよ!

 せめて合コンの自己紹介みたいとか、もうちょっと別の言い方でも・・・!」

「なんだよ、そんなに合コン行きまくってるのか?遊び人だなー。」

「えぇっ!!そんなわけないじゃないですかっ!」

真っ赤になってなぜか慌てる私を横目に、澤田さんはまたクククッと肩を震わせた。


も~なんだかからかわれて子供みたい。恥ずかしい・・・。


ふうっと息を吐いてイスの背もたれに背中をつけると、震えが治まってる事に気づいた。


もしかしたら気持ちを落ち着かせるために、からかってくれたのかな。

そう思うと、澤田さんの優しさに心がぎゅっと締め付けられる感じがした。


いやいやいや、ときめいてる場合じゃないって!

まずいまずい・・・


まだ熱が引かない顔を手で仰ぎながら前を見ると、いつの間にかどこかの駐車場に停まったようだ。


「ほら、降りて。」


澤田さんはいつのまにか助手席のドアを開け、私に手を差し出している。


「ここどこですか?」

「いいからこっち。」


私の手を引いてどんどん進んでいく澤田さん。

少し歩くと、突然眼下に夜景が広がった。


「うっわぁ・・・・きれい・・・。」

「だろ?俺のお気に入りの場所。」


大小の色とりどりのネオンが星のように瞬いている。


隣を見ると、澤田さんの横顔が夜景に照らされてとってもキレイ・・・

サラサラの髪が風に揺らされて・・・なんて絵になるんだろう・・・


ふと手元の違和感に気づく。


私の手は澤田さんとしっかり絡まったままになっている。


「・・・!!!」


一気に顔に熱が集まった気がして、手をほどこうとしたが、急にそんなことしたら変かな、とか考えてる間にそのまま固まってしまった。


「立花さん?」

「ははははいっ!!」


めっちゃどもった・・・恥ずかしい・・・。


「そろそろ落ち着いたみたいだし、帰ろうか。」


そう言われて、つい帰りたくないとか思ってしまったけど、そこまで迷惑かけれないので

「はい、ありがとうございました。」

そう言って手を離した。

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